きょうのこの番組は「グラミー賞直前スペシャル」と題してお届けしています。この時間は、「Best New Artist」にノミネートされていて、予想サイトなどで好位置につけている2組のミュージシャンに注目し、出身地の番組通信員に現地での人気や受賞への期待について伺っていきます。
●イタリア・ローマ在住 / 村本 幸枝さん
Q1 今回のグラミー賞で「Best New Artist」にノミネートされていて、受賞が有力視されているイタリアのバンド「マネスキン」、世界的にも人気となっていますが、ローマ出身なんですよね。地元での人気ぶりはどうでしょう?

A1 彼らの人気はすでに地元ローマのレベルをはるかに越えて、イタリアのみならず、世界的なレベルになっています。昨年7月、マネスキンは、古代ローマ時代に4頭立て馬車の競技場として使用されていた「チルコ・マッシモ」で野外コンサートを行ったのですが、7万枚以上のチケットが4月の時点で完売したそうです。このコンサートにはアンジェリーナ・ジョリーと娘のシャイロも来ていて二人がマネスキンの歌を口ずさみながらノっている姿がSNS上に流れ、話題になりました。
Q2 彼らの世界的にな人気について地元イタリアではどう受け止めているのでしょうか?
A2 イタリア人がロックを???という大きな壁を破ってイギリスやアメリカでも支持されたことがやはりイタリア人にとっても大きな驚きようです。やはりイタリアの音楽というとパヴァロッティやボチェッリなどのオペラ系なら世界レベルですが、ロックは無理...というのがなんとなく根拠のない定説でしたから...。 これまでイタリアン・ポップならイタリア以外の国でもある程度の人気は博しましたが、南米や中米だったりと限られていたし、やはりアメリカでそれなりの結果を出していることは大きいと思います。イタリア初ですから。。。
Q3 村本さん、なんと先日、マネスキンのメンバーにインタビューしたんですって?そこで伺ったエピソードなどありますか?
A3 そうなんです。先月20日に「Rush!」という新しいアルバムが発売となり、彼らにインタビューをさせて頂く幸運な機会に恵まれました。ライブやレコーディングに限らず、世界中からの取材やインタビュー、ラジオやテレビへの出演など、あちらこちらで引っ張りだこのようで本当に分刻みで動いている様子が伝わってきました。最初から高みは目指していたけれど、このスピードの速さは全くイメージしていなかったとのこと。マネスキンはコスチュームや歌詞からとても挑発的と思われがちのようですが、Z世代という世代のせいなのか、ひと昔前の破壊的で自滅的でアグレッシブなイメージのロックスターとは違う印象です。ただ、自分たちの主張やメッセージは音楽を通じて伝えたいという譲らない強さはきちんと持ち合わせているという印象を持ちました。
Q4 今回、マネスキンが新人賞を受賞すると、65年前グラミー初回の最優秀レコード、楽曲で受賞した「Volare」のドメニコ・モドゥーニョさん以来ということになります。マネスキンのメンバーはノミネートされたことについて、どんなことをお話しされていましたか?
A4 新人賞にノミネートされたときはメンバー全員が同じ場所にいたらしいですが、その時にちょうどヴィクトリアはバスルームにいて、叫び声と共にバスルームのドアをいきなり思い切り叩かれたので、「何かやらかしてみんな怒っているのか」と焦っていたら、グラミー新人賞にノミネートされたとわかって大喜び。すぐに家族や友達に連絡をしたそうです。当日は、受賞云々よりも、まずはグラミー賞の会場の空気感を思いっきり楽しみたいと言ってました。ビッグアーティストたちがたくさん居合わせていますからね。が、やはり受賞は狙っていると思います。
●ブラジル・リオデジャネイロ在住 / 藤井 陽樹さん
Q1 今回のグラミーで「Best New Artist」にノミネートしている女性シンガーのアニッタさん、ブラジルではかなりの有名人のようですね?

A1 はい、10代で歌手デビューして人気になり、テレビでは司会者としても活躍し、また様々なイベントに引っ張りだこなんです。わたしが10年前にブラジルに来たばかりの頃、リオで柔道世界選手権があったんです。妻の仕事の関係で観戦に行ったら開会式のセレモニーを盛り上げるために1人の歌手が登場した瞬間観客が一斉に立ち上がって、すごい歓声をあげたんです。誰だと思ったらそれがアニッタでした。その頃から物凄い人気でしたね。その後もリオ五輪の開会式など、もうとにかく大きなイベントには必ずといっていいほど現れます。
Q2 すでに人気・実力を備えているということですね!アニッタさんはリオデジャネイロ出身とのことですが、特に、リオでの人気は一段と高いんですか?
A2 リオの貧しい地域出身という背景を持ちつつ、英語やスペイン語でも楽曲をリリースして世界で活躍する姿は親しみと憧れが同居するような感覚といえるかもしれません。ブラジル国外で人気が出つつも、ミュージックビデオなどを見るとリオの地元の人が特に喜ぶような演出がよく見られるので人気は絶大です。アニッタの過去の有名な曲を調べてみると、10年前僕がリオに来た頃よく耳にしていた曲があったりして、「これアニッタだったんだ」となるんです。そんな頃からコツコツ活動を続けてきたからこその人気なんだと思います。
Q3 アニッタさん、かなりインパクトのあるパフォーマンスが特徴ですが、ブラジルのみなさんは、どんなところが彼女の魅力だと感じているのでしょう?
A3 ブラジル人らしくかなりセクシーな衣装でダンスをしたりするのが有名なのですが、僕は彼女の曲はついつい口ずさみ踊りたくなるというのが一番の魅力だと思います。僕の耳が10年前の曲を覚えているのもそうですし、5歳の娘がどこで覚えたのか急に家で歌って踊り始めたりするのですが、調べてみるとアニッタの曲であることがよくあるんです。大人から子どもまで広い年代の人に支持されていると思います。とはいえ一度でも露出が強烈なミュージックビデオを見てしまうとそのイメージが頭から離れないのも事実です。
Q4 グラミー新人賞にブラジル人アーティストがノミネートされたのは、1074年のエウミール・デオダード以来49年ぶり。予想サイトなどでは受賞フロントランナーです。今回、アニッタが受賞すればブラジル人ではじめての受賞ということで、地元での期待についてはいかがでしょう?
A4 ブラジル人が世界で有名人になるのはサッカー選手ばかりだったのですが、ブラジル国内で絶大な人気を誇る歌手が世界トップクラスの賞をとる姿を見たい人はたくさんいるはずです。ファッションモデルなどではジゼル・ブンチェンなど有名なブラジル人がいるのですが、また違った華やかな舞台でブラジル人に脚光が当たる姿を楽しみにしています。