毎回、海外在住の方に、現地の事情をレポートいただいております。ところで、海外で暮らす日本人の方々が所属する「日本人会」というグループがあります。親睦・交流・情報交換・共通の利益を守るために存在しているそうですが、実際にはどんな組織で、どんな活動をしているのか、気になります。そこで、この時間は2つの国の番組通信員の方に回線をつないで、「日本人会」について、お話しを伺います。

●アルゼンチン・ブエノスアイレス在住右下 量三さん

Q1 アルゼンチンの日本人会ですが、どのくらいの規模の組織なのでしょうか?

A1 ・アルゼンチンに日本人が移住してはじめてから今年で125年。その間、様々な「日本人会」なるものが存在しております。

・人数は厳密には把握できませんし、変動もあるとは思いますが、在アルゼンチン日系団体のとりまとめをしているFANA(→ファナ、と呼ぶ。在ア日系団体連合会)という団体に加盟している日本人会は40前後。これらは日本からの移住者が入植した地域の団体で、会の内部に日本語学校もかかえたりしています。ちなみに僕が役員をつとめる神奈川県人会はFANAに加盟していませんので、そういった団体も含めると、日本人会のトータルはさらに増えると思います。

Q3 さきほど、右下さんは神奈川県人会の役員を務めていらっしゃるとのことですが、出身都道府県別の日本人会では、どんな活動をしているのでしょうか?

A3 県人会はだいたい年2回ベースの親睦会。神奈川県人会の場合、年2回の総会でレストランなどに集まって会員の親睦を深めますが、どの県人会も若年後継者層の関心のつなぎ止めに苦心しており、うちの場合は県人会内部に青年部を設けて若い世代にアピールし、会の存続にむけて努力しています。しかし、世代が二世、三世、四世と移り変わるにつれ、次第に足が遠のいて消滅する日本人会も増えてきています。

Q4 いろいろな親睦会があるかと思いますが、アルゼンチンならではといえるものはありますか?

A4 やはりアサードと呼ばれるバーベキュー料理での会合でしょうか。大勢が集まってパリ―ジャと呼ばれる焼肉で世界一旨い&良質と言われる牛肉をワインとともにいただくのはアルゼンチン冥利につきます。ブエノスアイレス郊外のブルサコ地区には、広大な土地の中にブルサコ日本人会が協力してつくったパリージャ施設があり、各県人会、村人会が利用しています。肉を食べた後はこどもたちはもちろんフットボールに興じて、未来のマラドーナ?メッシ?を目指します。

●ケニア・ナイロビ在住 / 早川 千晶さん

Q1 ケニアの日本人会ですが、どのくらいの人数が所属されている組織なのでしょうか?

A1 はっきりわからないのですが、500名ほどではないかと思います。

Q2 ケニアの「日本人会」には出身都道府県別など、細かく組織が分かれているんでしょうか?

A2 ケニアの場合は日本の出身都道府県は特に区分されてはいませんが、なんとなく、東北出身者や九州出身者など、誰がどこの出身かということをゆるやかにお互い知っている場合はあります。やはり同郷の人がいると嬉しいですよね。

Q3 早川さんも日本人会に加入しているそうですが、普段どのような交流活動が行われているのでしょうか?

A3 クラブ活動がさかんです。例えば、駐在員に帯同されておいでになっている奥様方が社会貢献活動をするボランティアの会「アサンテの会」やコーラス部である「マライカ」、赤ちゃんがいる人たちが集まる「ベビー会」、スポーツでしたらテニス部、バトミントン部、ゴルフ会などもあるようです。サッカー好きの人たちや野球好きの人たちが集まってプレイしているということも聞きます。あと、新しくやってきた人を古くからいる人たちが情報提供したり、生活に慣れるように助けたりもしています。婦人部や、商工会などもあり、そこでは勉強会や講演会なども行っています。また、例えば私の場合は東京外国語大学出身なのですが、ケニア外語会というグループがあり、東京外語大、大阪、京都など、日本各地の外語大出身者たちが集まり会合をすることがあります。最近では、アフリカで起業したいという日本のやる気ある若者たちがやってくることが多いのですが、そうすると、ケニア在住の日本人の方々に助けられ、最初はインターンシップなどをして学ばせてもらい、起業をするなどしています。やはり在住日本人が少ないですから、アットホームな繋がりがあるのがケニア日本人会の良いところです。

Q4 まさに助け合いですね!そのほか、ケニアの日本人会の催しで印象的なものはありますか?

A4 年に一回のふれあい祭りというお祭りがあります。そこには、様々なグループがいろいろな出店をして、例えばお好み焼き屋とかイカ焼きとか、たこ焼きなどの思い思いの店をだして、あとはくじ引き大会があったり、のど自慢大会があったりして、家族連れで楽しい時間を過ごすことが出来ます。