1月25は「お詫びの日」でした。

20230127c01.jpg

11世紀のローマ王ハインリヒ4世が、教皇グレゴリウス7世を怒らせ破門されたことに対し、許しを請うためカノッサ城の前で、雪の降る中、裸足で断食と祈りを続けた、いわゆる「カノッサの屈辱」にちなんで制定されました。そこでこの時間は「世界のお詫び事情」というテーマで、2つの国の番組通信員の方にお話を伺います。

●スペイン・アルメリア在住 / 佐藤 美季さん

Q1 まず、スペインのみなさん、個人差はあるでしょうが、なにか相手に悪いことをしてしまった時、すぐ謝る方が多い印象ですか?

A1 個人差はありますが、本人が本当に悪いと思わなければ、絶対に謝らないです。日本では、丸くおさめるために、とりあえず謝っておくということがありますが、「丸くおさめる」をスペイン語で言い表すのは難しいです。また、謝ってほしくて、こちらが指摘すると、相手にとっての様々な理由や釈明が返ってきます。スペイン語には、「屁理屈をこねるな」とか「言い訳をするな」という言葉もないです。謝ってほしければ、こういう理由の説明をきかないといけないです。これをしないで、黙っておいて何かの時に仕返しをすると、信用をなくします。また、理詰めで追い詰めすぎてもダメです。また、日本語で感謝を表す時に「すみません」と言う時がありますが、これもスペインではないです。

Q2 日本のように、何か不祥事があると企業や団体、著名人が謝罪会見を開くという文化、スペインにはありますか?

A2 見たことないですね。スペインでは、所属している団体や家族よりも、自分個人が尊重されます。

Q3 個人が尊重される、という点は良いことのように思いますがたとえば仕事の取引先などに迷惑をかけた時、お詫びの品として渡すものなどなんてありますか?(日本では羊羹とか最中とか、和菓子が多い印象ですが・・・)

A3 これも、見たことないですね。お詫びの品を差し出すと賄賂みたいだと、かえって怪しがられます。

Q4 たとえば、もう少しライトなミスの場合はどうですか?

A4 先日、飛行機に乗る際に、チェックインしようとしたら、「この飛行機はオーバーブッキングされているので、お客様は乗れないかもしれません」と言われ、「なんで、オーバーブッキングなんてするんだ」と言ったら「私がしたんじゃない」と言われました。でも、彼女の機嫌を損ねては困るので、「この飛行機の後、日本行きの別の会社の飛行機に乗り継がないといけないのよ。お願い。席をなんとかして」と頼んだら、頑張って、交渉してくれて、席がとれた時には、なぜか、私の方が「ありがとう!!!」と言い、彼女の方が「どういたしまして」と言っていました。という具合なので、所属する団体や家族の誰かのために謝るということはないですね。

Q5 では、プライベートな場面で、スペインでお詫びの気持ちを表すためにする行動というと?

A5 本当に悪いと思った時に、心を込めて謝り、次から同じことは二度としないと伝えること、そして、その約束を守ること以外に無いと思います。また、誰かに謝罪を求めるとき、他者のミスに寛容になること、相手のプライドを尊重して追い詰めないことが重要だと思います。

Q6 スペインに暮らす佐藤さんが、「お詫び」について感じていることは?

A6 日本に比べて、スペインの謝るという行為はもっと重い意味を持っていると思います。日本ででも、謝りすぎると大きなストレスになります。そういう意味で、むだなストレスを軽減するためにも、「謝りすぎない」スペイン的なコミュニケーションもご参考にしてみては、いかがでしょうか。

●韓国・ソウル / ヤン・ジョンミさん

Q1 韓国では企業などが不祥事を起こした際の「謝罪会見」、多いですか?

A1 以前は会社の広報の担当者が報道資料を通じて謝罪したり、電話などで説明するケースが多かったのですが、今は会社を代表する社長や会長が直接頭を下げないと消費者や国民が納得しないので、公式に謝罪する記者会見を行うことが増えています。

Q2 やはり、SNSなどでのバッシングに配慮してということでしょうか。では、著名人のスキャンダルの場合はどうでしょう?

A2 スキャンダルについては本人が全面に出るよりかは、事務所側が代理として本人の立場を伝えることがまだまだ多いです。下手にSNSに書き込みや釈明して誤解を招くこともあるので、なるべく状況が落ち着くまで様子をみたり、後になって謝罪するケースもあります。

Q3 では、仕事の取引先などに迷惑をかけてしまった時など、お詫びのために渡す定番の品なんてありますか?

A3 仕事の取引先の担当者や職員の年齢にもよりますが、健康食品やお茶セット、伝統菓子や洒落たデザートセットとかが多いですね。 特に、高麗人参が入ったエキスやドリンクセットなども定番です。

Q4 高麗人参ですか!高級なものもあるでしょうから、お詫びの気持ちが伝わる品なのかもしれませんね。では、プライベートな場面でお詫びの気持ちを表現する際に渡すプレゼントは?

A4 どれだけ親しいかにもよりますが、(日本のLINEのような)カカオトークでギフト(券)を贈ったりすることが多いです。例えば、会社の同僚や仲良しだったらスタバーのコーヒーセットとか商品券、お店で交換(ピックアップ)できるケーキやフライドチキンセットの他にも住所を入力すれば家まで配送してくれるプレゼントセット(ブランドのコスメやフルーツセットまで)などいろいろあります。ギフトだけに限らず、謝りのメッセージとともに送られるのでよく利用してます。

Q5 プレゼント以外に、お詫びの気持ちを伝えるためにする行動は?

A5 韓国人は謝罪したり誤る時にご飯を奢ったり、お酒をご馳走したりして一緒に食事をしながら和解することが一般的です。ちょっとしたことだったらお茶をしたり、お昼を奢る。かなり迷惑をかけたりした場合は、きちんとしたディナーや2次会でご馳走して関係を取り戻すことが多いです。