
6月25日は「指定自動車教習所の日」。 1960年のきょう、道路交通法改正法が施行され、公安委員会が指定した自動車教習所を卒業すると、運転免許取得時の技能試験が免除される制度が定められました。
日本の場合、合宿なら最短で2週間、通常はおおよそ2~3カ月ほど教習所に通って教習を受け、最終的に試験場で試験を受けることになりますが、そんな運転免許の取得も、国によってシステムが大きく異なるそうです。そこで、この時間は海外の「運転免許取得事情」をチェックします。
●フィンランド・エスポー在住 遠藤 悦郎さん
Q1 まず、フィンランドの新型コロナの状況を教えてください。
A1 多くの規制が大きく緩和されました。レストランや種類の提供は、完全ではないですが規制が緩和されています。新規感染は多くがいわゆる変異株ですが数値的には落ち着いています。ワクチンも人口の55%程度が1回目の接種完了、15%程度が2回目まで完了しています。(フィンランドは接種間隔が11-12週間なので、 2回接種済みの人はやや少なめ) EU共通のワクチン証明書(いわゆるワクチンパスポート)のダウンロードが可能になり、国境での移動制限を徐々に緩和しているところです。
Q2 きょうのテーマ「自動車免許取得事情」ですが、フィンランドは世界でもっとも免許取得が厳しい国と言われていると聞いたんですが、実際のところ、どうなんでしょうか?
A2 確かにネットで検索すると、運転免許の取得が厳しい国としてフィンランドの名が出てきますが、最近はすこし事情が違っています。以前は運転免許の試験/講習の一環として、凍結路面を想定した滑りやすい路面、および暗い夜間での教習とテストがそれぞれ義務付けられていました。そのため運転免許取得が2ステップあり、まず試験に合格するととりあえず乗れる限定免許がもらえて、その後凍結路面のテストを経て晴れて完全な免許になるという制度でした。暖冬で十分凍結しない年もある南部地域では、わざわざオイルを塗って滑りやすくした路面の専用練習コースがあり、新規免許取得者はそこに行ってでも教習/テストを受ける義務がありました。
Q3 では、今は割と優しくなっているんですか?
A3 2018年に大幅に運転免許試験制度を簡略化する改革がなされました。必須最低教習時間の大幅削減、また滑りやすい路面や夜間運転の教習は、ドライブシミュレーターでの代用が可能になりました。最近の車には高性能な横滑り防止装置があり安全性が高まっているので、教習はシミュレータで良いだろうという判断もあったと思います。個人的には、日本こそ世界で最も免許取得が難しい国なのではないかと思っています。仮免許を得るまでは「所内」の専用コースでの練習で、それもS字、クランク、方向転換、縦列駐車。。。昔からオートマのみですぐ路上で乗って練習するアメリカの友人に「日本のあれはもうアクロバット、曲芸のレベル」と言われたことさえあります。フィンランドにも「教習所所内」や「運転免許試験場」のような専用のコースはなく、最初から公道の路上で練習します。
Q4普通免許の取得にかかる、おおよその期間や費用は?
A4 改革以前は、地域にもよりますが都市部だと2000ユーロ(26万円)超え程度、運転技能がおぼつかないとそれ以上かかっていたようですが、新制度になってから教習料金などは総額で半分程度になったとのことです。かかる期間ですが、技能が1日2時間までで、最低10+リスク講習時間なので、無理すれば7日で終わるかもしれませんが、実際には学科合わせてどんなに詰めても教習に半月はかかるでしょう...推奨は1~1.5ヶ月のようです。実は改革にもう一つ大きな改革があり、親や友人など、すでに免許を持っている人が簡単な申請だけで「教官」になって「自主練習」を指導することができます。また自家用車に補助ブレーキと補助ミラーをつける簡単な後付け改造をすれば、普段の自分の車で練習できます。以前からあった制度ですが昔は「教官」になるための試験があり、補助ブレーキは改造車検まであったので、敷居が高く利用する人は少なめでした。この2018年の改革で親などから教わる人が大幅に増加、地域によっては半数が自主練習になっているようです。実際同じアパートに住む高校生が今まさにお父さんを「教官」に自主練習していますが、このシステムにはとても満足しているとのことでした、自主練習になったら教習の質が低下するのでは?という指摘はもちろんありました。しかし逆に教習料金を気にせずいくらでも好きな時間に好きなだけ練習できるようになったことで、免許技能試験の合格率は「自主練習」した人の方がずっと高いという結果になったと報道されています。
●韓国・ソウル オム・キフンさん
Q1 きょうのテーマ「自動車免許取得事情」ですが、日本に比べると、かなり短期間、安い金額で免許取得できるとか?
A1 まず韓国の自動車運転免許の種類は第1種と第2種、仮運転免許の3種類がありまして、免許を取るためには道路交通公団において施行する身体検査と学科試験、技能試験、道路走行試験に合格しなければならないんですが、免許を取得するまでの時間は一発で合格をした時の基準で2週間から3週間です。費用は日本円で5~6万円ほど掛かります。
Q2 何度かの改正で、最低教習時間や試験項目などが、どんどん少なくなっているとか?
A2 約10年前から警察庁による道路交通施行規則改正案で、機能試験で受験者達が苦手としていた S字、T字ラインコースなどを廃止したり、運転専門学校の義務教育の時間を25時間から8時間にするなど大幅に短縮させました。
Q3 あまりに簡単に免許が取得できてしまうと、初心者の交通事故が心配ですが、そのあたりはどうでしょう??
A3 免許の受験者達はこれでもっと多くの人が車を利用して、社会的な活動が出来ると喜んでいますが、反対派はやっぱり多発する交通事故を心配する声が大きいのと、実際事故も増えています。
Q4 日本の場合、いろんな条件が関わってきますが、免許証の有効期限は最長で5年(ゴールド免許)ですが、韓国の有効期限はどうなっていますか?
A4 韓国の運転免許証の有効期間は65歳までが10年で、65歳からは5年です。
Q5 日本では近年、高齢ドライバーの事故の増加で、免許証の自主返納などが取りざたされますが、 韓国でもそういった動きはありますか??
A5 韓国は今、世界でもっとも早く高齢化から超高齢化に進んでいる国なので、高齢ドライバーによる 交通事故は大きな社会問題になっています。ここ10年で約170%に増えてると言われています。なので2019年1月から75歳の運転免許適性検査期間を5年から3年に短縮したり、キャンペーンなどを通じて免許の自主返納を呼びかけています。