きのう6月22日は「ボウリングの日」でした。1861年、文久元年のこの日、長崎の外国人居留地に日本初のボウリング場が開設されたことを記念して、「日本ボウリング場協会」が制定したんだそうです。

日本では1970年代には「一大ボウリングブーム」が起こり、街のあちこちにボウリング場ができました。その後、ブームが落ち着くと、専用のボウリング場は減り、現在では、スポーツアトラクション施設の中に入っているところも多いですよね。ところで、海外ではボウリングはどのように親しまれているのでしょう。この時間は「ボウリング事情」と題して2つの国の番組通信員の方にお話を伺います。
●アメリカ・ロサンゼルス在住 / 手島 里華さん
Q1 アメリカでもボウリングのブームと衰退がありましたよね?
A1 ボウリングは自動でピンを並べる『ピンセッター』が発明された1960年代にピークを迎えて、そこから徐々に衰退。2012年にはプレーヤーの数も横ばいになりました。ここで"レクリエーションのボウリングをより充実させよう"という動きが起こりました。例えば・・・・ボウリング場で出される食事のアレンジ(種類増、高級なメニューの提供)・エンターテインメントスポットの変化。『レーザータグ』『アーケードゲーム』『ボウリング』という3つのゲームがオプションで選べるスポットの増加また若い世代へのアプローチも行われています。十代の若者や若者向けの『コズミック ボウリング』。これは夜になると場内のライトが点滅したり、音楽が鳴り響いたり、レーンを転がるボールが光ったりと、エンタメの要素が加わっています。
Q2 アメリカでのボウリング人気は復活しつつあるんでしょうか?
A2 最近また人気が出て来ています!数字を見ると、2014年の売り上げが40億ドル。その4年後の2018年には100億ドルに成長しています!ボウリング人口も、2010年の900万人から2018年には6700万人に増えています!
Q3 ちなみに、アメリカ(LA)ではどういうシチュエーションで、ボウリングが楽しまれているのでしょうか?
A3 以前のプレーヤーは労働者が中心でしたが、現在、パーティーボウリングや、ファミリーボウリング、ソーシャルボウリングは高所得者層の間で急成長しています。最近では大学や高校でもボウリングチームが増えているというデータも出ています。また、子供の誕生会をボウリング場で開いたり、ボーイスカウトのより幼い子供たちが参加するカブスカウトでも、屋外アクティビティにボウリングが加えられたりと、若い世代へのアプローチが多く、今後もボウリングはレクリエーションスポーツとして発展していきそうです。
●フィリピン・マニラ在住、澤田 公伸さん
Q1 フィリピンでもボウリングは人気なのでしょうか?
A1 フィリピンの都市部では昔からボウリングが人気だったようです。特に1970~80年代に世界チャンピオンに4回輝いたフィリピン人女性のオリビア・クー選手や、ほぼ同時期に世界チャンピオンに6度輝いたパエン・ネポムセノ選手(男性)が現れたことで、この時期に一大ブームとなったようです。そして現在もマニラなど都市部ではボウリングが人気です。ボウリング場の運営会社のフェイスブックやツイッターなどを見てみても、順番待ちで3~4時間待たされた、などの投稿がいつもたくさん寄せられています。ただし、貧困層が4割を占めると言われるフィリピンで、ボウリングを楽しめる層が国民全体の半分ぐらいに限られていることは留意する必要があるかと思います。
Q2 ちなみに、1ゲームの料金はどのくらいなのでしょうか?
A2 一人が1ゲームするだけで(1ゲーム200ペソ[=約500円]ぐらいですので、首都圏でワンプレーするだけで、1日の最低賃金(現在は570ペソ[=約1425円]ほど)の2割分を出費することになり、貧困層にとってはなかなか手が出ないレベルです。
Q3 マニラでは、どういった場所にボウリング場があるのでしょうか?
A3 マニラ首都圏ではボウリング場はほとんどの場合、大型ショッピングモールの中にあります。ボウリング場だけ独立した建物にある場合もありますが、かなり限られています。フィリピンのモール運営最大手のSMモールという商業施設が一番、ボウリング場を多く運営していて、ビリヤード場やダーツ、卓球テーブルやバスケットボールのシュートゲーム(Hoopsと呼ばれる)などが併設されています。また、ピザやコーンチップと溶けチーズのスナック・ナッチョなどの軽食が注文できるようになっており、ビールやソーダ類などの飲み物も販売されています。
Q4 フィリピンでは、みなさんどんなシチュエーションでボウリングを楽しんでいらっしゃるのでしょうか?
A4 現在60歳以上の「団塊の世代(ベビーブーマー)」やその子どもたちの世代が今もボウリングを熱心に楽しんでいるほか、モールに集まる家族が息抜きや時間つぶしできる場所としてボウリング場は親世代に限らずその子ども世代にもずっと人気だったため、今の20代や30代、ティーンエイジャーたちも何かあればボウリング場に行って時間をつぶすようです。そして、フィリピンで独特なボウリングの楽しみ方としては、とにかく、よく会社や政府機関(自治体)などの組織単位でボウリング場を長時間借り切って、自分たちのためのトーナメントを開催することでしょうか。特に多いのは新人研修と銘打って、入ったばかりの新人社員と古い社員らが一緒になってお互いの絆を深めるためのいわゆる「チーム(ワーク)ビルディング」の機会としてボウリングトーナメントを行ったり、会社の社員や顧客、関係者を集めて年に1回や2回の賞品付きの特別トーナメントを開催することで会社と取引先との関係を強化することもよく行われます。また会社や政府組織の創立記念日やクリスマスパーティー、「父の日・母の日」などの記念日にボウリングトーナメントを開催するケースも多いようです。