さて、梅雨が終わると夏休みがやってきます。コロナ規制も徐々に緩和されつつあり、旅行需要も回復傾向にあるようです。今年の夏休みは海外旅行を計画している方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ちなみに、旅行会社のエイチ・アイ・エスが先日発表したデータによると、夏休み期間の予約者数ランキング、1位はハワイ・ホノルル、2位はタイ・バンコク、3位は韓国・ソウル、4位はイギリス・ロンドン、5位はフィリピン・マニラとなっています。さて、海外では、今年の夏、どんな旅行先が人気になりそうなのでしょうか?2つの国を結んで、お話を伺います。
●アメリカ・ニューヨーク在住 中村英雄さん
Q1 コロナ規制も緩和されて、アメリカの今年の夏の旅行者数、かなり回復するのではないでしょうか?
A1 空前絶後の旅行消費が期待されると言われています。アメリカン・エクスプレス社が毎年行なっている旅行傾向調査によると、回答者の72%は国内旅行に、64%は海外旅行により多くのお金を使いたい、と考えているそうです。2年間どこにも行けなかったので、今年こそは旅行するぞ、という気運の高まりはひしひしと感じます。
Q2 なるほど、国内旅行に行きたいという方が多いんですね。では、アメリカ国内で人気の旅行先というと?
A2 旅行保険会社のアリンツの調査によると、ダントツのトップがフロリダの「オーランド」!現在、まだ特別期間継続中の「ディズニーワールド創立50年祭」が、大きなマスト・シーです。毎晩、ワールドとエプコットの両パークでパレードと花火大会だとか。その他、近隣にユニヴァーサルスタジオのハリーポッターライド(2019年)、去年オープンしたジュラシック・ワールドのヴェロシコースター、今年2月にレゴランドの中にできたピッパ・ピッグのテーマパークなどなど見逃せない新設アトラクションがひしめき合う世界一のエンタメシティ。グルメ環境まで一段とグレードアップされて、コロナ後のオーランドへの人気が激増しているとのことです。ランキングでみると、オーランドの後に、シアトル、ホノルル、カフルイ(マウイ島)、ボストン、ニューヨーク、ロサンジェルス、ラスベガス、ポートランド、デンバーと続きます。上位に自然や癒し系のエリアが上がっているのが傾向、でしょうか。
Q3 では、アメリカからの海外旅行で、今年人気になりそうな場所は?
A3 全体的な雰囲気としては、カナダやアイルランドや北欧の最果て、アフリカのジャングル、ヨルダンやカザフスタンのような中近東から西アジアの砂漠など、人気(ひとけ)の少ない自然の豊富な場所の情報が目につきます。コロナ禍で旅行意識もガラリと変わって、今まで行きたかったけど「まあ無理だろうな」みたいな一生に一度の「ガチ」デスティネーションの優先順位をあげて「今行くしかない」と決意して旅に出たい、あるいは大自然に身を浸して自分を見つめ直したい、そんな気持ちが強いのではないでしょうか。同じくアリンツが発表した一番人気の海外デスティネーションはメキシコのカンクン。その後に、同じくメキシコの、サンノゼ・デル・カボ、アルーバのオランジェスタッド、ジャマイカのモンテゴベイ、ドミニカ共和国のプンタ・カナ、メキシコのプエルト・ヴァアラルタ、バハマのナッソー...と中米カリブ諸国のビーチリゾートが続きます。
Q4 ちなみに、日本へ行きたいという方は?
