あさって、6月5日は「環境の日」です。プラスチックごみの削減を目的に、日本では2020年7月からスーパーやコンビニでのレジ袋が有料化されました。また、今年4月には「プラスチック資源循環促進法」が施行。フォーク、スプーン、ナイフ、ストロー、ハンガーなど、使い捨てプラスチックを大量に使う事業者に使用量の削減を義務づけるほか、自治体に回収・リサイクルの努力義務を課すようになりました。今朝はフランスと中国にプラスチックごみを減らす取り組みについて伺います。

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●フランス・パリ郊外でレストラン「ヴェルチュ」を営む柳瀬充さん

Q1 フランスはプラスチック削減への取り組み、かなり厳しく行われていますよね?

A1 フランスでは2016年に世界で初めて、『プラスチック製の使い捨て容器の使用を禁止する法律』を制定し、4年後の2020年1月に施行されました。これによって、プラスチック製のビールグラスやワイングラスも、ピクニックなどに持っていくお皿やコップ、それにオフィスに設置したコーヒもマシーン用のカップも大幅に減少しています。この法律はプラスチックの環境汚染やゴミ問題、そしてプラスチックを作るために必要なエネルギーを節約するために作られました。

Q2 フランスでは、2025年までに使い捨てプラスチック包装の年間市場投入量を、2018年比で20%削減する、などの目標を掲げていますが、成果などのデータはすでに出ていたりするのでしょうか?

A2 目標設定からの具体的なデータは見つからなかったのですが、段階的に取り組みを強化しているとのことで、年毎に使用禁止事項が設定されているようです。生活していても、スーパーの包装やテイクアウトの梱包など、大きく変わってきているのが実感できます。

Q3 そして今年の1月に新たに野菜や果物へのプラスチックの包装を禁止する法律が施行されたそうですね?

A3 2020年2月施行の循環経済法により、今年から小売販売での1,5kg未満の未加工の野菜や果物のプラスチック包装を禁止とする規定がなされました。傷みやすい果物などは品目に応じて2026年までに段階的に禁止するということです。

Q4 お客さんはどのように対応しているのでしょうか?

A4 こちらでは元々、マルシェで包装なしの野菜、果物を販売しているので、エコバックや買い物キャリーを持って買い物する人が多く、スーパーなどでもマルシェに近い販売形式になってきているように思えます。

Q5 ちなみに、レストランの仕入れの際には、どういう包装になっているんでしょうか?

A5 レストランでの配達も液体物を含んだもの以外は、野菜や肉であっても紙や布で包装されており、プラスチックを最低限に減らしているようです。

●中国・北京にお住まいの、斎藤 淳子さん

Q1 中国ではレジ袋の有料化が早かったそうですね?

A1 中国では2008年にレジ袋が有料化されました。ですので、大手のスーパーに行く時はマイバッグを持つ習慣はできました。ただ、レジ袋を有料化したのは、大手のスーパーだけで、一般の果物屋や小規模な雑貨店やスーパーでは、これまで通りレジ袋を無料でくれます。また、中国は、伝統的には量り売りだったのですが、商品の高級化とスーパーでもデリバリーするところが最近はすごく人気なので、無駄なトレーやケースを多用するようになっています。

Q2 そのほか、中国でのプラスティック削減のための取り組みを教えてください。

A2 一応、政策上は減らそうということになっているので、外資系や国内の高級店などはストローや持ち帰り用容器も紙製に替えたり、レジ袋も生物分解タイプに切り替えたりし始めています。ただ、全体からみると、オシャレで、高級で、意識が高いところに限られます。大多数の他の一般店での移行はまだまだですね。

Q3 では、プラスチックが削減されている実感はあまりない、ということですね?

A3 中国の上海や北京で本格的なごみの分別が導入されて騒ぎになったのが2019年です。本格的に、環境に優しくしていこうとする雰囲気はその時盛り上がったのですが、その後はコロナに突入で、そうでなくてもゼロコロナでロックダウンなど経済はガタガタなので、その気運は今は感じられないです。

Q4 さらに、プラスチック削減に関して、心配ごとがあるとか?

A4 それは、急速なフードデリバリーの浸透です。中国では2017年以降、爆発的にフードデリバリーが増えています。この数年の年間平均の伸び率は30%以上で、昨年の市場規模は、2017年比で3倍に伸びました。5億4000万人のユーザー数のうち、約8割が30歳以下のシングルで、お金はあるけど時間も料理の習慣もない一人っ子の人たちです。フードデリバリーによるごみは2017年で160万トンだったと指摘する研究(国際学術誌Resources, Conservation and Recycling、2018年3月)があるので、ざっとみても市場規模は2017年時の3倍に急増していますから、ごみの量も倍々ゲームで急増しているはずです。