今朝は、フィンランドと、アメリカ・ニューヨークの通信員の方に回線をつないで、新型コロナの状況、そして、クリスマスの今の様子をうかがいます。

フィンランド・エスポー/ 遠藤 悦郎さん

メモ:累計感染者3万4,084人 死者 524人

Q1 お話を伺うのはおよそ2ヶ月ぶりですが、フィンランドの新型コロナの状況はいかがでしょうか?

A1 フィンランドはヨーロッパの中では、感染件数をほぼ一番低く抑えられてきた国ととらえられています。それでも日本の状況と比較すると14日間の人口10万人あたりの新規感染検査陽性判明件数が日本の4倍程度の数で推移していましがたやや減少に転じているようです。ヨーロッパ全体だと15倍程度、最近急速に増えてしまったお隣スウェーデンだと30倍くらいあります。

Q2 感染率でいえば、日本よりも高いということですね。さて、フィンランドの今年のクリスマスの様子はいかがですか?

A2 クリスマス時期は普段であれば、フィンランド国内の実家への帰省や親戚訪問で人の移動がとても多くなる時期。北極圏のラップランドなどスキーリゾートのホテル/コテージ/などは人気で、例年はかなり前から予約しないと取れない盛況ぶりでしたが、今年は、出足は遅かったものの結果的に例年並みの人出との報道です。例年なら太陽と暖かさを求めて南ヨーロッパをはじめとした外国旅行をする人たちが国内の北へ向かったとみられています。

Q3 ラップランドのサンタクロース村は「クリスマスは中止しない」という宣言がありましたが、今年の観光客は??

A3 ラップランドへはヨーロッパからでは特にイギリスの観光客に人気でした。しかし、もちろん今年は外国からの観光客は来なくなりました。

日本と同じでインバウンドに期待できない分、フィンランド国内観光客に期待がかかっていたところに、この12月の感染拡大が直撃しました。ホテルや貸しコテージなどは通常通り営業していますが、場所によってはスパやジム、サウナを一部閉鎖あるいは制限しているところもあるようです。もともとラップランド地方は広大な割に人口が少なく、近年医療機関の統廃合と中核医療施設への集中が進み、通常でも医療機関の対応できる人数には限りがあります。

しかし多くを観光に依存する地元経済を維持するためお客さんの受け入れは続けているので、どこも地元の自治体や観光業者なども非常に気を使った対応をしています。例えば最短30分で結果のわかるコロナ検査場を作ったスキーリゾート地などもあるそうです。都市部でも、12月後半になると「おうちクリスマス」の準備やプレゼントの用意などのショッピング客も増え、携帯電話会社が、電話機の移動データから算出した情報によると、かなり人出が多かったことが判明しています。もし感染拡大が発生してしまった場合、感染確認件数として目に見える形になるには2週間ほどかかるので、専門家はそのような拡大が起きていないかどうか非常に心配・注目しているとテレビでは伝えていました。

●アメリカ・ニューヨーク / 中村英雄さん

メモ:累計感染者87万8,702人(1845万8,373人)死者3万6,876人(32万6,124人)※数字はNY州 ( )内はアメリカ全体

Q1 アメリカでは、カリフォルニアで感染爆発となっていますが、 ニューヨーク(州)はどのような状況でしょうか?

A1 ロックダウンの効果で7月以降は感染者がぐっと減り、10月半ばまでは横ばい状態。レストランや学校も再開したのですが10月後半から、また感染者が増え始め、あれよあれよという間にとはいえ、12月18日には最近の最高値で一日12000人以上の感染者が確認されています。その後、今週に入って少しずつ下り坂になりましたが、まだ予断は許されません。現在の、感染率は5.6%ぐらいです。

Q2 ファイザーに加え、モデルナ社のワクチン接種が始まりましたが、 お近くで接種された方はいらっしゃいますか?

A2 まだですね。接種を優先的に受けているのは、基礎疾患のある高齢者と医療従事者に限られていますから、一般市民でワクチン注射を受けている人はいません。

ワクチンはご存知の通り2段重ねになっており、2回目の接種(1月初旬予定)を受けないと効果のほどがわかりません。なので、ワクチンでぬか喜び、というのはないですね。ワクチンを受けたくないという人も結構多く、12月3日時点での調査によると、全米人口の39%がワクチン注射を打ちたくない、と考え、60%がワクチン接種に関して前向きだということです。

Q3 クリスマスイブのいまのニューヨークの様子はいかがでしょう?

A3 外出が規制されていますし、外食産業の店内飲食は全面禁止。映画館、コンサートホール、ライブハウス、劇場などエンタメ関係の施設は軒並み閉鎖中ですから、盛り上がりようがありません。

オフィスの忘年会も中止。恒例のデパートでの「サンタにお願い」コーナーも中止。五番街やソーホーなどのショッピング街は人出もなく、イルミネーションやウィンドウディスプレーにも全く力が入っておらず、寂しいこと限りないです。

第一、教会にも行けないわけですから、キリストの誕生自体が祝えません。9.11のテロがあった2001年のクリスマスも相当、気分は落ち込んでいたのですが、それでも苦しい時をみんなで手を取り、抱き合って、飲んで歌って乗り越えよう。アメリカは一つだ、神の国。ゴッドブレスアメリカ。神が我らをお守りくださると逆境返上の盛り上がりはあったのですが、今回は神様にも見放された感じです。

Q4 そんな中で、今年のクリスマスならではの光景ってありますか?

A4 今年の異変としては、生木のクリスマスツリーが馬鹿売れして品切れになり、値段も急騰している、と言う現象があります。親戚や仲間でパーティができないので、勢い、家庭で小さくお祝い、となります。そうなると「うちもツリーぐらい飾ろうよ。せっかくだから香りもいい生木で」と各家庭が同じことを考え、町のツリー販売所に殺到する、と言う図式です。

そもそもこの年末はコロナで冷え込むからツリーの需要も少ないだろうと言うのが業界の予測でした。そのため生木ツリー農場への発注も少なかったのです。ところが蓋を開けてみると、あにはからんや、みんながツリーを欲しがった、というわけ。

値段は去年の2倍。2メートル弱の人気のサイズで一本150ドルします。業者はうれしい悲鳴ですが、頭が痛い問題も。

例えば、販売所の売り子たちは、例年カナダからの季節労働者がこの時期だけニューヨークに出稼ぎに来るのが定番でしたが、コロナで越境ができず、今年は、壊滅的な人不足に陥りました。常緑の針葉樹で真冬ながらも春の訪れと生命のいぶきを感じる...クリスマスツリーの王道は生木です。

コロナ禍で心も体も疲れきっている時に、ニューヨーカーはしがみつきたいほど欲しいのです。生木のクリスマスツリーが。