今朝は、フランス・パリと、アメリカ・テキサスの通信員の方に回線をつないで、お話をうかがいます。

●フランス・パリ在住 鈴木 春恵さん

メモ:累計感染者4705,068人 死者:95,798

Q1 フランス国内では、パリなど一部の街でロックダウンとなっていますが、どうやら全土に拡大することが決まったそうですね?

A1 1日の新規感染者が6万人近くにまでなる日もあったりして、感染拡大が続いています。おもな理由は英国種の感染力が強いことです。その状況をうけて、3月31日夜、マクロン大統領は新しい措置を発表しました。それによって4月5日から外出制限がフランス本土全体に拡大(海外県は例外)ということになりました。少なくとも5月3日までの継続予定。ただ、今回のは、1年前の1回目、秋の2回目よりはだいぶ緩やかで、外出は自宅から10キロ圏内、時間は無制限です。カフェ、レストラン、劇場、美術館、映画館、そして食料品、薬品など必需品以外の商店は休業という基本方針は変わりませんが、1回目のときには休業を余儀なくされた、本屋さん、美容院、花屋さんなどは営業できるということで、必需品の枠がより大きくなっています。

Q2 学校も閉じるということが発表されたそうですね。

A2 今週末はイースター(復活祭)で、フランスでは、例年イースターの時期に学校は2週間お休みになります。そこで今回は、幼稚園、小学校はその2週間にプラス1週間の合計3週間、そして中学、高校は合計で4週間閉めるという決定になりました。

Q3 なるほど、もともとのお休みを延長する形をとったわけですね。マクロン首相は「ワクチン接種を急ぎたい」とコメントされていたそうですが、現在はどんな状況なのでしょうか?ワクチン接種は人口の12%。

A3 12月末より、高齢者から開始してきて、現在は70歳以上が対象。4月16日からは60歳以上、5月15日からは50歳以上、6月半ばからは50歳以下も対象になり、夏の終りまでには、18歳以上の大人全員が接種できている状態を目指す計画です。ファイザー、モデルナ、アストラゼネカに加えて、4番目のワクチンとしてジョンソン&ジョンソンの接種が4月後半から開始。ワクチン接種センターは全国に1700箇所。ここではおもに超低温保存が必要な上記最初のふたつのワクチンを接種。アストラゼネカ、ジョンソン&ジョンソンは、クリニック、薬局で接種可能。

Q4 4分に1人の割合で新型コロナ患者がICU入りしている、というニュースもありましたが 医療現場の状況はいかがでしょうか?

A4 ICUの占有率はほぼ100%になってしまいました。現在国内合わせて7000床ほどありますが、リタイヤした専門家、医学生などもスタッフとして活躍してもらうことでこれを10,000床以上に増やす計画。

Q5 そのほか、鈴木さんが気になっている話題はありますか?

A5 フランス人はもう夏のヴァカンスのことを考えているように思います。もちろん先はまったく見通せない状況ですが、国鉄の夏の列車予約が始まりました。フランスに本拠をおく世界有数のホテルグループ、アコールグループのPDGが今朝のテレビのインタビューに答えていましたが、7月の予約をどうぞいまから、手遅れにならないうちにしてください、と名言していました。そのころにはワクチンがゆきわたって状況はずいぶんかわってくるはずだし、もしもコロナ禍のために旅がキャンセルになるなら全額払い戻しになりますから、と。

●アメリカ・テキサス州ダラス在住 片瀬 ケイさん

メモ:累計感染者279万1,910人 死者4万8,252人 (テキサス州の数字)

Q1 カリフォルニアに続いて、アメリカで2番目に累計感染者の多いテキサス州、現在の感染状況について教えてください。

A1 今は新規感染件数が、1日あたり3500件程度、死亡も100人弱に減りました。ピークだった1月は新規感染が毎日2万6000件くらいだったので、かなり減りました。ワクチン接種もだいぶ進んで、今は大人の3割ちょっと、高齢者に限れば6割が少なくとも1回の接種を終えています。それでも全米でみるとテキサスは最下位です。今週から接種対象を16歳以上全員に広げて、さらにスピードアップする計画です。

Q2 テキサス州では、マスク着用義務や入店制限が緩和されました。

A2 テキサスでは3月10日から、州によるマスク着用義務や入店制限を解除しました。ただ事業主が自主的に制限するのはかまわないので、食料品店などもマスク着用義務が一般的で、レストランも働く側はマスクをして、お客さんにも着用をお願いする場合が多いですね。マスクをする、しないで時々、トラブルがあるみたいですけど。

Q3 テキサス州出身の俳優、マシュー・マコノヒーがマスク着用義務解除に対して非難していたようですね?

A3 知事が緩和を発表した3月頭には、まだ新規感染が毎日7000件くらいあって、ワクチンも高齢者の一部だけ。バイデン政権が全米にマスク着用を呼びかけている最中での発表で、マシュー・マコノヒーも「あぜんとしか言いようがない」と言っていました。マコノヒーは2月のスノーストームの被害者支援でチャリティイベントを開いたり、来年のテキサス知事選にちらりと興味を示したりしているので、ちょっと楽しみです。 ただマスクや行動制限には絶対反対とか、もう十分だというので、知事の決定を歓迎している市民も半分くらいいます。ヨーロッパやニュージーランド在住のライター友達とともに出版した、「コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿」(光文社新書)という本でも書いたのですが、トランプ前大統領のようにマスクを踏み絵にして、政治観の違いで市民を分断した国のトップというのは米国だけで、これが大失敗の原因だと思っています。バイデン大統領は、今も市民の溝を埋めるのに苦戦しています。

Q4 そんなテキサスのポジティブな話題はありますか?

A4 ダラスはすっかり春で野球の季節。4月5日がテキサスレンジャーズの開幕戦で、知事が入場制限を撤廃したので、100%のキャパでやるそうです。Globe Life Fieldという新しい球場で、4万人ちょっとの観客が入れます。ただし、マスク着用で飲み食いはなし。でも、ほかの州の球場は25%とかの入場制限しているので、ちょっとおっかなびっくりな所はあります。この新球場、昨年3月にデビューしたんですが、コロナのため無観客だったので、実質は今季から。テキサスレンジャーズも、昨年は残念ながら地区最下位でしたが、有原航平選手もいますし、球場もチームも今年リベンジということで、がんばってほしいです。