きょう10月14日は「PTA結成の日」です。ちょうど70年前の1952年、日本父母と先生全国協議会、現在の日本PTA全国協議会が結成された記念日です。PTAというと、積極的に参加する方がいる一方で、共働き家庭には負担が大きいと敬遠される傾向も強く、最近ではPTAの業務を代行するサービスも登場し、賛否を引き起こしています。

そこで、この時間は「世界のPTA事情」と題して、2つの国、2つの街の番組通信員の方に回線をつないでお話を伺います。
●ドイツ・ミュンヘン在住 / 町田 文さん
Q1 まず、ドイツにもPTAにあたるものはあるのでしょうか?
A1 PTAと呼びませんが、父母会はあります。ドイツ語では州によって呼び方が変わります。私が住んでいる南ドイツのバイエルン州では「Elternbeirat」と言います。父母会の権限と役割は学校教育法にも定められています。各クラスに一人か二人保護者の代表がいないといけません。
Q2 では、その父母会ではどういった活動を行っているのでしょうか?
A2 基本的には学校の校長・教員と保護者の架け橋になる役割を担っています。分かり易く言えば、父母会員でない保護者に意見・要望を述べる場を与える、そのアイディア・悩みを先生達に報告する、授業が行われない日の活動について相談する(遠足の行先・費用を先生と共に決めるなど)、学校側が負担できない買い物がある場合、保護者から募金を募る、など。
Q3 ドイツの父母会、参加は任意?それとも持ち回りなのでしょうか?
A3 任意です。父母会員に立候補し、新学期の初めの保護者会(大抵9月)で選挙が行われます。バイエルン州では学校の父母会参加は2年となっています。
Q4 日本では共働きで忙しかったり、できればPTAの役員をやりたくないと考えている親御さんが多い印象なんですが、ドイツの親御さんたちは父母会に対して、どう捉えていますか?
A4 父母会参加はボランティア活動ですので日本人と同じ悩みはあります。ドイツでは共働き家庭は当たり前のようにあります。その中でも、出産を機にフルタイムからパートタイムに切り替えた人(主に母親)や家庭と仕事の両立を上手に保っている人(自営業者で勤務時間の調整がしやすい人、仕事を4-5時に切り上げることができる人→夕方の保護者会や父母会の集会に顔を出しやすい人など)が父母会に立候補する傾向があります。同じ学校に複数の子供を通わせている人も会員になりやすいタイプと言えます。
Q5 ちなみに、ドイツの幼稚園や保育園にも父母会があるとか?
A5 あります。私には4歳の娘がいるのですが、娘が通う幼稚園でも各組に2人以上います。全会員のおよそ3割は父親です。幼稚園だと行事のお手伝いや子供達の落とし物(主に衣類)の管理など、先生たちだけでは人手が足りない業務に父母会の助けが必要になります。(不定期。父母会の集会は年に4回)。 行事に関して言うと、父母会員だけが手伝うというよりも他の保護者に呼びかける役割を果たします。私は会員ではありませんが、呼びかけがあったので遠足の付き添いをしたり、夏祭り用にケーキを焼いたり、障害物競走の誘導係をしたことがあります。仮に父母会員である保護者が一・二度手伝うことができなくても、批判はありません。前述の「学校側が負担できない買い物がある場合保護者から募金を募る」話に関して言えば、娘の幼稚園では父母会で先生たちのクリスマスプレゼントを購入する伝統があります。その際、プレゼント代金収集が行われます。(参加・不参加と募金額は自由。)
●韓国・ソウル / キム・ミンヨンさん
Q1 韓国にもPTAはあるんですよね?
A1 はい!あります。学親御会と言い、毎年3月に新しく、各年の班の代表と学校全体の役員を選出します。
Q2 役員はどうやって決められるのでしょうか?
A2 毎年、こともを通じて立候補の書類を渡されます。そこに推薦したい人を書くか、自分を立候補する形になります。大体、高学年の母親が学校の事情をよく知っているので、役員になることが一般的です。
Q3 韓国のPTAでは、どういった活動をしているのでしょうか?
A3 学校のイベント、親御教育などに親達の動員や学校の行政監視、学校にいいプログラム提案などをしています。韓国では親御教育を、年2~3回やっています。教育の内容は子供との会話の仕方、子供のスマホの正しい使い方、心肺蘇生法講習などを行っています。コロナの前には体育大会や学芸会の準備など、学校の大きな行事を手伝ってましたが、コロナでいろいろ状況が変わり、ネットで情報を発信したり、来年の行事を決めるのに意見を出す程度です。親御教育もオンラインに変わりました。
Q4 日本では、PTA役員を敬遠する傾向も強くあり、PTA業務を代行するサービスが話題になっていますが、韓国ではいかがですか?
A4 PTAだからって、活動に強制性はなくて、役員たちや先生と打ち合わせで時間を合わせればいいので、そこまで大変じゃないようです。また、PTA以外に、各班で朝、登校道の横断歩道で子供達が安全に渡れるように見守るボランティア活動をする希望者を集めています。順番をきめてボランティア活動をしている団体を「グリーン母会」といいます。この活動ができない共働きがたまにバイトを探していることもありますが、代行サービス業者ではなく、個人と個人でやっています。このグリーン母会も最近、負担にかかるだろうという学校の配慮で、シルバー世代の方を採用し、働き場として地域に貢献する形に変わりつつあります。