今朝は、一部地域で再びロックダウンとなっているイタリアと市中感染が200日以上ゼロの台湾の通信員の方に回線をつないで、お話を伺います。

●イタリア・ミラノ / 田中美貴さん

メモ:累計感染者102万8,424人(世界10番目) 死者42,953人 (世界6番目)

Q1 今週、新型コロナウイルスの累計感染者が100万人を超えたイタリアですが、感染の現状について教えてください。

A1 1日の感染者数は、今日は約38,000人。感染拡大に関しては、バカンス後の9月以降、街に人が戻ってから、特に繁華街、バーやクラブなどでの人の密が大きな原因と考えられているようです。今回は感染者の平均年齢が下がっていることもあり、若者たちの感染対策への意識の低さが問題にされています。もちろん対策のための規則を守っていても、スマートワーキングから職場に戻る人が増えたり、学校が再開したり、それに伴って商業活動がより活発になり、公共交通機関利用者が急増したことも感染拡大には関係していると思われます。

Q2 今月6日からイタリアの一部地域で二度目のロックダウンが始まってますが、田中さんがお住まいのミラノも対象ですよね。

A2 今回のロックダウンでは、感染数に応じてそれぞれの州を(危険度が高い順に)赤、オレンジ、黄色の三つに分類し、危険度が高くなるほど規制が厳しくなっています。ミラノのあるロンバルディア州は最も規制の厳しいレッドゾーンで、主な内容は、夜間(22時以降翌朝5時まで)の外出禁止、生活必需品や医薬品以外を扱う商店の休業、美術館、文化施設、ジム、プール等の閉鎖、飲食業は店内飲食禁止(宅配サービスは可、持ち帰りは22時まで)。学校は、中2以上はオンライン、それ以下は対面教育。でも、どうやら来週からはイタリア全土でのロックダウンになりそうだと言われています。

Q3 ミラノのみなさんの生活の様子はいかがでしょう・・・?

A3 悲壮感が漂っていた3,4月のロックダウンの時とは全く違い、人々の雰囲気は穏やかです。2回目で慣れていることもあると思いますが。散歩などは許されているので、外に出ている人も多く、営業可能な店やサービスのカテゴリーも、前回よりはずっと増えている(今回は文房具店、本屋、おもちゃ屋や子供服屋、美容院等も営業可能)で、生活への不便も少ないです。また、今回の制限は12月には解除されて、みんながクリスマスは楽しく過ごし、経済的にはクリスマス商戦にも期待ができるという"希望のロックダウン"だということもあります

Q4 イタリア全土でも夜間は外出禁止となっているそうですが、お休みせざるを得ない飲食店などに、休業補償はあるのでしょうか?

A4 休業を強いられている分野では今年いっぱい従業員の解雇が禁止され、1月31日までは従業員を失業扱いにして国からの補助が出ます。自営業に関しては、特に飲食関係にはこれまでの1.5~2倍の補償がでるようです。事業主には利子なしでの融資、一般家庭への家賃の4か月分補償などは続けられているようです。が、そろそろ国の補償予算は尽きると言われています。

●台湾 / 片倉 佳史さん

メモ:累計感染者584人 死者: 7人

Q1 新型コロナウイルスの市中感染が200日以上ゼロの台湾。現在の街の様子はいかがでしょうか?

A1 台湾のコロナ事情はかなり安定している。街を眺めていてもほぼ通常通りという印象です。それでも、公共交通機関のマスク着用は徹底していて、消毒液を常備している店も多いです。 油断はできないので、皆が状況を見守っている状態ですね。

Q2 現在の感染防止対策についても教えてください。

A2 ・公共交通機関はマスク着用でないと乗れない(改札に入れない)

・官公庁や学校では入館時に連絡先を書かされる(クラスター対応)

・海外からの入国者は徹底した14日間の隔離

・店員は必ずマスク着用(していないと罰金)

・レストランやカフェなどでは消毒液を常備

Q3 基本的なことをしっかり、ということですね。台湾は感染が広がっていなくとも、海外旅行などは難しい状況ですよね?

A3 台湾の人口は約2360万。そのうちの半分が年に一回、出国するほどの「海外好き」です。 しかし、今年は海外旅行は無理。そういうこともあって、台湾の国内旅行がブームになっています。

Q4 国内旅行では、どういう場所が人気なのでしょうか?

A4 定番の旅行先ではなく、 なかなか行けないところが人気を集めています。それはどこか、答えは「離島」です。台湾の周囲にはいくつかの島があるのですが、 これらを訪ねるのがブームになっています。いずれも飛行機を利用しますが、これまでは値段が高かった。しかし、海外旅行ができなくて、皆、お金が余っているので、これが離島の旅に充てられることで火が付きました。どのくらいの人気かというと、まず、週末は飛行機の席がほぼ完全に取れない状態。平日でも満席状態が多い状態です(みんな休暇をやりくりしているので)。より困ってしまうのは宿事情です。いきなり降ってわいたようなブームなので、対応がきかず、 慢性的な宿不足になっています。宿がない状態では旅行ができないので、諦める人も少なくありません。

Q5 少しでも海外旅行気分を味わいたいということでしょうね。

A5 離島の魅力ですが、 やはり「食」ですね。新鮮な海の幸はもちろんなのですが、 それぞれの島に独自の食文化が定着しており、個性が豊かです。その島でしか味わえないものも多く、人気があります。例えば・・・牡蠣がたっぷり入ったそうめん、紅麹を使った鶏肉や魚の炒め物、新鮮なイカを用いたすり身団子など、どれも土地の個性を感じるものばかりで話題に事欠きません。これまでは海外にばかりに目が行っていた台湾の人々ですが、「自分たちのすぐ近くにこんな魅力的な土地があったのか」という声をよく聞きます。これからもしばらくは国内旅行が注目を集めていきそうです。