きょうは「スポーツの日」です。

1964年の「東京オリンピック」で開会式が行われた日にちなんで、国民がスポーツや体育に親しみ、さらなる振興をはかるという目的で1966年に、10月10日が「体育の日」の祝日に制定。2000年からは10月の第2月曜日に変更となり、去年からは「スポーツの日」と名称も変わりました。ということで、この時間は世界の「ユニークなスポーツ」をチェックします。

●オランダ・アイントホーフェン在住、山本 直子さん

Q1 まずは、オランダの新型コロナの状況を教えてください。

A1 1日1万人ぐらいまで増えていたんですが、ここ2日間はちょっと落ち着いて7000人ぐらいになってます。コロナ陽性者のうち67%がデルタ株に感染。ワクチンを打ったばかりで、まだ効果がないままにクラブなどの人混みに出かけていった若者が感染しているケースが多いです。現在はお互いに1.5メートルのソーシャル・ディスタンスを取るということ以外に規制はほぼありません。ワクチンは今月11日から12歳以上の接種が可能になっています(任意)。40歳以上はもう大体ワクチン接種が終わっています。

Q2 今日のテーマ「ユニークなスポーツ事情」ですが、なんでも、チェスとボクシングを合わせたスポーツがあるんですって?

A2 はい、名前もそのまま「Chess Boxing」です。イッペ・ルービンというオランダ人アーティストが2003年に始めました。最初の世界大会は2003年にアムステルダムの古い教会で開かれ、約1000人の観客が集まりました。この時のチャンピオンはイッペさんでした。

Q3 Chess Boxingのルールについて教えていただけますか?

A3 マッチは全部で11ラウンド。チェスが6ラウンド、ボクシングが5ラウンドで、チェス、ボクシング、チェス、ボクシング...というように交互に3分間ずつマッチが行われます。チェスでチェックメイトするか、ボクシングでノックアウトした方が勝ち。

Q4 試合の雰囲気って、どんな感じなのでしょうか?

A4 両者の入場風景は完全にボクシング。でもプレーヤーがリングに上がると、リングの真ん中にチェス台が用意されていて、2人が椅子に座ります(この時点ではちょっとコントっぽい......)。そして、耳に大きなイヤフォンを付けて、観衆からの声をシャットダウンしてチェスのマッチに集中します。そして3分経ったら鐘がなって、机と椅子が片付けられ、選手は1分間でイヤフォンを取って、グローブとマウスピースを付けて、今度は戦闘態勢に。またゴングが鳴って、今度は殴り合いの闘いが始まります。そして3分戦った後は、またグローブを外してイヤフォンを付けて、チェス台を挟んで頭脳勝負です。この時はもうボクシングでアドレナリンが出まくった後で心臓バクバクしていますから、心をクールダウンさせて静かに頭を集中させるのはかなり大変だそうです。ラウンドを重ねるごとにこれは至難の技になってきて、中には間違えて相手の駒を動かしてしまう選手もいました。

Q5 この「Chess Boxing」、実際に、世界で広がってるのでしょうか?

A5 World Chess Boxing Organizationによると、現在は全世界に12の連盟があり、3500人のアマチュア選手がいるそうです(インドが最多)。プロは37人。残念ながら、創始者のイッペさんは昨年、心臓発作で亡くなったそうですが、これからもアンダーグラウンドスポーツとして、ファンの間で引き継がれていくのではないかな、と思います。

●アメリカ・アラスカ州・フェアバンクスを拠点にネイチャーツアーを運営する、河内 牧栄さん

Q1 まずはアラスカ州の新型コロナの状況はいかがですか?

A1 去年の夏に比べますとマスクをしている人の姿はまばらで一見、普通の生活に戻ったような錯覚を覚えます。昨日まで出かけておりました北極圏では昨年ほとんど見かけなかった旅行者も、今年は随分と見かけました。米国本土からのツーリストは戻りつつあることを実感しました。しかしながら、アラスカ州発表による7月21日の最新情報によりますと新規感染者は再び増加の傾向が見られその6割以上がデルタ株とのことです。ワクチンは12歳以上の人口の57%が一回目を、52%が二回目の接種を終えています。

Q2 テーマの話に参りますが、なにやらアラスカにはユニークなレースがあるそうですね?

A2 「アウトハウスレース」、「トイレ」のレースです。アラスカでは、永久凍土が広く分布するため、上下水道の埋設、維持管理が大変なことと、街の郊外の家も少なくない土地柄、水洗トイレを持たない家が普通にあります。そのような家庭では、庭に穴を掘り、小屋をかぶせ、簡易トイレを作ります。通常、穴がある程度いっぱいになると埋め、隣に別の穴を掘り、小屋を移動します。これが「アウトハウス」です。このアウトハウスを使ったレースなんです。かつてはフェアバンクスで行われていましたが、現在は2月下旬、アンカレッジのFur Rondy(ファー・ロンディー)というお祭りで開催されています。アラスカ大学の建築工学クラブの主催で、もともとは募金活動のために始まりました。

Q3 競技のルールはどうなっていますか?

A3 エントリーフィーは$100で、出場条件は、アウトハウスにロールのトイレットペーパーと読み物を備えることと、アウトハウスに座る人はヘルメットを装着することです。競技は五人一組で、一人が便座に座り、他の四人がアウトハウスを押すか引くかします。派手なデコレーションを施したアウトハウスに、スキーやボードを履かせ急な坂を滑り降りるのですが、早さを競うということも去ることながら、いかに派手で、おバカなパフォーマンスが披露されるかをギャラリーは楽しみにしています。

Q4 優勝するとなにかもらえるのでしょうか?

A4 優勝チームにはトイレットペーパー付の木製のトイレットペーパーホルダーが授与されます。また、毎回、その年のユニークなアウトハウスにも同様の賞が与えられます。アラスカの暮らしでは大変身近な存在である、アウトハウス、つまりトイレを競技の道具にしてしまうという発想に、アメリカ人のユーモアのセンスを強く感じます。そして、まさに暗く寒い長い冬をようやく越えつつある人々の心に、一足早い春の予感を強烈に印象付けるものでもあります。