さて、あさって2月26日は「血液銀行開業記念日」です。

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1951年のこの日、日本初の血液銀行「日本ブラッドバンク」が設立されたことにちなんで制定されました。「血液銀行」とは、献血などにより提供者から採取した血液を保存管理して、輸血に必要な血液を必要に応じて供給する機関で、翌年の1952年には、「日本赤十字社」も血液銀行を設立しました。そこで今回は「献血事情」と題して、2つの国、2つの街の番組通信員の方にお話を伺います。

●オーストラリア・メルボルン在住 / 小林純子さん

Q1 オーストラリアでは献血はさかんですか?

A1 政府保健省の発表によると、オーストラリアでは毎年30人に1人(人口のおよそ3%)が献血を行なっているそうです。

Q2 日本の献血率は6%ほどのようなので、オーストラリアの献血率のほうが低いようですね。献血への呼びかけなどは行われているのでしょうか?

A2 毎年6月の「ナショナル・ブラッド・ドナー・ウィーク」では、献血者への感謝の気持ちや献血の大切さを伝えるとともに献血への協力が呼びかけられます。去年の「ナショナル・ブラッド・ドナー・ウィーク」の際、一回の献血で3人もの人の命が救える、など、献血についての広報をたまたま朝のラジオで耳にしました。

Q3 オーストラリアには献血ルームや献血バスはあるのでしょうか?

A3 日本でよく見かけるような献血バスは当地では見かけませんが、似たようなものとしてはポップアップ献血センターがあり、各地に期間限定で開設されて献血を受け付けています。常設の献血ルームも至るところにあります。

Q4 献血に協力するともらえるものはありますか?

A4 日本と同じく、献血をした後には、飲み物や食べ物が無料でもらえます。スナックのほか、パーティー・パイやソーセージ・ロールなどの暖かい食べ物、また、お水やジュースのほかにもミルクシェークなども用意されています。

Q5 オーストラリアでは、献血に関してすごい方がいらっしゃるそうですね?

A5 ジェームズ・ハリソンという現在88歳のオージーで、2003年にギネスブックで「世界で最も多くの回数輸血を行なった個人」として表彰された人がいます。彼がすごいのは生涯1100回以上もの輸血を行なったということだけではなく、彼の特殊な血液が孫のスコット君を含む240万人以上もの赤ちゃんの命を救ったということです。ジェームズさんは14歳の時に肺の摘出手術後、大量の輸血を受けました。輸血によって命が助かった恩返しとして、当時献血資格が生じる18歳になるとすぐに定期的な献血を始めたそうです。その11年後、自身の血液に特殊な抗体、抗D抗体があることが判明し、それ以降、献血資格を失う81歳になるまでの間、ほとんど毎週献血を行なってきたそうです。1960年代に彼の血液のように抗D抗体をもつ血液を基にして抗Dワクチンの開発が始まりました。ジェームズさんはこれまで多くの輸血および抗Dワクチン開発に貢献したとして、1999年にオーストラリアの叙勲を授賞しました。

●ラオス・ビエンチャン在住 / Chija(チジャ)さん

Q1 ラオスでは献血、さかんですか?

A1 はい、ラオスは若い人がとても多い国(国平均年齢24才)で、年々献血する人が増えているとのことです。献血率は1%弱ほどです。

Q2 ラオスの献血普及に、日本の赤十字が深くかかわっているようですね?

A2 日本は、様々な部分で、早くからラオスをサポートしてきた歴史があります。日本赤十字も早くからラオスでの献血サポートをし、最初はごくごく数人しか献血しなかったラオスで昨年はなんと6万8千人の皆さんが献血したということです。また、ラオス政府や赤十字では、今年は7万3000人の皆さんが献血をするように目標を掲げています。日本赤十字のサポートがここまで成長していて、これはすごいことだと思います。若い方でも、3ヶ月おき、半年おき、一年おきに献血に行く方も徐々に増えているみたいです。経済成長著しいラオスは多くの若者たちが献血でも国や国民を支えていますね。

Q3 ラオスでこれだけ献血が身近になっている背景は?

A3 ラオスの皆さんは仏教徒なのもあり、人を助けることをとても大事にしています。なので、facebookなどで血液が足りないなどの情報を見ると率先して献血に行く若者もいます。病院や医療も発展途上ですので、献血はとても重要でもあります。ただ、最近はお隣のタイの大きな病院がラオスに開業したり中国の大きな病院が建設中など、医療環境はどんどん良くなってきています。

Q4 ラオスでは、どんなところに献血ルームがあり、もしくは献血バスがくるのでしょうか?

A4 首都・ヴィエンチャンの街の中心部にラオス赤十字の献血センターがあったりします。若者たちが生きやすい場所にありますね。皆さんそこへ行き献血をします。また、オフィスや個人のおうちに赤十字スタッフが献血のため出向くこともあるそうです。

Q5 献血に参加するともらえるものはありますか?

A5 献血した方にカードをお渡しし、次回献血するとき、その方の血液型など情報がスムーズにわかるように、また、その方やご家族親族が血液が必要なときにも、すぐに血液型がわかるようにとの配慮とのこと。