早いもので、2022年も今日を入れて9日となりました。今年の「新語・流行語大賞」の年間大賞は、プロ野球・東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手の神がかり的な活躍から生まれた言葉「村神様」に、京都・清水寺で発表された「今年の漢字」は、「戦」が選ばれましたね。ところで、海外のあの国、この国では、どんな1年だったのでしょうか?この時間は2つ国の通信員の方と回線をつないで、今年話題となった出来事、流行などを伺います。
●中国・北京在住、斎藤 淳子
Q1 2022年の中国といえば、やっぱり徹底したコロナ対策「ゼロコロナ政策」でしょうか。しかし、最近になって急に感染対策の緩和が行われ、いま、相当混乱しているようですね?
A1 はい、北京は大きく振り子が揺れています。12月初旬まで水一滴漏らさない緊急ゼロコロナでした。我が家も七百人が住むマンションに感染者が一人いるかもしれないという理由で(中国のPCRは十人分カクテル混ぜ方式なので十人分の管が陽性だったケースが続出して)、11月下旬から二週間も封鎖されていました。ウルトラ厳しい「ゼロ」コロナを3年近くやってきて、それが今では180度振れて「全員」コロナです。先週は我が家も漏れなく感染しました。周りでも知り合いの8、9割の人が感染していて、最近の挨拶は「罹った?陽性から健康になった?」の意味で「陽康(ようこう・ヤンカン)になった?」です。街はもう1ヶ月以上ゴーストタウン状態です。この数日は人足は少しづつ戻りつつあるみたいですが。薬局には解熱剤を買う列ができ、病院は人で溢れ、一部宅配も停まっていて、会社もほとんど在宅勤務、外食する人もほとんどいません。
Q2 さて、コロナ以外の中国の流行も伺いたいんですが、今年ブームになったムーブメントはありますか?
A2 ●レトロ:レコードプレーヤーがインテリア的に流行ったり、昔日本にあった、簡易カメラのようなものが流行っていて、急にニーズが高まったために、フィルムが高騰しています。
●田舎生活:都市部では生活費も高く、コロナで就業も難しく、田舎に退いてオシャレな田舎生活を始める若い人が出現。動画投稿サイトのビリビリなどでも、田舎で10年契約で中古の家を借りて、それをリノベする過程を動画で記録して流している人も人気とか。中国では昔は田舎といえば、ダサい、汚い、遅れているだったのが、楽しくゆっくり暮らす場所、スローライフの場所にだんだんなってきているのかもしれません。
Q3 日本で言う「流行語」のようなものはありましたか?
A3 まだ、今年の決定打の流行語は発表されていませんが、一つコロナ関連の新語があります。上海の封鎖直後に出た新しい隠語で「潤う」と書いて中国語では「ルン」と読む漢字です。ピンインがRUNなので、英単語の走って逃げるRUN AWAY、という意味を込めて、海外に移民して逃げ出す、という意味で使われるようになりました。中国の将来に不安を感じて、経済的に余裕のある人の間でシンガポールやカナダ、日本など海外に移民を希望する人が増えている現状が背景にあるようです。もう一つも、コロナで生まれた「団長(トワン ジャン)」ということばです。今年の4月、5月の上海は長期間マンションに閉じ込められ、供給される食糧がひどく不足しました。その時に住民グループの長が個人のコネなどを総動員してマンション住民の食糧を手配したのですが、その時のリーダーを指して「団長」といいました。元々は軍の師団長などで使うものですが、政府主導の市場が麻痺する中で、住民が自分のサバイバルをかけて生んだ草の根のヒーローを指す言葉です。まあ今年は中国はコロナにはじまりコロナに終わってこれからも楽観は許されないという感じです。
●インド・ムンバイ / ハリー・チェンさん
Q1 2022年のインドですが、今年特に目立った話題はありますか?
A1 世界でも話題になりましたが、2023年にインドの人口が中国を抜き世界一の人口、14億人になる見通しであることが話題になりました。また、経済ではインドは今年元々イギリスの植民地でしたが、なんと独立75年で英国の経済規模を上回り、世界5位の国になったことも話題になりました。政治ではインドがG20議長国になることでこちらも話題に。
Q2 そのほか、インド国内のトレンドで話題になったことは?
A2 トレンドではgoogleサーチでは「クリケット」が今年もランクイン。また、ボリウッド映画は今年も記録を更新。イギリス植民地時代のインドを描いた映画「RRR」が日本でも過去最高の日本での興行収入になって話題に。そのほか、40億円の興行収入の「ブラフマーストラ」はじめ多数がヒット。
Q3 SNSで今年バズった動画など、ありましたか?
A3 衝撃的だったのは女性が1人で自分と結婚したとの動画、英語では「sologamy」=自分婚。インド人では初めてでネットは騒然。「セルフラブ」を掲げる彼女、インドのカラフルな結婚式は自宅で行いました。他のパートナーなど必要ない、1人で幸せよ、と!
Q4 インドで今年注目された人は?
A4 やはり一番は僕のオックスフォード大学後輩でもある、リシ・スナクイギリスが、イギリスでは初の非白人系、インド系の首相として就任したことは大きく報道されました。