きょう11月5日は「縁結びの日」です。この時期、出雲大社に全国の神が集まり、縁結びなどの会議をするとされていることと、「いい(11)ご(5)えん」の語呂合せから、島根県の「神話の国・縁結び観光協会」が制定しました。

モバイルマーケティング専門機関のMMD研究所によると、スマートフォンを所有する20歳~49歳の独身の男女10,000人で恋人探しをしたことがある対象者に聞いたところ、2020年3月以前は「職場や学校での出会い」が40.1%と最も多かったものの、2020年4月以降は「マッチングサービス・アプリ」が42.6%でトップになった、というデータがあるそうです。そこで、この時間は「マッチングアプリ事情」と題して、2つの国の状況を伺います。

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●フランス・パリ / 柳瀬充さん

Q1 フランスでもマッチングアプリが盛況なんですよね??

A1 そうですね。こちらフランスでも多くの人が出会いを求めてアプリを利用しており、テレビのCMやバス停の広告でもよく見掛けます。アプリの数ですが、あるサイトによると70個以上あるそうです。こちらのほうでは、日本の若さが売りのイメージとは違い、20−60歳くらいまでの幅広い世代の人が新しい出逢いを探しているようです。30歳以上や、50歳以上を限定としたアプリも広まっているそうです。

Q2 パリ発のすれ違いマッチングアプリhappn(ハプン)というのが大人気らしいですね?

A2 かなり人気のようですね。GPSの位置情報を使って、街中で一定の範囲で異性とすれ違うと、お互いに相手のプロフィールが見ることができるという仕組みで、「いいねを送る」→「マッチング」→「メッセージ」という流れで実際に会うことができるそうです。日本ではまだ利用者が多くないようですが、フランスでは利用者も多く、コミュニケーション好きなので、こういったすれ違いでの出会いはウケるようですね。恋愛にオープンな国なので、ちょっとしたきっかけで仲良くなりやすいのだと思います。

Q3 そのほか、マッチングアプリで、フランスならではの特徴はありますか?

A3 システムはある程度日本と一緒のようですが、こちらには色んな国籍・人種の人がいるので、アフリカ系、アジア系、ヨーロッパ系など好みによって選んでいけるようです。また、髪の色や、宗教観、エコに関する考え方までも、マッチングの成功率を上げるために選択できるようになっているので、よりピンポイントで狙っていけるそうです。LGBTQの方に多い国なので、同性の恋愛も求める設定もできるようになっており、出会いも活発なようです。国籍を超えたものといえば、INTERPALSというアプリがあります。メールのやりとりを通して仲良くなり、他の国の語学を学んだり、恋愛に発展したりと、他のアプリに比べてダイナミックさには欠けますが、時間をかけて世界中の人と仲良くなれるという点で、良いかと思います。

Q4 パリ近郊でレストラン「ヴェルチュ」のオーナーシェフをされている柳瀬さん、スタッフの方や、お客さんなど、柳瀬さんの周りでマッチングアプリを使われている方はいらっしゃいますか?

A4 はい、今まで知らなかったですが、自分の周りにも独身の方を中心に沢山利用者がいるようです。女性の知り合いでも結婚を視野に入れた真剣なお付き合いを探している方は、相手の収入や学歴を絞って探せるので、高確率でいい出会いがある、と言っていました。

Q5 そのほかフランスのマッチングアプリ、パートナー探し、婚活に関して、柳瀬さんが思うところあれば・・・

A5 私自身は、こちらで妻と出会って結婚しましたが、コロナ後の今だと特に人と出会う機会も少ないので、婚活や恋愛目的でこういったアプリはうまく使っていくのも、一つの手段だなと思いました。

●インドネシア・ジャカルタ在住、加藤 ひろあきさん

Q1 インドネシアにもマッチングアプリ、ありますか?

A1 もちろん、インドネシアにもマッチングアプリは存在しています。最も使用されているのが「Tinder」で、これに関しては世界的にもそうかもしれませんがインドネシア人が使用しているのはもちろんのこと海外からインドネシアに来た人も同じように使用しており、現地の人と出会いたい外国人にとっても重宝するアプリになっています。「Tinder」に関しては様々なSNSで広告が出稿されており、特にYouTubeやInstagram, TikTokなどインドネシア人が使用する主要なSNSには必ずと言っていいほど宣伝が差し込まれています。次点で「Tantan」が続いており、こちらは「Tinder」にはない魅力として、SNS的に使用できるという特徴があり、SNSに日常を投稿することが大好きなインドネシア人にとっては相性のいいアプリになっています。

Q2 インドネシアならではのシステムやルールはあるのでしょうか?

A2 料金設定の違いなどは他の世界的なデート・マッチングアプリと同様のルールかと思いますが、インドネシア特有ということで言うと「Taaruf ID」というマッチングアプリがあり、こちらは宗教によってマッチングしてくれるというアプリです。インドネシアはイスラム教が国教とされているわけではありませんが、90%以上がイスラム教との国なので、このマッチングアプリに需要がかなりあります。このアプリはイスラム教徒以外でも登録でき、登録した宗教どうしでのマッチングを行ってくれるものです。日本ではあまり考慮されないことかもしれませんが、異教徒との結婚が基本的には認められないことが多いインドネシアでは重宝される機能です。

Q3 LGBTQに対応したアプリもあるのでしょうか?

A3 「LGBTQ」に特化したマッチングアプリとして「Grindr」や「Her」と言ったものも存在していますが、インドネシアの社会全体を見ると「LGBTQ」に対して「病」といったイメージがあり、公に使用することは少々憚られる傾向にあります。ただ、「LGBTQ」を公表して生きている人は芸能界を始めとしてかなり多くいるのも事実なので、これまでの考え方と「LGBTQ」を容認していく現代的な考え方との間の過渡期かなという感じもします。ただ、日本と少々違うのは「LGBTQ」に対する宗教的な考え方で、宗教や宗派によっては「LGBTQ」を拒絶するような教えもあったりするので、そことどう折り合いをつけていくのかは今後の国としての課題となりそうです。

Q4 インドネシアでミュージシャン・タレント活動されている加藤さん、まわりの方でマッチングアプリを利用されている方、多い印象ですか?

A4 個人的にはマッチングアプリ自体を利用したことがないので、今回調べていく中での発見が多くありました。自分の周りのインドネシア人、日本人の友人たちもほぼ一度はダウンロードして使用したことがあると答えてくれて、一定の経済層以上(中間層からアッパー)の人たちはかなり日常的にマッチングアプリを使用しているものなのだなと感じました。また自分の近しい友人でもマッチングアプリで出会った人と結婚したという人が数人いて、ここにも時代の流れというか、新しい出会い方を感じました。

ただインドネシアにおいてはこのマッチングアプリに関する被害届やトラブルが起こっていることも確かで、先日在インドネシア日本大使館が注意を喚起するということがありました。マッチングアプリを通して出会った女性から性的な関係へと発展し、後にその女性が「性的暴行された」と訴え金品を要求されるケースがかなり増えているとのこと。出会うだけならいいですが、その先の関係に発展する際には色々と注意が必要ということでしょうか。