あさって、8月28日は「気象予報士の日」。1994年のこの日、第1回の「気象予報士国家試験」が実施されたことにちなんで制定されたそうです。

テレビやラジオはもちろん、インターネットを通じて、毎日の天気予報や気象にまつわる情報、地震や台風、大雨、火山の噴火などの災害情報にいたるまで、多岐にわたる情報が発信されていますが、海外ではどうなんでしょうか?
そこで、この時間は「世界の天気予報事情」と題して、2つの国、2つの街の番組通信員の方に回線をつないで、お話を伺います。
●オーストラリア・メルボルン在住/小林純子さん
Q1 現在、メルボルンは朝の7時40分すぎ、南半球なので今は真冬ですが、メルボルンの気候について伺えますか?
A2 1日に四季があると言われるほど1日のうちに天気が変わりやすいことで有名ですが、月別平均気温をみると最低平均気温は摂氏6℃、最高平均気温は摂氏26℃と比較的穏やかです。ただし、夏場にはヒートウェーブといって40度を超える日があったり、冬場も温度が0度近くまで下がる寒い日も時々あります。
Q2 オーストラリアの天気予報(気象情報)で特徴的なこと、日本との違いはありますか?
A2 オーストラリアは国土が大きく、赤道に近い北部は常夏に近い場所もありますが、ここメルボルンのように南に行くほど日本のようにはっきりとした四季があります。オーストラリアの天気予報で特徴的なことは年間を通じて紫外線情報(UV Index)が入っていることです。紫外線は冬場は多少低いと言われていますが、それでも中程度の紫外線量が放出される場所がオーストラリアには多いからです。ちなみにUV Indexは1から11以上まであるのですが、中程度というのは3~5となります。ご承知の通り紫外線は皮膚癌や白内障の原因となります。紫外線が大変強く注がれているオーストラリアはおのずと皮膚癌発生率の高い国の一つとなっています。
Q3紫外線以外に、オーストラリアにお住いのみなさんが重要視している気象情報はありますか?
A3 紫外線指数の他に特徴的なものに、夏場の山火事(ブッシュファイヤー)が起こりやすい時期(10月から4月)に出されるFire Danger Ratingと、山火事等が起きて煙が蔓延し大気が汚染されていることを知らせるAir Quality Forecastがあります。Fire Danger Ratingは気象庁が発表しますが、Air Quality ForecastはEPAといって州のEnvironmental Protection Authorityが予報を出します。天気予報と同様欠かせない情報です。2019年末から2020年初めに大規模な山火事が起きた際にはこの大気クオリティーの予報は人々にとって重要な情報となりました。オーストラリアは喘息の発生率が高いこともあり、大気のクオリティーに関心が高い人が多いです。
Q4 最後に、オーストラリアのお天気について、小林さんが気になることなどありますか?
A4 天気予報で雨の予報でも傘を持たないで外出するオージーが多い、というか傘をそもそも持っていないオージーが多いように見受けられます。大気の質を気にしても雨に濡れることはあまり気にしないようです。笑
●フィリピン・マニラ在住、澤田 公伸さん
Q1 フィリピン、マニラの気候について教えていただけますか?
A1 雨季は本曇りや雨、乾季は一部曇りで晴れが多く、年間を通じて暑いですが、日本のような蒸し暑さはなく、陰に入ればそれほど暑さは感じません。年間で、気温は23℃から34℃くらいで、21℃を下回ることは滅多にありません。
Q2 フィリピンの天気予報(気象予報)で特徴的なこと、日本との違いってありますか?
A2フィリピン国内では科学技術省の下にあるフィリピン気象庁(Pagasa=バガサと呼ばれる)が一手に予報を担っています。日本の天気予報は非常に細かいところまで情報量が豊富ですが、フィリピンはとても大雑把です。台風や熱帯低気圧が近づくとかなり丁寧な情報発信をしますが、それ以外は「晴れか雨か、気温が高くなるのか」ぐらいの情報です(あと黄砂情報も時々)。あと日本では低気圧と高気圧の配置や雨雲データなどがよく予報で使われますが、フィリピンではそれらのデータはあまり使われず、熱帯低気圧の動きと季節風の吹込みなどが風雨をもたらすため、これらの動きの予報が中心になっているようです。
Q3 さきほどお話にありましたが、フィリピンといえば台風の影響を多く受けやすい地域ですが、台風に関する天気予報でなにか特徴的なことはありますか?
A3 台風はフィリピンの場合毎年20個以上が襲来すると言われており、最大限、天気予報でも注意喚起をしています。特に2013年11月にレイテ島などを直撃した観測史上最大の台風ヨランダによって沿岸の住民を中心に6千人以上が高波や強風で亡くなった悲劇を経験して以来、フィリピンでは台風の進路に当たる自治体には事前に避難所への退避命令が出されるようになりました。天気予報としても台風ブレティンと呼ばれる緊急情報を6時間おきぐらいに発信しています。
Q4 ほかに、フィリピンに住むみなさんが、日常の天気予報で重視していることはありますか??
A4 日本では降水確率や花粉注意報なども毎日のテレビの天気予報で放送されていますが、フィリピンではそんな細かい情報はほとんどなく、明日は雨が降るのか、台風が来ているのか、気温が高いのか、ぐらいなので、逆にあまり明日の事は気にならなくなります。「明日は明日の風が拭く」という生活態度でいられるのがフィリピンの良いところかな、などと思います。