今朝は、感染者数がアメリカ国内最多となっているカルフォルニア州と、変異種による感染拡大が深刻なイギリス・ロンドンの通信員の方に回線をつないで、お話をうかがいます。

●アメリカ・ロサンゼルス / 手島 里華さん

メモ:累計感染者2851,746人 死者31,701人 ※数字はカリフォルニア州

Q1 コロナ感染のホットスポットとなっているカリフォルニア州、現在の感染の状況はいかがでしょうか?

A1 1月13日(昨日)づけの発表では、昨年11月後半辺りからここまで、感染者の数が一気に増えています。

Q2 カリフォルニア州では、2度目のロックダウンが無期限で延長されていますが、お店の休業補償はどうなっていますか?

A2 色々な補償のプログラムがあります。それぞれに条件がありますが、例えば連邦政府からの金融保護プログラムというものがありまして、事業者が金融機関から融資を受けて、従業員の給与や家賃の支払いなどに充てた場合には、その 分のローン返済が免除されるプログラムがあります。今週月曜日の 1 月 11 日から始まって、3 月31 日まで継続される見込みです。実はこれ2回目で、1 回目のプログラムに参加した人も、条件次第では2 回目の申し込みが可能となっています。ちなみに1回目は1000万ドル(日本円で約10億3000万円)、2回目は200万ドル(日本円で約2億700万円)となっています。その他にも、コロナにより損害を被った中小企業に対して融資を行なう『COVID-19 経済的損害災害融資』や、小規模企業に対する『災害救済ローン保証プログラム』、民間金融機関の融資の基準を満たさない中小企業が融資を受けられるようにするプログラムなどが実施されています。こういった支援は大きいと思います。

Q3 トランプ支持者によるデモや、違法な集会などもあるそうですが。

A3 トランプ大統領の支持者たちによる連邦議会議事堂乱入事件を受けて、今月16日から、バイデン次期大統領の就任式が予定されている20日までの間に、全米50の州の州議会議事堂と、首都ワシントンで「武装デモ」が計画されているという情報が流れています。これはFBI(アメリカ連邦捜査局)が情報を把握したという事で、トランプ大統領が20日までに罷免された場合には「暴動」が起きる可能性もあると言われてます。これに対して、市民が怖がっているという情報は入ってきていませんけれど、コロナの感染者も増えていますので、この時期は用事がなければ外出せずに、20日当日は家で就任式のテレビ中継を見るのがもっとも安全だという話をしています。

Q4 医療現場が危機的状況とのことですが・・・

A4 とにかくコロナウィルスの患者の数が膨大で、集中治療室の空きが非常に少ないので、ロサンゼルス郡の救急隊は、生存の可能性が非常に少ない18歳以上の患者(具体的に言うと、心停止して現場で蘇生できなかった患者)を病院に搬送しないよう指示を出しています。アメリカは車社会ですし、車に関連した事故は毎日多数起きていますから、救急搬送が必要な事故なども多いので、こういった事故に巻き込まれないように気をつけようと、友達とは話しています。

Q5 ワクチン接種の状況はいかがでしょうか?

A5 徐々に進んではいますが、まだファーストレスポンダーや、高齢者に限っての接種に留まっています。先日までは75歳以上の高齢者でしたが、この前の火曜日からは年齢が65歳まで下がって接種が始まっています。ただ予定よりも接種した人の数がなかなか増えていかないので、今、ロサンゼルスのドジャースのスタジアムや、アナハイムにあるディズニーリゾートなど広い会場を用意して、接種する人を増やそうとしています。

●イギリス・ロンドン / 内山 昇さん

メモ:累計感染者3,22万1,037人 死者: 8万4,915人

Q1 先日、ロンドン市長が「重大インシデント」宣言をしました。どのような状況なのか、教えていただけますか?

A1 ちょうと一か月前のクリスマス前にカビラさんとお話しさせていただき、「新年こそは良くなることを期待したい」とコメントさせていただいたのですが、その後、英国型といわれる変異ウィルスによる感染拡大が止まらず、先週、感染者数が1日6万人8千人と過去最高を記録。ロンドンでは30人に一人が感染している計算になり、カーン・ロンドン市長は、「out of control(制御不能)」と表現。すべての市民に対し、「もう自分がかかっていると考え、出歩かないよう」警告。さらに厳しい外出規制、学校休校を伴う、全土の長期ロックダウンが2月下旬まで続いています。さらに悪いニュースですが、今週水曜日には1日の死亡者が1,564人と最悪の数字を記録。イギリスの人口は日本の約半分ですので、状況がどのくらい深刻かご理解いただけると思います。

Q2 医療の現場についてはいかがでしょうか?

A2 感染爆発による医療崩壊と戦いが英国各地で続いており、戦場のような風景がテレビでも毎日報道され、医療従事者の体力的・精神的疲労が高まり、極めて危機的状況です。前線で命がけで頑張ってくれている病院関係者には本当に感謝しています。対策面ですが、ご存じ通り、イギリスは世界で最初にワクチンを承認・接種を12月上旬から開始。今週月曜日に3つ目のモデルナ製ワクチンも認証されました。政府発表によると今週水曜日までに約160万人がすでにワクチン接種。今後は軍隊の協力も仰ぎ、2月末まで1,500万人、人口比約20%の1回目のワクチン接種を目標としています。早く、集団免疫による効果が現れることを期待したいです。94歳のエリザベス女王陛下と99歳のフリップ王子も先週土曜日にワクチンを接種されたようです。

Q3 ロンドンは12月に先立って、イングランド全土では4日からロックダウンとなっていますが、お店の休業補償などは充分に行われているのでしょうか?

A3 1回目のロックダウン同様、従業員の一定額までの給与保障、家賃保障など3月下旬まで延期されています。しかし、最も活況となる年末年始のビジネス機会を失ったため、経済的なダメージは大きく、コロナ回復後も不況が長引くのではと懸念されています。

Q4 イギリス政府の対応について、内山さんはどのように捉えていますか?

A4 お伝えしましたとおり、英国では死亡者総数は8万人超えと悲惨な状況で、英国政府の対策は十分ではないという批判もあるのも事実です。しかし、自国でワクチンを開発・製造し、来月末までに人口の20%の接種を目指すなど、どのようにワクチン接種を、国民全員に広げていくかの戦略が、具体的にプランニングされています。この辺りは日本も見習った方がいいと思います。地方自治体ごとにバラバラ感のある対応をとっていると、日本は手遅れになります。そのようにならないよう、イギリスの悲劇から日本も学んでほしいです。