さて、あす10月8日は「コンビニATMの日」です。ATM=現金自動預払機ですね。今ではコンビニにATMがあるのは当たり前ですが、いつからあるかご存知ですか?

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1999年です。今から23年前の10月8日に、イーネットが日本で初めてコンビニに銀行の共同ATMを設置したんだそうです。そこで、この時間は「世界のATM事情」と題して、2つの国、2つの街の番組通信員の方に回線をつないでお話を伺います。

●アメリカ・ニューヨーク在住 / 中村英雄さん

Q1 アメリカのATMですが、日本のATMとの違いについて教えてください。

A1 設置してある場所:銀行店内は当然ですが、レストランや繁華街の路上などに非銀行系のATMが散見されます。GS隣接のコンビニストアや街のコンビニにも置かれている場合が多いです。あと、現金の使用が必要となる場面(例えば野外フェスとかマーケットの会場、ナイトクラブのイベント時など)には、モバイル(移動型)のATMがよく設置されています。やはり非銀行系のATMです。とはいえ非銀行系は手数料が2ドル50とかやたら高いので、一般には避けられる傾向が強くなっています。

Q2 振り込み、引き落とし、キャッシングなど利用できるサービスは日本のATMと同じですか?

A2 キャッシングはATMで受け付けています。その他、口座の残高照会、(本人の?)口座間の資金移動、過去10回までの出入金明細発行などがATMを使ってできます。日本と違うのは小切手での入金が可能な点。小切手の情報を読み取る機能が付いています。

Q3 他人が書いてくれた小切手=チェックも読み取る機能があるんですね!ところで、日本で問題になっている振り込め詐欺のような事件は、アメリカでもあるのでしょうか?

A4 アメリカでは他人の口座に振り込む場合は、窓口で処理してもらうケースが多いように思います。ATMでは、それができないと理解しています。少なくとも、僕はATMで振り込んだ記憶がありません。なので、ご高齢の方が、いますぐATMに走ってムスコを救うために振込、みたいな事例は聞いたことがありません。家族間の仕送りや送金は、電報送金システムを使うことが今までは多かったです。

Q5 カード情報を不正に読み取る「スキミング」のほうはどうですか?

A5 ここ数年で、磁気テープ記憶式のカードは陳腐化して、今はほとんどチップ式です。そのためスキミングは減っているという理解です。

Q6 日本では、キャッシュレス化の流れもあって、特に銀行系ではATMを減らす傾向にあるようですが、アメリカではどうですか?

A6 : ATM製造業界の成長率は依然、伸び悩んでいます。僕の実感では、急速な社会のキャッシュレス化も影響していると思います。VenmoやapplePayなどの普及によって、送金や振込の煩わしさが一気になくなりました。友達と食事に行って「割り勘」になり、「あ、いけね...現金ないや、ちょっとATM行ってくる」なんて恥ずかしい場面もスマホ一つで解消されます。同様に「あ、いけね...現金ないや、次に会うときに返すから貸してくれない?100ドルだっけ?」みたいな不信感を招く会話も絶滅しました。

●香港在住 / ラム 恵子さん

Q1 香港でも、コンビニに行けばATMがある、という状況なのでしょうか?

A1 香港では、コンビニの中に設置してあるATMは一台も見たことが無いです。どこでもスペースが限られる土地柄、コンビニが狭いという事も理由ですが、何よりも防犯の為だと思います。香港では、ATMだけ独立して設置されておらず、必ず頑丈な建物の一部に埋め込まれていて中にある現金を外から簡単に盗めないようになっています。

Q2 コンビニにはATMがないということで、銀行窓口のあるATMとの比較ということになりますが、利用できるサービスで日本と違うところはありますか?

A2 振り込み、引き落とし、キャッシング、通帳記入など出来て日本と同じですが、それに加え、電気料金などの各種支払い、駐車禁止違反の罰金や税金まで幅広くATMで支払いが出来ます。そして、一番良いのは、全て手数料がかからない事です。

Q3 公共料金の支払いなどができるのは便利ですね。さきほど「手数料がかからない」とおっしゃっていましたが、たとえば、異なる銀行間でのやり取りでも手数料がかからないのですか?

A3 実は、香港のATMでは、全く異なる銀行間の振込みは出来ないシステムになっています。同じ銀行内やグループ銀行、提携銀行内のやり取りでしたら全て手数料フリーです。

Q4 取り扱い可能な貨幣について教えてください。

A4 香港のATMでは、香港ドルは勿論ですが中国の人民元も同じように使えます。ただし、中国政府の規制のため香港での人民元引き出しは一日5000元(日本円でおよそ¥95,000)と制限されています。この規制は非常に評判が悪いのですが、変更の可能性は当分無いと言われています。

Q5 ちなみに、日本で問題になっている振り込め詐欺やスキミングのような事件は香港でもあるのでしょうか?

A5 振り込め詐欺は、香港でも大きな問題になっています。よくあるオレオレ詐欺やロマンス詐欺に始まり、最近では公安詐欺の被害が多いようです。公安詐欺というのは、その名の通り中国の公安職員から電話が入り「あなた宛ての違法荷物や違法書類が通告されているので、もみ消しの為に至急現金振り込みを!」と言う詐欺です。そして、スキミング被害も、このコロナ禍で被害数が倍増しています。ここ香港と地続きの中国広東省などには、スキミングの偽造カード製造基地が数多くあるようです。先日も、偽造カード製造工場と詐欺集団の摘発ニュースが大きく報道されていました。