きょうプロ野球が開幕、公式戦がスタートします。

新型コロナウイルスの影響で、去年、おととしは観客数に制限がありましたが、3年ぶりに観客の人数制限を設けずにシーズンを迎えることになりました。

また、変化といえば、東京ドームがリニューアルされ、国内スタジアム最大規模となる、横幅およそ125メートル、フルカラーLEDの新メインビジョンが登場。(従来のビジョンから4.4倍の広さ!)ほかにも、スイート席やプレミアムラウンジ、グループ観戦が楽しめる個室などの改修・増設、顔認証入場、顔認証決済の導入も行われるなど、スタジアムは大きく進化しています。

今朝は世界の「最新スタジアム事情」と題し、2つの国を結んで、世界的にも有名な"あのスタジアム"のお話を伺います。

●アメリカ・ロサンゼルス在住 / 手島 里華さん

Q1 ロサンゼルスといえば、2020年にオープンした、NFLのチーム「ロサンゼルス・ラムズ」と「チャージャーズ」の本拠地、「SoFiスタジアム」ですね。(昨年、BTSが4公演ソールドアウトでも話題になりました。)こちら、総工費が日本円で5600億円以上!「世界で一番高価なスタジアム」とも言われていますよね?

A1 何もかもBIGです!・観客の収容数!固定の座席が70,000席。立見席が30,000席あるので、合わせると10万人が動員できる巨大スタジアム。こんな広いと後ろの席からは試合が見えないんじゃないか!と心配になりますが大丈夫!フィールドをぐるっと囲うように、アメリカのスポーツスタジアムでは最大の、両面360度の超巨大・超高画質のスクリーンが吊るされているので、大事な瞬間も見落とす事はありません!!  

Q2 SoFiスタジアム」は屋根にも映像を映し出すことができると話題ですよね?

A2 天井の屋根は半透明のプラスチック・パネルで覆われていて、これがすごい!LEDが埋め込まれて映像を映す事が可能な上、紫外線にも強く、耐久性にも優れているそう!

Q3 ネーミングライツについても改めて教えていただけますか?

A3 名前の『So-fi』は、命名権を持つサンフランシスコの金融企業『So-fi』から来ています。命名権を獲得するために20年以上に渡って4億ドル(日本円でおよそ420億円)を支払う契約が結ばれているそう!これはスポーツ会場の命名権としては過去最高額なんだそうです!

Q4 今年のスーパーボウルでは、初めて「SoFiスタジアム」が開催地になりましたが、桁外れのスケールだったとか?

A4 今年のスーパーボウルのチケットの平均額は1枚148万円。チケット販売会社を通して売り出された最高額は1,800万円!過去最高を記録!

Q5 今後、「SoFiスタジアム」で開催予定の世界的なイベントというと?

A5 2026FIFAワールドカップ(アメリカ・カナダ・メキシコ共催) 2028年ロサンゼルス・オリンピックの開会式・閉会式会場が予定されています。

Q6 空港からも近いということで、アクセスはよさそうですが、注目の試合や大規模イベントでは混雑が心配とか?

A6 場所はロサンゼルス国際空港から車で東に20分ほど。海外からのアクセスも便利!ロサンゼルスのダウンタウンにも車で30分と、ロサンゼルス観光をするにも便利な場所になっています。アクセスが便利な場所にあり、さらに収容人数も膨大なので、当然渋滞は覚悟!イベントの開始直前・直後は周辺地域も大渋滞。余裕を持って駐車したい方は、試合やイベント開始4時間前には来たほうがよさそうです!帰りは、試合などが終わって1時間くらい経つと割とスムーズに出られるそうです。

●スペイン・バルセロナ在住 現地サッカークラブでの通訳、ライター、コーディネーターなど幅広くご活躍の、山本 美智子さん

Q1 FCバルセロナのホームスタジアム「カンプ・ノウ」は1957年完成の歴史あるスタジアムですが、今年の夏から改修工事に入るそうですね?

A1 もとを辿ると2007年から計画されていた改修工事ですが、予定では、今年の夏から改修を始め、2025年の完成予定を目指しています。今年のリーグ戦の最終節は、5月22日の週末に予定されており、バルサ的には、ホームでのバルサービジャレアル戦でリーガが終わるのですが、この試合が、現在のカンプ・ノウで見られる最後の試合になることでしょう。

Q2 「カンプ・ノウ」、どんな風に新しくなる予定なのでしょうか?

