今週、新型コロナウイルスによって亡くなった方が、アメリカ国内で20万人を超えた、というニュースが入ってきました。中西部を中心に、依然として感染が広がっていて、11月の大統領選挙を前に、政府の対応に厳しい目が向けられています。

さて、このコーナーでは毎週、新型コロナウイルスにまつわる、各国の最新状況を伺っていますが、今朝は、そのアメリカから、2度目のロックダウンが解除となったハワイ、そして、南米でブラジルに次いで新規感染が増えている、アルゼンチンに回線をつないで、お話をうかがいます。

●アメリカ・ハワイ / 内田 佐知子さん

Q1 内田さんがお住いのホノルルがあるオアフ島では、現地時間のきのうまで、2度目のロックダウンが行われていましたが、現地のみなさんは、どのように過ごされていたのでしょうか?

A1 今回は1回目のロックダウンよりも厳しかったので、家にいるしかありませんでした。今回は、通報ホットラインでもできて(常にパンクしていたそう)、警察も違反者を厳しく取り締まりました。2回目のロックダウンが始まってから65名逮捕し、44000人以上に違反チケットを切っています。どこへ行ってもガラガラで、ハワイ全体ゴーストタウン。3月よりも異様な雰囲気でした。私も含め、買い物もデリバリーのアプリを利用して済ませている人も多かったようです。また今回は感染経路の追跡とモニタリングをするために、できるだけ多くの人にP C R検査をしてもらうよう無料提供しましたので多くの人が検査をしに行きました。H3のハイウェイが閉鎖されて検査会場となったほどなのですが、私も検査を無料の検査を受けに行き、おかげさまで陰性でした。(お土産に布のマスクをもらいました)

Q2 ハイウェイが検査場になっていたとは!そのロックダウンが解除されたばかりのオアフ島ですが、やはり、まだ一定の制限がある状況ですよね?

A2 感染者の人数による4段階に細かく分けられた条件付きの解除です。例えば、レストラン、ショップ、ボーリング場、ミュージアムや映画館などは50%の入場制限付き、何をするにも基本5人以上で集まってはいけない、バーやナイトクラブなどはまだクローズなど、ジムに関しては屋外ならOKとか、色々まだ細かい制限はありますが、感染者が少なくなるにつれて制限も緩和されるという仕組みです。

Q3 なんとか状況が改善するといいのですが・・・深刻な打撃を受けていたハワイの観光、飲食などの状況は、いかがでしょう・・・?

A3 ハワイの観光業や飲食などのビジネスは、実はカリフォルニアやラスベガスと並んで、全米で最も閉店したビジネスの件数が多いワーストトップ3に入っています。3月から7月の間で、申告された数だけでも900件クローズしていて、2回目のロックダウンの影響で、もっと数は増えるだろうと予測されています。特にローカルのファミリー経営のビジネスがどんどんクローズしているところが残念なところ。例えば長年続いていたお店、リケリケドライブインやチャートハウス、ディリンガムサイミンといったレストランから、waikikiの水族館、ノースショアのハレイワアートギャラリーやお土産やさんなど、皆さんも以前ハワイで行ったことがあるというお店が、ひっそりと閉店しているところがいっぱいだと思います。Waikikiのニューオータニ・カイマナホテルもクローズです。皆さん本当にここまで必死に頑張ってきたと思いますので、残念でたまりません。

でも、飲食に関しては店内での食事はできない代わりテイクアウトで頑張っている人たちがいっぱいいたので、私もできるだけサポートしようとたまにテイクアウトをしました。特に、個人的に嬉しかったのは、ロックダウンを乗り越えようとキャンペーンで始めた、破格でリーズナブルな高級寿司テイクアウト弁当。普通は1人300ドルとかするようなお寿司やさん、例えばササブネで、なんと30ドルのお弁当を提供していたり、皆さん色々と工夫しているので、利用させていただいてます。今後、再開してもテイクアウトサービスは続けるところも多そうです。

Q4 そんな中、ハワイ到着後の2週間隔離が免除となる「事前検査プログラム」が、いよいよ開始となりそうですね?