A4 ニューヨーカーに聞いてみると(僕が日本人だということでリップサービスかもしれませんが)、実は行きたい外国ナンバーワンはニッポンなのです。
理由は;
- 食べ物が美味しい(B級グルメから懐石まで何でも)
- 見所がいっぱい(文化遺産から原生林まで)
- 人々が優しい
- 清潔
- 安全
- 交通の便がいい
- アニメそっくりの世界
- 買い物楽しい
- そして、値段がリーズナブル(空前の円安)
ニッポンの保険会社調査上位ランクインを阻むのは、コロナによる入国規制だけです。規制さえ緩和されれば、ものすごい数の観光客が米国から日本へ押し寄せるはずです。現に、ニューヨーク総領事館は、日本渡航の問い合わせと詰めかけるビザ申請者でパンク寸前です。
●スペイン・バルセロナ在住 / 山本 美智子さん
Q1 スペインでもコロナ規制はかなり緩和されていると思いますが、今年のバカンスシーズンに向けて、(スペインからの)旅行者数は増えそうでしょうか?
A1 スペイン政府は、パンデミック以前に比べて、今年の4月には観光の85%が戻ってきたとの報告書を出しています。5月のイースター休暇には、2019年のレベルが戻ってきたという報告もあります。その一方で、ちょっと前のデータになりますが、経済誌によれば、旅行者数は増える見込みですが、パンデミック前までの回復は、2023年の夏以降になるだろうという考えを示しています。
Q2 スペイン(バルセロナ)のみなさんは、コロナ前はどんなところに旅行に行かれていたんでしょうか?
A2 KAYAKという旅行サイトが国内外を合わせて、スペイン人が望む夏の旅行の行き先の調査を行なったのですが、明らかに国内旅行がメインです。人気の行き先トップテンを見てみると、一位マドリード、2位はビーチやサマーフェスで有名なベニドーム、3位マジョルカ島、4位マラガ、5位バルセロナと上位からずらりと国内旅行が占めていて、海外の行き先として、ようやく7位にパリが出てきます。
Q3 では、コロナ禍を経て、今年、人気になりそうな旅行先はありますか?
A3 昨年の夏は、密を避けて野外を求めて、キャンピングカーをレンタルしたり、購入する人が増え、スペインではキャンプ場の予約が982%増というキャンプブームが起きました。今年もその傾向は続いていますが、だいぶ、通常の観光が戻ってきている印象です。スペインの全国ネット、人気民放局であるアンテナ3局が、今年の傾向について報じたニュースによれば、国内の観光が人気なのは、変わらないのですが、中でもトップはスペイン最先端のカナリア諸島。カナリア諸島は、冬でも20度前後の温暖な気候と数々のビーチで有名なので、もともと、一年中、人気の観光地なのですが、昨年9月にその中の一つ、ラパルマ島にあるブレビエハ火山が噴火しまして、結果的には、死者、負傷者ともにゼロだったのですが、噴火がおさまるまで、実に3ヶ月かかり、7千人が避難を強いられたという災害だったので、非常に大きな話題となりました。今年の観光には、カナリア諸島の通常の観光と組み合わせて、そのラパルマ島を訪れ、自分の目で見て確かめ、被災地にお金を落とすことで貢献するというのが、ダントツで一番人気なのだそうです。
Q4 ちなみに、日本に旅行に行きたいというスペインの方はどうですか?
A4 新型コロナウイルスによるパンデミックが起きる前は、スペインから日本を訪れる観光客の数は、過去最高記録を出していました。観光に従事する専門家向けのHostelturというポータルサイトがあるのですが、このサイトによれば、日本政府観光局のデータをもとに、2019年には前年比より、9.5%増の13万200人のスペイン人が日本を訪れたと言われています。スペインは、日本を訪れるヨーロッパの国のランキングとしては、5番目だそうですが、実際、私の周囲でも、日本をバケーションの行き先として考える人が急増している印象がありましたので、再び、日本に旅行に行きたいと思う人は多いのではないかと思います。ただ、これは私見ですけれども、現在、マスク着用がほぼ必要のない状況に慣れているスペイン人にとって、今、日本に行き、再び、屋外や飲食店でもマスクをつける生活をバケーションで行なうというのは、まだ少し、厳しいように思います。今年に関しては、まだ、旅行先として選ぶには、二の足を踏むところがあるかもしれませんね。