ワンちゃん、ネコちゃんが家族の一員というご家庭も多いかと思います。そんな中、迷子や飼育放棄などで自治体に引き取られる犬や猫の増加に対応するため、来年6月から、ペットショップなどで販売される犬や猫に、飼い主情報を記録したマイクロチップの装着が義務づけられます。

先日、環境省が示した概要によると、繁殖をおこなうブリーダーやペットショップなどの業者には、販売用の犬や猫にマイクロチップを装着し、名前や性別、品種、毛の色のほか、業者名を。犬や猫を購入する飼い主にも、氏名や住所、電話番号などを国のデータベースに登録することが義務づけられます。
なお、すでに飼っている人や譲り受ける人、保護団体などは、マイクロチップの装着は「努力義務」となるそうです。そこで、この時間は世界の「ペット事情」と題して、あの国、あの街の状況を伺います。
●フランス・パリ郊外でレストラン「ヴェルチェ」を営む 柳瀬充さん
Q1 フランスでは、マイクロチップの埋め込みは義務化されていますか?
A1 すでにマイクロチップが義務化されているので、一般的に施行されているようです。
Q2 先日、フランスで、ペットショップで犬や猫を売れなくなる法律が成立したそうですね?
A2 11月18日、犬や猫の販売禁止や動物虐待の厳罰化を含んだ「動物愛護法」が成立しました。2024年以降、ペットショップでは犬や猫を売れなくなり、犬や猫を飼う場合、保護団体や個人からの譲渡、ブリーダーからの直接購入となります。
Q3 かなり厳しい法案ですが、この「動物愛護法」が誕生した背景について教えていただけますでしょうか?
A3 コロナ禍でペットを飼い始める人が増えました。人と人との接触を控える傾向にあるので、家族あるいはペットと長い時間を過ごす人が多くなっているようです。しかし、その分、バカンス時などにペットを捨てる飼い主が急増していることが強い要因となっており、それに伴い動物保護団体の動きが強くなっているようです。
Q4 ペットショップで犬や猫を販売できなくなるのは2024年からということでまだ少し先になりますが、その間は、これまで通りなのでしょうか?
A4 この法律が出来てからペットの購入者には、飼育の責任に関する誓約書の提出が義務付けられ、署名から1週間の待機期間があります。衝動買いを防ぐためですね。
Q5 ところで、フランスでは賃貸でも当たり前にペットを飼うことができるとか?
A5 住宅の賃貸契約時にペット飼育を禁止する事ができないため、誰でもペットを飼う事ができます。なので、世帯で見ると全体のおよそ半分の家庭でペットが飼われているそうです。
Q6 フランスでは犬をレストランに連れて行く客が多く、お店も受け入れている印象ですが、柳瀬さんのお店ではどうされていますか?
A6 多くのレストランで受け入れています。私のお店でもです。お客様が連れていらっしゃるペットは、よく躾けられているので動き回るといったことなく、床にシートをひいて水を出すのですが、おとなしくしているので問題はありませんね。
●香港在住 / ラム 恵子さんです。
Q1 香港では、マイクロチップの埋め込みは義務化されていますか?
A1 香港の全てのぺットショップでは、販売時に飼い主の名前や身分証明番号等を入れたマイクロチップの埋め込みが義務化されています。犬を買う人が圧倒的に多い為、犬のみがチップ埋め込みの対象で、猫などはオプションとなっています。
Q2 香港のペットショップ、特徴はありますか?
A2 香港の特徴として、高級路線を売りにしているペットショップも多く、血統書付きの高価なペットが大人気です。でも、これに付け入り偽装血統書などで高く売り逃げる悪徳業者もいて揉めるケースが相次いでいます。
Q3 住宅事情が東京よりも厳しい香港、ペットを飼いにくい環境が多いと思いますが・・・
A3 全人口の95%がいわゆる中高層アパートに住む香港では、ペットを飼うスペースが極端に狭いのが特徴です。犬や猫が自由に歩きまわれる庭付きの一軒屋などほとんど無い環境ですが、なぜかゴールデンレトリバーやシベリアンハスキーなどの大型犬が人気で、コンクリ―トジャングルの中を飼い主と散歩している大型犬を見ると少し可哀想になります。ペットの幸せや健康というより飼い主のファッションの一部と言う感じでしょうか。
Q4 香港ではお店へのワンちゃんの入店はどうですか?
A4 香港のレストランは、ほぼ全て「犬の入店お断り!」です。狭い香港、レストランのスペースにも限りがあるのがおもに理由ですが、盲導犬でさえも入店できないのはとても残念です・・・
Q5 香港ではペットを飼う人は増えているのでしょうか?
A5 実は、香港はここ数年ほど飼育されているペット数は減っています。背景にあるのは、海外へ脱出する移民が増えていることです。海外移民する家族に置き去りにされたペットが激増して社会問題化しています。
Q6 先ほどのフランスと状況は違えど、これは問題ですね・・・対策は取られているんでしょうか?
A6 もちろん動物愛護協会などが引き取って、里親探しや保護シェルターの増設などが積極的に行われているようですが、捨てられるペットのあまりの多さに保護ケージの数も足りず年間8000匹以上のペット達が安楽死処分されています。