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沖縄が世界に誇る宝の1つが「サンゴ礁」です。沖縄には世界にあるおよそ800種のサンゴのおよそ半数が生息すると言われる、世界一サンゴの種類が豊富な稀有な海なのです。

そして、県にはサンゴの採集を禁止する規則や、赤土が海に流れ出すのを防ぐための条例があります。また、下水道を整備して汚れた水が海に流れ出さないようにするなど、美しい海を守る活動も行われています。そこで、この時間はサンゴ礁を有する2つの国と回線をつなぎ、「サンゴ礁」を堪能できるスポットや、環境を守るために行われている施策などを伺いましょう。

●オーストラリア・メルボルン在住 小林純子さん

Q1 オーストラリアのサンゴ礁といえば、世界自然遺産にも登録されている「グレートバリアリーフ」が有名ですが、国内の旅行先(リゾート)としても人気なのでしょうか?

A1 グレートバリアリーフはもちろんオーストラリア国内でも大変有名ですが、同じように珊瑚礁の海で有名なフィジーやバリ島のような、近隣の海外旅行先の方が大変安価であることから、グレートバリアリーフには行きたくてもなかなか行けない旅行先となっています。また国内にはグレートバリアリーフ以外にも多くのリゾート地が点在するため、生粋のダイバーでもない限り、必ずしも旅行先としての優先度が高くはありません。

Q2 オーストラリア国内でもハードルの高い場所だということですが、グレートバリアリーフのサンゴ礁を堪能できるツアーやアクティビティなどはあるのでしょうか?

A2 本土からグレートバリアリーフに船で向かい、ダイビングをして珊瑚礁を見る定番のツアーもありますが、私のように船酔いする人間にはグレートバリアリーフ到着までの道のりと、到着してからの船上での船酔いが大変辛いので、本土からグレートバリアリーフまでデイツアーで訪れるのではなく、グレートバリアリーフにあるいくつかの島のリゾートに滞在して島周辺の珊瑚礁を堪能するのはオススメです。島から底がガラス張りになった船に乗って魚やサンゴを見るツアーや、島から小型のセスナなどの飛行機に乗って、上から珊瑚礁を見るツアーもマストです。空から見えるハート形のリーフは有名です。

Q3 そんな中、グレートバリアリーフが「危機遺産」に加えられるかもしれない状況なんだとか?!

A3 海水温度の上昇や水質汚染を要因としたサンゴの白化が、ここ数十年で問題となっています。昨年の6月にユネスコが「危機遺産」に登録すべきだと勧告しました。ちなみにサンゴの生息に最適な水温は25~28度で、30度以上の状態が続くと白化現象が起こると言われています。

Q4 では、オーストラリアでは、サンゴ礁を守るために、どんな施策が行われているのでしょうか?

A4 グレートバリアリーフを訪れる旅行者からサンゴの管理や保護を目的として環境管理税(いわゆるリーフタックス)を徴収したり、グレートバリアリーフの保護のためのクラウドファンディングを募り、珊瑚礁についての教育や監視、育成(苗付け)さらに移植を通じた珊瑚礁の管理を行っています。そのほか、エコ・ツーリズムの奨励や、海洋観光地域の制限によるによる珊瑚礁の保全や珊瑚礁の水質改善のための政府の支援なども行われています。また、今年に入り、オーストラリア政府はグレートバリアリーフの保護を強化するため、10億豪ドル(およそ810億円)を追加支出すると発表しています。

●アメリカ・ハワイ在住 / 鮓谷 裕美子さん

Q1 まずは、ハワイでサンゴ礁を観ることができる、おすすめのスポットについて教えてください。

A1 ハワイ島で一番のシュノーケリングスポットといえば、「プウホヌア・オ・ホナウナウ国立歴史公園」に隣接している、ツーステップと呼ばれるビーチがオススメです。その名の通り、エントリーできる場所が二段の階段になっていて、その階段からドボンと入ればすぐに竜宮城という美しいビーチです。初心者でも観光客でも、また、ベテランダイバーからも愛される場所で、素潜りの世界チャンピオンの方が潜りに来ていたりします。毎週日曜日の朝に『チャーチ』と呼ばれるフリーダイビングを愛するコミュニティの方々が集うことでも有名な場所です。様々なスピリチュアル体験をする方が多い場所で、イルカやホヌとよばれる海亀との遭遇率も一番高いビーチです。ちなみに海底に珊瑚や魚の彫刻で作られた、ALOHAという文字が見られることでインスタグラマーからも人気のスポットです。

Q2 ちなみに、ハワイでサンゴ礁を守るために、どんな施策が行われているのでしょうか?

A2 ハワイ州観光局は現在レスポンシブルツーリズム(責任ある観光)に力を入れています。それは自然やその地域に生息する動植物にネガティブな影響を与えず、現地の地域コミュニティへ利益を還元し、旅行者にとって学びの機会となるような旅行のことで、SDGs目標14である『海の豊かさを守ろう』という項目に代表されるように、海の環境と生き物を守ることが急務とされています。その背景には、2030年にはハワイの90%の珊瑚礁が危機に瀕しているという統計が出ているからです。

Q3 そんな一環で、今年、サンゴを守るための法律が施行されたとか?

A3 具体的な施策として2018年に、有害な日焼け止めを販売しないという法律が可決され、3年の時を経て昨年の1月1日から施行されています。紫外線吸収剤として悪名高い「オキシベンゾン」と「オクチノキサート」が使われている商品はすべて規制の対象となり、店頭販売はされていません。

Q4 日本からハワイへ遊びに行かれる方は気をつけていただきたいですね。

A4 残念ながら、日本メーカーの日焼け止めは、紫外線吸収剤がほとんどの商品に入っています。ハワイにお越しになる方で、日本で日焼け止めを買う場合は、成分表を見て「オキシベンゾンとオクチノキサート不使用(oxybenzone and octinoxate free sunscreen)」の日焼け止めを選ぶようにしてください。また「珊瑚礁を殺すあなたのサンスクリーン、引き取ります」キャンペーンが行われており、環境に優しい方法で廃棄してくれる箇所がハワイ島には4箇所あります。海水浴をしない人でも皮膚に吸収された珊瑚に有害な日焼け止めがシャワーを通じて海に流れ込んだり、尿として有害物質が排出された場合海を汚すので、ぜひ気をつけてください。