A2 計画では、1階、2階は、椅子などは新しく変えても、残せるところは残して利用していく予定ですが、1957年から使っているものですから、スタジアム全体の老朽化は想像できるかと思います。そこで新しいカンプノウには、例えば、地熱エネルギー、地面の熱を利用した冷暖房設備など、地球に優しい最先端の技術も取り込んでいこうとしています。世界に誇れるカンプノウを目指しているわけですが、今一番の問題は、来シーズンが始まった時、トップチームの試合を改修途中のカンプノウで行ないながらするのか、それとも、例えば1年間、改修中は、ホームゲームを別のスタジアムで行なうのか、という問題です。まだ、この問題の回答が、出ていないのが現状です。

Q3 「カンプ・ノウ」だけでなく、周辺一帯をリニューアルする計画なんだとか?

A3 「エスパイ・バルサ」を呼ばれているFCバルセロナのプロジェクトの一環です。古くなったカンプ・ノウをリフォームするのはもちろんですが、それだけではなく、今は閉じられてるスタジアムをバルセロナの町に向かって、スタジアムをオープンスペースにするといったコンセプトがあります。また、現在は、同じ敷地内にバスケットやハンドボールのコートがあり、更に道を渡ったところには、以前はバルサB、バルサ女子の専用スタジアムだった「ミニ・エスタディ」がありました。他にも、バルサアカデミーやフットサルの練習場などもあります。それらが全てFCバルセロナの所有地なのですが、それらを全部繋げて、一つの大きなエンターテイメントスペース、ディズニーワールドならぬバルサワールドを作るという一大プロジェクトが進行しているのです。もちろん、飲食店も入る予定です。つまり、スタジアムは試合を見に来て終わったら帰る場所ではなく、一日中、食べたり飲んだり遊んだりスポーツ観戦したり、自分でもスポーツを試せたりするような、バルサファンでもそうじゃなくても楽しめるような憩いの場であり、バルセロナの町と繋がり、自ら発信できる場に変えていこうとしているのです。

Q4 先日、Spotifyがメインパートナーとなり、スタジアム名が「スポティファイ・カンプ・ノウ」となることが発表されましたが、初めてのネーミング・ライツ導入ですし、このあたり、地元のファンのみなさんの反応はいかがでしょう?

A4 正直、次のスポンサーが決まらないと、先ほどお話しした「エスパイ・バルサプロジェクト」が今年の夏に始められないという、追い詰められた内情がありまして、それをわかっていたので、ある意味、大きな反対は見受けられなかったように思います。スタジアム名が冠せられることも、時代の流れだと冷静に受け止められているようです。この件について、記者会見で聞かれたチャビ・エルナンデス監督は「ビッグブランドで、若さがあって、モダンで、音楽を扱っている。クラブにとって大きな一歩だ。クラブのマーケティング部はよくやったと思う。とても満足している」と答えました。チャビは、監督ではありますが、地元ファンにとっては、クラブを深く愛しているファン代表的な存在でもあります。そのチャビがこういった発言をしていることで、地元ファンも納得していると思います。

Q5 スペインのサッカー界を長らく取材されている山本さんが、今回の「カンプ・ノウ」改修について思うところはありますか?

A5 昨年、パンデミックにより、リーガで無観客試合を余儀なくされていた時期に、レアル・マドリードがホームをバルデベバス練習場に移し、その間、「サンティアゴ・ベルナベウ」の改修工事を進めたのは、とても賢明だったと思います。バルサは2007年に計画が始まっていたものの、会長の交代が相次いだことにより計画がなかなか進まず、同じことをできなかったのは残念です。ですが、ようやく、着工の目処が立った状態です。カンプ・ノウとサグラダファミリア、どっちが出来上がるのが先か、という冗談も言いたくなりますし、思い出のあるカンプ・ノウの修復に寂しい思いもありますが、未来に向けて、バルセロナの街に向けて開かれるバルサワールドをこの目で見られる日は、やはり、待ち遠しいです。