今月18日、JRや首都圏の一部私鉄は、ダイヤ改正に合わせて駅のバリアフリー化を進める費用として、初乗り運賃などを10円値上げしました。今後、ホームドアやエレベーター、乗客の転落を検知するシステムなどの整備や維持に充てられるとのことです。
また、3月18日は、目の不自由な方が安全に移動するため、地面や床面へ設置された案内表示「点字ブロックの日」でもありました。点字ブロックは1960年代に日本で開発されたもので、いまは世界150か国以上で採用されているそうです。そこで、この時間は2つの国、街の通信員の方に回線をつないで、現地のバリアフリー、ユニバーサルデザインについてお話を伺います。
●フランス・パリ郊外でレストラン「ヴェルチュ」を営む、柳瀬充さん
Q1 パリの街は石畳が多いので、ご高齢の方や、車いす、ベビーカーで移動するのは大変そうなイメージがあるのですが・・・
A1 そうですね。パリはもともと石畳も多く、障がいを持った方が苦労するのを見かけていましたが、来年にオリンピックもあるので、街が徐々に整備されてきています。
Q2 2024年のパリオリンピックに向けて、パリの街も変わりつつあるんですね。具体的には、どういったところが整備されているんですか?
A2 街中では、道路の段差が少なくなったり歩道が広くなったりと、配慮されてきています。まだまだ車いすの方が動きやすい状況ではないとは思いますが、地下鉄などの交通機関では、エレベーターが設置されていたり駅職員の補助があるので、障がい者への配慮が伺えます。
Q3 ちなみに、パリにも点字ブロックはあるのでしょうか?
A3 はい。公共施設や交通機関では視覚障害者にもわかるように点字ブロックが施されています。とはいえ街中のお店にあるところは少ないです。
Q4 パリの街のバリアフリー化、まだ長い道のりですね。
A4 パリ中心での生活はまだまだ難が多いので、障がいのある方は中心から少し離れたところで生活されている方が多いようです。ただ、パリの街、バリアフリー対策は少ないですが、各所で誰かしらが助けてくれるので、その辺りはとても良いと思います。街のバリアフリー化も大切ですが、助けが必要な人に周りの人たちが寄り添ってあげる気持ちがさらに大切だなと日々思います。
●ニュージーランド・クライストチャーチ / 晝間 尚子さん
Q1 「バリアフリー先進国」とも言われているニュージーランド、その1つに建築に関する法律があるそうですね?
A1 ニュージーランドではビルを新しく建築したり、改築したりする際にバリアフリー、不自由なく安全に利用できるよう考慮することを法律で義務付けられています。
Q2 ほかに、晝間さんご自身が「バリアフリー先進国」を実感するのはどんな場面でしょう?
A2 ニュージーランドのほとんどの施設には車椅子用通路があります。私自身も生活していて、子供が小さかったときベビーカーを押したり、旅行で大きなスーツケースをひっぱって歩いている時も、歩道と道路の段差が緩やかなカーブになっていて移動しやすくて助かりました。子供と公園に行くと、地面がチップの入った柔らかい素材で出来ているので親としても安心できます。さらに公園では「車椅子ごと乗れるブランコ」があります。公園の遊具って子供にとっては目を輝かせて遊びたくなるものなのでブランコもバリアフリーでいいなと思います。
Q3 車いすのまま乗れるブランコがあるんですか!そのほかにも、バリアフリー化されている場所ありますか?
A3 市営プールでも車いすごとプールに入れる専用のアームがついた椅子が設置されています。そして、大自然の中のトレッキングコースにも車椅子でアクセスできる散歩道があります。ベビーカーを押して森の中を違和感なくさくさく進んでいけました。
Q4 人の心のバリアフリー化、という視点ではどうですか?
A4 建物や道路が整備されているだけでなく、社会全体が優しい。困っている人がいたら誰かが飛んできて「何かお手伝いしましょうか」レストランで赤ちゃんが泣いちゃってもみんなの目が優しい。