きょう1月21日は「料理番組の日」です。1937年のきょう、イギリス・BBCテレビで、料理番組の元祖と言われる番組「Cook's Night Out」(邦題「夕べの料理」)が開始されたことにちなんで制定されました。ちなみに第1回は「オムレツ」の作り方だったそうです。日本でも料理の作り方やレシピにとどまらず、旅先で料理したり、トーク主体の料理番組など、さまざまな料理番組がありますが、海外ではどうなんでしょうか?この時間は2つの国をつなぎ、ご当地の「料理番組事情」についてチェックしましょう。

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●アメリカ・ロサンゼルス在住 手島 里華さん

Q1 アメリカでも料理番組は大人気ですよね?

A1 アメリカではお料理番組はとてもポピュラーで『Food Network』というチャンネルが存在するほど食に関してみんなとても関心が高いです。どんな番組を放送しているかというと、

▼日本のように普通に料理家の方が出てお料理を紹介するもの

▼立て直しを図りたいレストランにシェフが出向いて、お料理の味からキッチンの清潔度、客席の配置までチェックしてする番組

▼やっぱり人気は対決モノ!

Q2 「Food Network」では、フジテレビの「料理の鉄人」を元に生まれた「Iron Chef America」という番組も放送されているそうですね。ちなみに、対決モノの料理番組、どんな対決テーマがあるんですか?

A2 例えば『ビーフを使ったパーティーメニュー』とか、ハロウィンの時は『スプーキーな(=気味が悪い)スイーツ』とか、季節感を取り入れたテーマになったりします。最初4人でスタートして、1回戦ごとに1人減り、また一人減り、最後に残った人が勝ち!会場も、ただキッチン付きのスタジオ内ではなく、会場がスーパーマーケットで、それぞれの棚から1品だけピックしてお料理を作りなさい!とか。子供がいない若いシェフがベビーフードしか置かれていない棚から選ばなくちゃいけないとか面白かった!しかも出場者は大人だけじゃない!子供のお料理対決もある!対決ものは『Food Network』以外のチャンネルでもFOXの『MasterChef』や、 『Top Chef』といった番組が人気あります。

Q3 日本の料理番組と違う部分はどんなところでしょう??

A3 普段のお料理番組を見ていて感じるのは、日本よりもあらゆることが『派手だ』という事。まずはお料理の仕上がり。食材の色どりはもちろん、お皿の色もオレンジとか、エメラルドグリーンとか、日本ではあまり使わない色が使われてる。料理道具も様々!例えば包丁の種類。キッチンのカウンターに包丁置きがあって、10本以上用意されている。細かい作業をする時はアーミーナイフが使われる事も。切り方もそれぞれ違う。お料理を作る際のパフォーマンスも派手!ボールで卵や粉類を混ぜる時などは鼻歌を歌っていたりとか、味見をして『ん~デリシャス!』とか『Perfect!』とか自分で言っちゃう!調味料もダイナミックにジャバジャバ入れるし、大き目のグレープフルーツも片手で楽々絞ってる。会場もスタジオを飛び出して湖のほとりに特設キッチンを設けたり、森の中でやってみたりと、見ていて面白い。

Q4 レシピもけっこうアバウトだったりしますよね?

A4 アメリカって単位が大雑把なんです。重さでは1オンス=28gこの1オンスが最小単位。これより小さいのは1/2オンスとかで表します。日本の小さじとか小さな単位まで計るのと違ってかなり大雑把。お料理の分量にもこの大雑把な感じが表れているように感じます。『え~い!ちょっと余ってるから入れちゃえ!』とかよく聞きます。

●インドネシア・ジャカルタ在住 ミュージシャン・タレント・俳優・MC・翻訳・通訳と幅広く活動されている、加藤 ひろあきさん

Q1 まず本題に入る前に、先日、ジャカルタから首都を移転する法案が可決されたというニュースがありましたね!これは市民のみなさんはどう受け止めているのでしょうか?

A1 実はあの話は2019年ごろからの既定路線で、法的に整備されたというだけで、インドネシアに住んでいれば日本で驚かれているほどの衝撃的なニュースではなかったという実情があります。2020年にはソフトバンクグループがこの首都建設に出資しており、その額300億ドルとなり、孫さんは首都移転審議会のメンバーに選ばれています。 新首都の名前が「ヌサンタラ」となった事には様々な意見が出ていて、賛成反対それぞれいるようです。ちなみに意味はインドネシア語で「インドネシアの島嶼部」を表す言葉で、要は「インドネシア」というような意味です。

Q2 きょうのテーマ「料理番組事情」ですが、そもそも、インドネシアにも料理番組ってあるのでしょうか?

A2 インドネシアにも存在し放送されています。ですが、いわゆる日本の料理番組のように料理の作り方を細かく解説して実践を目指すための料理番組というものはほとんど存在しません。民放で多いのはグルメレポーターがいて、タレントのシェフがいて、一緒にどこかに旅をしてその行った先で採れた食材や名産を使ってシェフタレントが料理するというようなものです。日本で言うと、川越達也さんと彦摩呂さんが一緒に番組をやっていて、各所で川越シェフが料理をしてそれを彦麿さんが食べて感想を言う、みたいな感じです(笑)

Q3 ちなみに、レシピの紹介はないのでしょうか?

A3 もちろん調味料の分量や料理方法もテロップ等で解説はされますが、日本の料理番組のように手取り足取りという感じではありません。そういうものはどちらかというと、YouTuberの人たちがこぞってコンテンツにしている傾向にあります。

Q4 加藤さんも注目しているインドネシアの料理番組は?

A4 現在インドネシアで活躍する日本のタレント「Kenta」がホストを務める食の番組があり、それが民放「Trans 7」で放送されている「Enaknya Mantul」(邦題:めちゃめちゃうまい!)です。こちらはおデブタレントの「Kenta」が様々なインドネシア料理にチャレンジするという番組で、辛いものをよく食べさせられるのですが、そのリアクションが面白いと好評を博している番組です。

Q5 とことで、インドネシアといえば多国籍国家ですが、宗教の違いによる料理番組への影響はあるのでしょうか?

A5 インドネシアはご存知の通り90%強がイスラム教徒の国です。ただ、100%ではないので、キリスト教、仏教、儒教等々、信教の自由は確保されています。イスラム教徒は豚を食べない為、民放での料理番組はほとんどの場合、豚を扱うことはありません。鶏肉、もしくは牛肉やヤギ肉を使った料理がメインになります。ただ、これがケーブルTVになると話は違って、海外の料理番組に字幕をつけてそのまま流しているケースが多く、そこでは豚などを扱っている場合もあります。以前はインドネシアの民放でも「料理の鉄人」が字幕や吹き替えで放送されていた時代もありましたが、今はすっかり観なくなってしまいました。残念です。