日本に住む私たちは地震・津波をはじめ、台風、豪雨、豪雪、洪水、土砂災害、火山の噴火など、様々な災害に対して常に備えて暮らしていく必要があります。さて、海外ではあらゆる災害に対して、どのような備えをしているのでしょうか。この時間は、2つの国を結んで、各地の防災事情を伺います。

●アメリカ・ハワイ在住 / 鮓谷 裕美子さん

Q1 まず、ハワイで想定される災害について教えてください。

A1 まずは【ハリケーン】。ハワイは6月から11月にかけてハリケーンの季節がやってきます。上陸するのは稀ですが、10回に1度くらいは上陸します。次に【津波】。ハワイ島の東、ヒロは本当に多くの津波被害を受けており、1868年のハワイ地震津波、1877年のチリ地震津波、1946年のアリューシャン地震津波、1960年のチリ地震津波などで何度も壊滅的な人的、土地的、経済的大損害を受けました。

次に【火山噴火】。これはもう、我らがペレのお膝元、観光資源であり、自然災害の震源地である最大の島、ハワイ島のキラウエア火山抜きには語れません。キラウエア火山の活動は30万~60万年前頃から始まったといわれていますが、海上に姿を現し噴火を始めたのは、比較的最近の話です。

Q2 特にハワイで警戒されている災害は?

A2 今は本当に山火事が頻発していて、これは世界中でそうだと思うのですが、ハワイ島も去年、過去最悪の山火事が起きました。去年ノースコナ地区で7月17日から大規模な山火事が発生したのですが、東京ドーム200個分を焼失し5日後に鎮火されました。そしてなんと2週間も経たないうちの7月30日に、今度はその付近のワイメア地区で山火事が起こり、最終的には東京ドーム3916個分が焼失しました。山火事の後、山羊、羊、豚などの野生動物たちが食べるものを求めて国道に下りてきてしまい、車と衝突したたくさんの動物たちの痛ましい姿が多く見られました。

Q3 地域で行われている防災への取り組みは?

A3 大々的な防災訓練としては、毎年10月の第三木曜日に国際シェイクアウトデーというのがアメリカで行われており、ハワイでも学校や政府機関で行われているようです。

Q4 避難や防災グッズなど、一般のみなさんが取り組む防災はどうなっていますか?

A4 この防災への取り組みについて、コーヒー農園の方々や、バケーションレンタルの経営者、ロコに色々聞いてみたのですが、誰も学校で避難訓練もしたことなければ、防災グッズ......?例えば?消火器?ならあるよ......?カップ麺......?それは備蓄食品じゃなくて主食じゃね?みたいな反応で、誰からも有益な情報が得られませんでした......。一応ハワイ州政府は、14日間の食料品備蓄を呼び掛けているのですが、そのことについても初めて知ったという為体で......。

そもそもキラウエア火山が噴火しているから避難しなさいといわれても、避難しない人が大半のこの島で、ハワイアンの「そのときそのときでどうするか考えよう」、「明日は明日の風が吹く!Tomorrow is another day!」マインドを噛み締める結果になりました。

●メキシコ・アグアスカリエンテス在住 府川 祐子さん

Q1 まず、メキシコで想定される災害について教えていただけますか?

A1 地震は頻繁に起こります。1985年の「メキシコ地震」は大きな教訓を残し、それ以来、防災教育が行われるようになりました。ただ、津波は過去に10メートル近いものが二度あったようですが、記録が少ないためか、国民の関心は低いです。ハリケーンも毎年来ますが、沿岸が主で、内陸地方はあまり影響がありませんが、被害は年を追って、大きくなっています。最近は内陸地方に上陸するハリケーンも出てきました。

Q2 津波よりも、地震の揺れに対する対策が重要視されているということですね?

A2 メキシコの防災と言えば、毎年マグニチュード5から8以上の地震があることに備える地震対策です。85年の震災を振り返り、9月19日、メキシコ全土で避難訓練が行われます。スローガンは、「叫ばない、押さない、走らない」です。災害時に備えて、各職場や学校で衛生班、連絡班、支持を与える人、などプロジェクトチームが構成されます。学校の規模にもよりますが、毎月、地震、火災と、テーマを決めて避難訓練が行われます。

Q3 先ほどメキシコ国土に上陸するハリケーンが増えている、という話がありましたが、ハリケーンに対する対策はどうなっていますか?

A3 メキシコの南の国境にハリケーンがあらわれると、テレビやラジオで被害状況や進度など、詳しい情報が出されます。それによって、州政府の指定する避難場所に行く人もいますが、大規模ではありません。河川が氾濫し一週間以上も水が引かない地域もあります。太平洋側、メキシコ湾側、カリブ海側にはリゾート地も多いので、リゾート客の安全をはかったり、ホテルなどの施設に大きな損害をもたらすことが多くなっています。

Q4 避難所や防災グッズなど、市民レベルでの対策などはどうでしょうか?

A4 学校や職場では、避難時持ち出し荷物が決められており、担当の人や生徒が持ち出します。教師は出席簿を持ち出すことになっています。家庭で、防災グッズを準備している家庭は少ないです。災害が大きくなっている影響でハリケーンが近づくと、食料や水を準備する家庭も増えています。