きょうは「こどもの日」ということで、毎年、「子どものなりたい職業」といったアンケート結果が発表されますが、第一生命保険が発表したランキングによると、男子は小・中・高校ともに「会社員」が3年連続の1位!女子小学生の1位は「パティシエ」でしたが、女子の中学・高校は「会社員」が1位という結果でした。

ちなみに、男子小学生の2位は「YouTuber/動画投稿者」ということで、堅実な「会社員」と、「YouTuber」という、両極な職業が並んでいます。そこで、この時間は、2つの国の番組通信員の方に回線をつないで、「子どものなりたい職業」についてお話を伺います。

●スウェーデン・マルメ在住 / 丹呉 由紀子さん

Q1 スウェーデンでも「子どものなりたい職業」のランキングなどは出ているのでしょうか?

A1 ランキングは特に目にしたことがありませんが、あるアンケート調査によると、今も昔も、スポーツ、音楽、映画など、スターになりたいと願っている子供は多いようです。例えば、プロサッカー選手、卓球選手、ピエロ、ヘリコプターのパイロット、軍隊・兵士などでしょうか。また、テレビや映画などでよく描かれる伝統的な職業に就くことを夢見る子供も数多くいるようです。例えば、医者、弁護士、建築家、警察、獣医、考古学者、消防士、など。親の影響も大いにありそうですね。

Q2 ちなみに、スウェーデンでも時代によっての変化はあるのでしょうか?

A2 YoutuberTVゲームを作る会社で働きたい、IT関係など、デジタル関係の仕事に就きたいと聞くのは、最近の傾向と言えるかと思います。一方で、乗馬学校に通う子供が、馬を世話する馬の厩務員や獣医、動物の研究者になりたい、仲間の人間や動物を守り、助け、救助するような、例えば、警察、海難救助隊員、看護婦などの職業に就きたいという話も聞きます。何らかの形で他人と関わる仕事をしたい人は、医療や福祉、教育などの分野でも長期的に必要であり、職業は時代とともに移り変わりますが、人の存在を必要とする職業は、これからも存在し続けるだろうと感じます。

Q3 教育が充実しているスウェーデン、たとえば、先生になりたいという子もいるのでしょうか?

A3 最近のアンケートの結果によると、将来、教師として働くことを想像できるかという質問には、ほぼ半々な回答が返ってきたという結果があります。半分の生徒が教師として働くことを考え、半分はまったく教師になりたくないと思っているのです。教師という職業に前向きな人の主な理由は、楽しい仕事であること、子どもたちと一緒に働き、手助けができること、特定の科目が楽しいことでした。将来教師になりたくない人は、「気難しい子供が多いので、忍耐力のある人が管理しなければならない、とても疲れる職業だ」と述べています。

●中国・北京在住のライター、斎藤 淳子さん

Q1 「子どものなりたい職業」ですが、中国ではどんな職業が子どもたちに人気なのでしょうか?

A1 まず、中国でも伝統的に定番の人気の職業があります。科学者、軍人・警察、医師、教師で、これは15年前に聞いた時も、今回も人気でした。ほぼ、外さない中国で子どもの理想の職業かもしれません。警察になって悪い人からママや家族を守る(7歳男子上海、8歳男子上海)と言う子もいます。実際に子供にとってイメージしやすい職業で、さらに、こういえば、親も先生も満足してくれる職業でもあります。

Q2 親も先生も満足する職業、ということは、実は子どもたちの本音じゃないってことですか?

A2 日本で定番のケーキ屋さんやスポーツ選手という手の希望は中国では、ごく最近、聞くようになった新種の人気職業です。これは、おそらく、本当の小学生の声ですよね。そういうのは、「メンツの国」ゆえか、以前は外に出て来にくかったです。でも、去年の6月1日の子供の日に、中国の経済コメンテーターが108人にインタビューした資料では、少数ですが、ケーキ屋さんやパティシエ、バスケの選手、声優などもいました。もし、直接、個別に中学生位の子どもたちに調査すれば、「網紅(ワンホン)=ネットセレブ」や「主播(ジューボー)=中国のYouTuberに相当」も実は結構人気のように感じます。

Q3 なるほど、実際は日本のこどもたちと変わらない感じですね!中国は、都市部と農村部で、かなり経済格差がありますが、そのあたり、子どもの憧れの職業にも影響はあるのでしょうか?

A3 苦労している子の本音が聞こえる回答もありました。深圳の12歳の男の子は「理想は白い襟=バイリン(を着てオフィスで働く人の意味)になること」と言っています。その理由は「今の生活は大変で楽しく暮らせない時もある。自分が大きくなったら、家族がお金の圧力に屈しないように、自分はもっとたくさんのお金を稼ぎたい。次の代では僕たちのような苦労はさせない!」と語っています。中国では、職業を言うとき、英語由来で、「白い襟」のオフィス・頭脳労働者と「青い襟」の肉体労働者・農民と二分する言い方があります。この子は深圳で生活しているけれど、自分の家族は出稼ぎ労働者か農業従事者なんでしょうね、漠然とオフィスで働きたい、そうしたらきっと今よりお金持ちになれるはずだ、と思っている様子が想像できます。

Q4 そのほか、「子どものなりたい職業」で、最近の傾向はありますか?

A4 世界との一体化・グローバル市民化も見られます。今まではあまり聞かなかった日本の子どもと共通するような子どもらしい職業も増えつつあります。

―歌手・俳優・女優

(11歳女子四川省)歌が好きだし、音楽はみんなを楽しくさせてくれるから。(12歳女子北京)テレビに出て、みんなに見てもらいたい。

―司会者

(11歳女子 広東省)。自分が話した後の拍手は何にも代え難い喜び。

―作家

(12歳、女子、広東省、作文コンクールで1等賞を取ったことがあるから。)、(12歳男子広東省、自分の想像力は溢れ出るからみんなと共有したい。)他にも、「読書が好きだから。」