毎週、新型コロナウイルスに関して、世界各地の最新状況を伺っています。今朝は、イギリス・ロンドンと、ベトナム・ホーチミンの通信員の方に回線をつないで、お話をうかがいます。

●イギリス・ロンドン / 内山 昇さん

メモ:累計感染者1,91万8,736人 死者: 6万5,618人

Q1 11月から2度目のロックダウンとなっていたイギリスですが、 現在はどのような状況でしょうか?

A1 ロックダウン解除して2週間もしないうちに、新規感染者数が拡大し、今週水曜日には1日の死亡者数が612人拡大、ロンドンも要注意地域のTier 3というレベルに引き上げられ、takeawayを除く、パブ、レストランの営業はできなくなり、ロックダウンのような状態に戻りました。11月と違うのは、クリスマス商戦の真っただ中なので、non essentialといわれるお店も営業が許されています。

Q2 イギリスでは、新型コロナウイルスワクチンの接種が始まりましたが、今後はどのような順番で国民のみなさんに行き渡っていくのでしょうか?

A2 英国政府は世界最初に、ファイザー/ビオンテック製のコロナワクチンの承認、12月8日に今週91歳になる女性のMargaret Keenan(マーガレット・キーナン)さんが初めてワクチン接種を受けました。これにより、英国政府が確保した、最初の80万回分のロールアウトが開始しました。まず、優先的な対象となるのは、医療従事者と介護施設スタッフ、感染した場合にリスクが高いとされる80代以上の高齢者。その後は徐々に年齢を引き下げていく予定となっています。

Q3 国民のみなさんはワクチン歓迎ムードなのでしょうか?

A3

英語のワクチン(Vaccine)の頭文字から「Vデー」と呼び、戦勝記念日にたとえ大きなニュースとなりました。株式市場も反発し、年初来の高値を更新するなどポジティブに受け止められています。同様にワクチン接種の始まった米国でもレポートされていますが、イギリスでもワクチン接種後、もともとアレルギー体質だった方に副作用が発生しているようです。そのため、新しいワクチンだけに、不安視して接種しない という考えの人も少なくないのは事実です。それでも、医療崩壊や感染拡大を防ぐための、政府のアプローチは、歓迎ムードで受けとめられています。

Q4 イギリスのホリデーシーズンはどうなりそうでしょうか?

A4 クリスマスは日本の正月と盆を合わせたような1年で最も大切なイベントです。本来であれば、家族が集まって食べるクリスマス・ターキーですら、Zoomクリスマスディナーにならざる得ないかもしれません。

最後に今年94歳になられたエリザベス女王が近々 ワクチン接種するかどうか世間では噂されています。毎年、クリスマス日のランチタイムに、女王陛下が国民に向けたビデオメッセージが放送されます。今年はいつもに増して注目されています。ワクチン接種は始まりましたが、まだまだ戦いは続いています。

●ベトナム・ホーチミン 迫田 陽子さん

メモ:累計感染者1,405人 死者35人

Q1 ベトナムでは約3カ月間市中感染ゼロが続いていましたが、先日、ホーチミンで市中感染が確認されたということで、どういった対応が行われたのでしょうか?

A1 発端は、11月末にベトナム航空の男性アテンダントが自宅隔離中の陽性がわかったことでした。その濃厚接触者である英語講師、さらにその友人女性が陽性。つまり3人の感染が確認されたんですね。ベトナムのすごいところは、その日のうちに陽性者の濃厚接触者を特定し、一斉に検査を受けさせたこと。英語講師が教えていた市内3つの小学校は翌日、休校となりました。さらに、海外からのフライト到着便を停止しています。この3人以外に、市中感染は広がってはいません。

Q2 累計感染者がおよそ1400人と極めて少ないベトナムですが、改めて、どういう感染防止対策が功を奏したと思われますか?

A2 入国者に対する徹底的な管理です。さらに、先ほども話したように、市中感染でも陽性者の名前以外は、勤務地から行動経路まで全て公開されます。名前以外は明らかになるといったところ。住んでいるエリアの封鎖まで行われますからね。人口が9000万人ほどの国で、かなり抑えているほうだと思います。先に話したように新規の感染者は出ましたが、ほぼすべて海外からの入国者です。とはいえ、事前の申請や行動予定の提出など、入国は厳しく制限されて、政府の監視下で、強制的に隔離されています。海外からの感染者の状況も国籍、渡航目的、移動スケジュール、現状など比較的詳しい概要が毎日報道されています。

Q3 現在のベトナムのみなさんの生活の様子はいかがですか?

A3 屋内の商業施設など公共の場所では、マスクの着用が義務付けられています。違反をした場合は罰金です。5000円から、最高で15000円くらい。それ以外は往来は自由ですし、学校も通常通りです。飲食店やその他のサービスも平常通り営業しています。もともとバイクが主な交通手段なので、マスクをつけるのは習慣づいていました。ベトナム政府は「三密」ならぬ、「5K」(5つの"khong"-5つのやってはいけないこと)をスローガンに予防の徹底を呼びかけています。

Q4 ベトナム国産の新型コロナワクチンが臨床試験中のようですね。接種開始の見通しは?

A4 ベトナムでは4つのワクチン開発を行われています。まさに、先週(10日)初のヒトを対象とした治験に、25歳の医学生が手を挙げたというのが大きく報じられました。第一段階の治験には60人が必要とされていて、ボランティアで募っています。まずは17日から接種が始まるとのこと。三段階ある、すべての治験が終わるのは、いまのところ来年の第4四半期、10月以降と見られています。