4月も下旬に入り、もうすぐゴールデンウィークがやってきます。いまだ新型コロナウイルスの終息が見込めない中、観光業界にとって、厳しい状況が続いています。そんな中、海外では、PCR検査やワクチン接種を条件に移動の制限をなくし、旅行ができるようにする動きが加速しています。そこで今回は海外の「観光客の受け入れ事情を」チェックします。現状と、夏に向けての見通しも伺いましょう。

●スペイン南部・アルメリア在住 加藤由香里さん

Q1 まずは、スペインの新型コロナの状況について教えてください。

A1 これまでのコロナウイルス感染者は累計で330万人以上、現在の1日の新規感染者数は4000人前後(4/13日)。ワクチンは1度目の摂取が済んだのが800万人弱(16.7%)で、2度とも完了したのが310万人(6.6%)。80代以上は90%の方々が1度目のワクチンを接種済み。

Q2 スペインといえば、フランスなどから自粛疲れした方がバカンスに押し寄せたり、ということもありましたが、現在はいかがでしょうか?

A2 現在も週末にフランス人がマドリードなどを訪れる状態は続き、最近ではバルセロナ、バレンシア、カナリアス諸島などにも多く訪れています。フランスだけでなく、ヨーロッパから多くの観光客が訪れているのが現状です。

Q3 スペインにお住まいのみなさんの状況はいかがでしょうか?

A3 国内は、ほぼすべての自治州が、やむを得ない理由がない限り自治州間の行き来を禁じているため、スペイン人は州外で休暇を過ごすことはできません。しかも、イースター週間はより厳しい規制が敷かれたため、自分たちは移動や自由な行動が制限されているのに、外国人は入ってくるという状態に不満が増えています。

Q4 現在のスペイン国内の観光地の受け入れ事情について 教えてください。

A4 EU居住者および非EU諸国の国民には入国制限がありますが、EU諸国の間にはありません。昨年のパンデミック最初には移動が禁止されていましたが、その後は緩和されて移動が自由になりました。EUは先月、デジタルグリーンパス通称「COVID19ワクチンパスポート」を発行することを発表しました。このパスポートはコロナウイルスのワクチン接種済み、コロナウイルスから回復したこと、PCRまたは抗原検査の結果が陰性だったことを示すもので、今後ヨーロッパ内での安全で自由な行き来を促すために発行予定です。 マスクに関しては、3月29日にスペイン国内全土で例外を除き、6歳以上の全ての人々が屋内外、ソーシャルディスタンスの有無に関わらずマスクの着用を義務付ける法律が施行されました。直後に各州がそれぞれの見解を示し、バレアレス諸島は、ビーチではソーシャルディスタンスが取れていれば義務ではないとするなど、解釈が議論されています。基本的には、激しいスポーツ中やその間の短い休憩、海やプールなどで水の中に入っているときはつけなくても良いという例外はあるが、ビーチで日光浴している際や散歩をする際はつけることが義務とされました。

Q5 夏に向けての観光施策など、スペインの観光の見通しは?

A5 夏に観光客を取り戻すには、夏までに多くの人々がワクチン接種を済ませ、安心に訪問できるというイメージをつけなければいけないと考えられています。ペドロ・サンチェス首相は当初の夏前までに人口の70%がワクチン摂取済みになるようにすると目標が立てていたが、ワクチンの摂取状況が遅れているので8月末までにこれを実現すると変更しました。昨年の観光客の数が前年から79%減少し、275億ユーロの損害がありました。観光庁の見解では、今年は国外からの観光客が例年の30−50%、コロナ前の2019年の半分の4000万人まで復活するだろうと考えられ、年末までに70%、2022年までに完全に復活すると見込んでいます。

●アメリカ・ハワイ / 内田 佐知子さん

Q1 ハワイの新型コロナの状況について教えてください。

A1 ここ1週間の感染者の平均は85人。毎日100人以下で落ち着いています。現在ワクチン接種の対象人口を急激に拡大しているので、バイデン大統領が打ち出した計画通りにスピードが一気に加速しています。現在、ハワイ州では既に100万人近くがワクチン接種を完了しました。今週からオアフ島の50歳以上の住民を対象にワクチン接種が開始されましたし、来週からは、16歳以上の人なら誰でもワクチンを利用できるようになります。私も、今日このあと、1回目のワクチンを受けに行ってきます。ワクチン接種できるところは色々あって選べるのですが、病院の特設会場の他、ドラッグストアやスーパーでも普通に受けられます。

Q2 ハワイでは「事前検査プログラム」により隔離措置は免除となっていますが、日本をはじめ各国から観光客は来ていますか?

A2 観光客は全体的に増え始めています。数日前は1日に観光客が18000人、これは過去の4月のこの時期よりも多い状況です。ホテルの稼働率も今は平均60~70%、日本人が戻ってくれば90%越えるだろうと言われています。というのも、今はアメリカ本土からの観光客がほとんどで、まだまだ日本からの観光客は見かけません。事前検査をすればハワイでの隔離措置は免除とはいえ、日本に戻った時の14日の自己隔離、また日本に戻る前に72時間以内のPCR検査をする必要があったりと面倒な手続きがあるせいでしょうか、通常のたったの3%程度です。そのため、今、ワイキキはアメリカ人だらけです。

Q3 現在、人気の観光ツアーなどはありますか?

A3 今のところ、こちらで行われているツアーはアメリカ人向けです。シュノーケリング、サーフィン、ハイキングなどアクティビティ系が多いです。でも、アメリカ人は、ツアーに参加するよりも、レンタカーを借りて自分たちであちこち遊びに行く人たちが多いので、実は、今いきなり、 レンタカーが不足しています。また、アメリカ人向けでもアクティブなツアー以外に、最近はファームツアーとかカルチャー系のツアーも増えてきています。私も行きたいツアーがあるのですが、比較的新しくて注目されているのが、Kaneoheにあるカカオのファーム、『21 Degrees Estate Cacao Farm』のファームツアーです。ハワイの人気のチョコレートブランド、マノアチョコレートなどがこのファームのカカオを使っているんですが、ここのchocolate tasting tourが人気です。

Q4 夏に向けての観光施策など、どんなことが準備されているのでしょう?

A4 5月1日から、ワクチンパスポートというのを始める予定です。セイフトラベルカードとも呼ばれていますが、これが導入されたら、ワクチンカードを提示してワクチンをしたという証明ができれば、他島に行く時、または、アメリカ国内はほぼ自由に旅できるようになり、事前PCR検査や自己隔離の必要がなくなります。 また今後、国によってもこのワクチンパスポートが使えるように計画中とのこと、日本との行き来もこのワクチンパスポートが導入されて、スムーズになると良いのですが、これは日本側の受け入れ状態次第でしょうね。