ジョンズ・ホプキンス大学の集計によりますと、新型コロナウイルスの世界全体の累計感染者数は3850万人、亡くなった方は109万人を超えています。

現在は、1日およそ5000人の死者数となっていますが、WHO=世界保健機関は、今後さらに死者数が増える可能性を示唆、警鐘を鳴らしています。

さて、このコーナーでは毎週、新型コロナウイルスにまつわる、各国の最新状況を伺っていますが、今朝は、アメリカ・ニューヨークとブラジル・サンパウロに回線をつないで、お話をうかがいます。

●アメリカ・ニューヨーク / アメリカ・ニューヨーク / 中村英雄さん

累計感染者477,940 (7,916,100) 死者33,316 (216,872)

※数字はNY州、( )内はアメリカ全体

Q1 ニューヨークでは、ブルックリンやクイーンズ地区で特に感染が増えているそうですが、どのような状況なのでしょうか?

A1 二次感染増大はブルックリンの南部とクイーンズの一部に限られています。いずれも、超正統派ユダヤ教徒の方々が居住する地域。彼らは、市や州の再三の勧告にも関わらず、マスクをつけず、密室内の集会など盛んに開催して、明らかな感染クラスターを作っています。集会が多いのは、ちょうど9月18日からヨムキッパーというユダヤの新年祭が始まり、この1ヶ月ほどはユダヤの祝日が目白押しだったのです。それを当局から「集会禁止」と通達されたため、意地になって「密集」を続けていたようです。感染防止反対の抗議デモまで出現して、これ見よがしにマスクを焼くなんていう場面もありました。第二次大戦前はナチスの焚書運動で自らの活字文化の伝統を焼き尽くされたユダヤ人が、マスクを焼く...我々マスク文化のアジア人としては、ちょっと屈辱的な気分になりました。

Q2 それ以外のニューヨークの街では感染防止は徹底されている状況でしょうか?

A2 今申し上げた特定エリアを除いては、感染防止は徹底しています。地下鉄は不要不急の人は乗らず、エッセンシャルワーカーのみが利用。バスの方が一般的に使われています。店内飲食は先月末から許可されましたが、「注文の時と食事時以外はマスクを取らないで」が、ルールです。 消毒液を置いたHand Hygiene Stationも定着。オフィスビルやレストラン、カフェ、店舗、アパートの入館時には、必ず手を洗浄します。

6フィートのソーシャルディスタンスは、かなり厳しく守られており、皆さん、ちょっとでも距離が縮まると、ピリッピリします。青空市などマーケットでは、入場制限や列に並ぶことを義務付けており、中には直接商品にさわれず、スタッフが代わりに野菜や果物をとって袋に入れてくれる、というサービスを励行するスタンドもあります。

Q3 そして、ニューヨークでは、ホテルの閉館が深刻なようですね?

A3 はい。7月再開と言われていたNYの宿泊施設ですが、感染率上昇が著しい他州(全34州)からのNY訪問者に到着後14日間の自主隔離条例を強制したため、観光客ビジネス客共に激減しました。その後、同条例の解除が、8月、9月、10月と延び延びになり、ついに市内の大型ホテルが次々と永久閉鎖の宣言を始めました。日本人観光客に人気があったタイムス・スクエアのヒルトンホテル(478室、往時は一泊300ドル)、ビジネス客が好んだミッドタウンのオムニ・バークシャー・ホテル(399室、往時は一泊350ドル)など有名どころも高い家賃や維持費を払えず閉館です。ホテル閉鎖に伴う失業者の数は2万5千人と言われています。通常だと国連総会が開かれる9月下旬からクリスマスまでは、大企業の会議やマラソン、年末エンタメなどイベントがびっしり続き、一年でも最大の稼ぎどきだったのですが、今年は全くそれがありません。

Q4 先日、日本人ジャズピアニストの海野雅威さんが、地下鉄駅構内で暴行され重傷を負ったというニュースがありましたが、治安の悪化を実感されることはありますか?

