今月31日まで延長されている、今回の「緊急事態宣言」。飲食店に対して酒類の提供禁止、もしくは休業が要請されています。そのため、ノンアルコール飲料を提供することで活路を見出そうとする飲食店も増えているといいます。

また、コロナ禍での家飲みの増加や、健康志向の高まりを受けて、ノンアルコール飲料自体の需要が高まっているというデータもあります。こういった状況、海外ではどうなっているのでしょうか?そこで、今回はノンアルコール飲料、特にノンアルコールビールに注目し、海外の事情をチェックします。

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●ドイツ南部・ミュンヘンシッター由香さん

Q1 いまだロックダウン中のドイツですが、ワクチン接種を終えた方や、すでに感染して回復した方を対象に規制を緩和すると発表がありましたね?

A1 接種完了者と、感染して回復した人は22時以降の夜間外出禁止令や、会合の人数制限が適用されなくなります。検査で陰性が証明されたのと同じ扱いになり、買物や美容院、動物園など陰性証明なしで訪問可能に、旅行後の自主隔離もなくなります。 今週から保育施設も通常運営、ロックダウンも緩和傾向にあり、ホテルやレストランもが開くのも時間の問題、我慢してきた旅行も夢ではなくなりつつあります。現在予防接種が完了した国民は約10%、色々な規制への免罪符となるため、接種できていない人との不公平感は拭えない状況であるのは確かです。

Q2  今回は「ノンアルコールビール事情」がテーマですが、ビール大国・ドイツでも近年、ノンアルコールビールの需要は増えているようで、ビール全体の10%以上がノンアルのシェアというデータもあるようですね。

A2 普段からなるべく電車や車を使わず、徒歩や自転車通勤を好む健康志向のドイツ人。ホームオフィスやスポーツ施設の閉鎖などで自宅で過ごす時間が増えたことにより運動不足と感じ健康に気を使うようになったことからノンアルコールビールの需要が増えているそうです。特に小麦を使ったヴァイツェンビールのノンアルコールビールはポリフェノールを多く含み、免疫力の低下を防ぐこと、低カロリーでミネラルやビタミン、炭水化物などの栄養素が豊富に含まれているノンアルコールビールはまさに健康飲料といえます。

Q3 ドイツのノンアルコールビールは、まず本物のビールをつくり、アルコールを取り除いた「脱アルコールビール」という製法のようですね。

A3 ドイツには「麦芽、ホップ、水、酵母」のみをビールの原料に限定するとした「ビール純粋令」という法律があります。これは世界で一番古く、現在なお効力を持つ食品関連の法律で、1516年にバイエルンで制定されました。ノンアルコールビールもこれに従い通常のビールと全く同じ製法で作られ、その後、加熱によってアルコール分を蒸発させ、酵母と糖分を加えて炭酸化させる方法、もしくはフィルターで濾過することによってアルコール成分を除去する方法で製造されます。こうすることでビールの旨みが残り、元々の風味を可能な限り残した低アルコールビールが出来上がります。それぞれのブルワリーが自信を持って提供するだけあって本当に美味しいです。

Q4 日本では、いま「路上飲み」が問題になっていますが、そもそも海外では公共の場所での飲酒は禁止されていることが多いですよね。ドイツはどうですか?

A4 18時から翌日朝の6時まで、人が集まるような街中の場所(ミュンヘン市内で指定された20箇所ほど)での飲酒のみ禁止されています。街の中心にあるマーケットでは24時間禁止となっており、警察が順次見廻りをし、規則を破った場合は150€(約2万円)の罰金となります。逆に指定されていない場所での飲酒はお咎めなしなので、天気がいいと川辺や広場などはビールやワイン片手にBBQやピクニックをする市民でいっぱいです。

●韓国・ソウル / オム・キフンさん

Q1 まずは韓国の新型コロナの状況、いかがでしょうか?

A1 現在、韓国のコロナ感染者数は1万2900人で死者数1884人で、ワクチン接種者は第一次が370万人で第二次接種者が67万人です。4月1日からはすでに75歳以上と医療機関、薬局従事者、障害者の接種も開始しており、今月27日から65歳以上を対象とした接種が始まります。

Q2 「ノンアルコールビール事情」ですが、韓国でもここ数年、ノンアルコールビールの需要が増えているそうですね?

A2 十数年前から外国産のノンアルコールビールが入ってきてましたが、強いお酒を飲む人が多い韓国ではあまり人気がなかったです。ここ数年お酒をあまり飲めなかった人がノンアルコールビールを飲むようになりまして、需要が増えたので国内産のノンアルコールビールが何種類も発売されるようになりました。

Q3 韓国では、酒ではなく飲料に分類されていて、通販の規制がないそうですね?

A3 韓国では法律でアルコール1%以下の飲料はお酒として扱っていないのでノンアルコールビールは気軽にネットで購入する事が出来ます。

Q4 日本(東京)では、コロナ禍でお酒を提供できなくなり、代わりにノンアルコール飲料を提供するなど需要が増えていますが、韓国ではどうですか?

A4 コロナ禍の中で友達を家に招待して飲んだり、家で一人飲みの人が増えています、それによる ノンアルコールビールの需要も自然に増えました。

Q5 韓国では、そもそも、路上や公園での飲酒はOKですか?

A5 韓国では路上での飲酒が認められていますが、最近路上飲酒者によるトラブルが相次いでおり、路上飲酒の規制を求める声が高くなって来ています。