さて、日本の春の象徴といえば「桜」ですよね。東京ではそろそろ見納めですが、春本番の季節がやってきました。ところで、海外ではどういったものが春を象徴する存在なのでしょう。この時間は2つの国を結んで、「春の訪れを告げるもの」というテーマでお話を伺ってみましょう。

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●カナダ・バンクーバー在住 / 窪田 誠さん

Q1 「春の訪れを告げるもの」ですが、アメリカと同じく、カナダにも「グラウンドホッグ・デー」というのがあるそうですね?

A1 「グラウンドホッグ・デー」は北米ではアメリカとカナダで行われています。有名なのはアメリカのペンシルバニア州ですが、カナダではケベック州のバルテスポワール、ノバスコシア州のシューベナカディ、オンタリオ州のワイアートンの3箇所です。これは冬眠から覚めるマーモット(グラウンドホッグ)=リスが自分の影を見ると冬はまだ6週間は続くと言う占いでなんです。今年はケベックとノバスコシアは春の訪れが遅いという結果になりました。ちなみに昨年は早いという結果でした。

Q2 そのほか、カナダで春を象徴するもの、行事、習慣などはありますか?

A2 そのほか、春にカナダ人がとても気になることがあるのですが何だと思いますか?ヒントは甘いものです!カナダで有名な甘いものは、そうです、メープルシロップです。

この冬から春にかけての気候はメープルシロップの出来に大きく左右されるんですね。メープルシロップはサトウカエデの木の樹液(メープルウォーター)を煮詰めて作られます。

3月上旬から4月上旬までの間に夜の気温がマイナス5度、昼間の気温がプラス5度前後になると、カエデの木は地面の雪解け水を大量に吸い上げて木の中の糖分と混ざりメープルウォーターが出てきます。それを集めて、40分の1に煮詰めるとメープルシロップができます。

カナダのメープルシロップは世界の生産量の8割と言われており、5800万キログラムの生産量があるそうです。

Q3 メープルの出来、今年はどうなんでしょう??

A3 昨年は暖冬で収穫が例年より少なかったそうで、つまりグランドホッグが占った春が早いことが少なからず影響しています。

なので、今年の結果は春が遅いので、比較的気温が低くメープルウォーターの収穫は順調なんだそうです。カナダの人はメープルシロップの出来によって春を感じる方が多いですね。

JK 「グラウンドホッグ・デー」とメープルシロップの出来が連動している、というのはとても興味深いですね。

●オーストラリア・メルボルン在住、小林純子さん

Q1 今回のテーマ「春の訪れを告げるもの」ですが、そちらは南半球なので、季節は逆ですよね?

A1 オーストラリアは南半球に位置しているので、現在は秋のはじめです。日本と季節が真逆となります。

Q2 オーストラリアの春の訪れを象徴する花、ジャカランダというのがあるそうですね?

A2 ジャカランダは当地では春一番(9月頃)というよりも、10月終わり頃から咲き始めて11月中に満開になります。でもメルボルンにはあまりジャカランダの木はないんです。ジャカランダはもともとオーストラリア原産ではなく南アメリカの木です。クイーンズランドやニューサウスウエールズ州北部に多く植えられています。オーストラリアの子供のクリスマス・ソングにChristmas Where the Gum Trees Growという歌があるのですが、その歌詞にも「when the bloom of the Jacaranda tree is here, Christmas time is near(ジャカランダの花が咲く頃にはクリスマスがやってくる)という下りがあります。

Q3 では、メルボルンでも春の訪れを感じる、より身近な存在というのは?

A3 オーストラリアでは何と言っても黄色のワトルです。正式名はゴールデン・ワトル、ヨーロッパではミモザとも呼ばれている花です。アカシア科の木で葉はみどりです。ワトルはオーストラリアの国花で、オーストラリアの国の色(ゴールデン・イエローと緑)はワトルの木が花をつけた時の色に由来します。当地ではワトルの黄色の花は9月の春先に至るところで見られます。

Q4 ワトルの木にまつわるイベントなどはあるのでしょうか?

A4 9月1日はオーストラリアではゴールデン・ワトルの日です。(祝日ではないです。笑)ワトルの花見といった行事は特にありませんが、ワトルの日にちなんだマーケットなどのイベントが開かれたりします。ワトルの花が咲く頃には、花粉症もやってきます!あとは夏時間の始まりです。夏時間は10月初めの日曜日から始まります。時計を一時間先に進めます。デイライト・セービングが始まるともうすぐ夏です。