A4 あれは、ひどい事件、恐ろしい事件でしたね。8月あたりから、経済が一向に戻らないゆえの不満からか、軽犯罪が増えています。合わせて拳銃による殺人や死亡事件の数も増えています。ヘイトはそれほどでもないように感じますが、全体的に犯罪件数は増えています。しかし、それもエリアごとにかなり違います。例えば、僕の暮らすクィーンズのサニーサイド地区では、暴走族が増えたくらいで、凶悪犯罪や発砲事件はほぼ皆無です。ところが、先日、実家を出てブルックリンのアパートで一人暮らしを始めた娘の場合、引っ越して3日後に、自宅前のゴミ箱から、誰かが捨てたのか、拳銃が出てきて大騒ぎ。警察の捜査が入るという事態に遭遇しました。あとで判明したのですが、近所の低所得者用アパートで前日に銃撃戦があったとか。やれやれです。

●ブラジル・サンパウロ / 吉川真由美さん

累計感染者1,045,060 (5,140,863) 死者: 37,541 (151,747)

数字はサンパウロ州、( )内はブラジル全体

Q1 累計の感染者が510万人、お亡くなりになった方が15万人をこえてしまったブラジルですが、感染者がなかなか減らない原因というのは?

A1 外出自粛が3月から続いているんですが、それを守らない人と、どうしても外出したい人が増えてきていると思います。経済は、まだ元通りには戻っていませんが、少しずつお店が普通の時間帯に開店するようになってきているので、外出する人も増えてきているような感じがします。場所によって、道端に集まってダンスパーティーをする若者たちを見かけることもあります。しかも、マスクをしないで、人混みにいたりする人があちらこちらにいるというニュースがテレビなどで見ることがあります。また、前は海へ行ったりすることが禁じられていたのですが、つい最近、海岸沿いで散歩やランニングをすることができるようになった時点で、人が大勢、海岸で日向ぼっこをしたりしているシーンもテレビのニュースで報道されています。その人たちもマスクをしないでずっと人ごみの中を歩いたり、人と会って話したりしているのです。そこにコロナに感染された人で症状がない人がいたら、周りの人は感染してしまう可能性があるので、感染者数が増えていると思います。

Q2 サンパウロ市では11月からの学校再開前に、70万人を対象にした大規模な検査が行われるというニュースがありましたが、学校の状況はどうなっていますか?

A2 学校の対面授業は州によってまちまちです。現在、11州の公立の学校が学校を再開していますが、生徒全員が一緒に授業を受けることができないので、アマゾナス州では、クラスの半分が対面授業を受け、他の生徒はオンラインで授業を受けることになっているそうです。また、学校に入る前には、体温を測ったり、手洗いを徹底したりしているそうです。感染対策を徹底していても、学校が始まって1ヶ月たった時点で、5%の教師がコロナに感染されたというニュースが流れました。サンパウロ州も、学校が対面授業を開始した11州に含まれてますが、公立学校では課外授業だけが始まっています。でも、大半の生徒はまだ学校に通っていません。他の15州ではまだ授業を開始する見通しがない状態になっています。私立学校の方は、州によって公立学校と同じ規定に当てはまるところもあれば、市の判断に任せているところもあります。サンパウロ州は、各市に判断を任せています。

Q3 吉川さんご自身の生活の状況はいかがですか?

A3 私はほとんど外出していませんが、州に1回、スーパーで買いものをするために出掛けます。でも、スーパーの中では、絶対に人が集まっているところには近寄らないようにしています。先日、あるスーパーの前にコロナに感染されたかどうかを、調べる検査をしていたので受けましたが、幸い陰性でした!周りには感染された人を見かけませんが、知り合いの友人が感染された、親せきが感染されたということは、ときどき耳にします。仕事も今、自宅勤務になっています。外出自粛が始まってから、事務所には2回しか行っていません。1回目はどうしても仕事に必要な教材を取りにいったときで、2回目は、そこからウェビナーを配信することになったときです。それ以外はほとんど外出していません。