A3 3度も延期になっていて、今回ばかりは延長が許されないと、ハワイはやはり観光業が主要ビジネスであることもあり、期待が高まる10月15日から開始が予定されているにもかかわらず、現在は詳細や準備が整っていないとのことで、ローカルのニュースでも問題視されています。医療保険システムのカイザーパーマネンテや、ドラッグストアのWalgreensやC V Sとパートナーを組んで、検査プログラムを実施予定ですが、まだそのシステムや詳細が全く発表されていないので、それまでに本当にシステム化されるのか、心配している人もようです。「必ずそれまでには間に合います」と州知事は言っていましたが、これによってハワイの観光業の未来がかかっているので、15日から混乱なく実施できるのかが注目されています。

●アルゼンチン・ブエノスアイレス / 竹内 佐知子さん

Q1 アルゼンチンは3月20日に外出禁止措置が出されて以来、いま現在まで延長されているんですよね?外出禁止措置があったにも関わらず、現在は1日1万人前後の新規感染者が出ているようですが、感染を抑えられない背景は・・・?

A1 外出措置令が出てから1ヶ月ぐらいは、皆それぞれこの法令を守っていて、街中も非常に静かだったのですが、5月に入って幾分規制が緩んでからの感染者の数がうなぎ登りに増えて行ったところを見ると、5月から気温も下がり始めこちらでは冬に突入して、それも原因の一つだと思いますが、やはり何と言っても人との接触と衛生面だと思います。感染拡大に拍車がかかったのは、衛生面の悪いスラム街からでした。そして、国民性とでもいいましょうか、こもっていることに耐えられなくなった人が大勢いて、夜8時から翌朝8時までのジョギングが許された時の公園のジョギングコースの人出は、まるでお祭り騒ぎでした。都市封鎖は続いているとは言え、現在の街中は通常と変わりないと言っても過言じゃないぐらい、人が外にあふれています。違うことといえば、みんなマスクを着用していることぐらいだと思います。季節も冬から春に変わり、陽射しも風も気持ちがいい最近は、もうこれ以上家になどこもっていられない!という自分たちの気持ちの方を優先していますね。ある意味自然なことだと思います。私も、注意はしてはいるものの少なからずその一人だと思っています。

Q2 ブエノスアイレスの街の状況はどうなっていますか?

A2 大きなショッピングセンターやレストラン、スポーツジム、ダンスホール、劇場などはまだ閉鎖中ですが、カフェやバーなどは、屋外での営業が認められたので、店内のテーブルや椅子を外に並べて営業し始めているなか、潰れちゃったお店も多く、私もお気に入りのカフェがなくなっていて、大ショックでした!

Q3 先日、ユニセフが2020年度末のアルゼンチンの子供(18歳未満)の貧困率の見通しを62.9%と発表(昨年下半期は53%)しましたが、貧困層の拡大など、竹内さんご自身の実感はありますか?

A3 もともと、貧富の差がこの国ではとても大きく、多分学校に行っていない子供もたくさんいるのではないでしょうか。道路や地下鉄やバスの中でお金をねだる子供は、パンデミック前にもよく見かけていました。私も都市封鎖が始まってから、家の近所に買い出しに行く以外外出をしていないので拡大しているという実感はまだありませんが、それ以前から、どんどんスラム街が拡大してるのを見ると、子供だけではなく大人も、貧困層に限らず経済面では、厳しい状況におかれてる人がどんどん増えているので、これから先がどうなって行くのか心配ですね。

Q4 そのほか、アルゼンチンの今後の課題や、心配は、どんなことでしょうか?

A4 もともと、2001年暮れの経済破綻以降、治安は悪くなる一方でしたが、間違いなく加速しています。特に最近は、グンと犯罪、特に強盗ですが、増えています。人は殺さず物だけ根こそぎとって行くような。家の近所でさえ警察の方が巡回をされていますし、それなのに引ったくりは日常的に起こっていてしかも、ほとんど犯人は捕まらない。日本だったら、こんなに頻繁にこんな状況を目にすることはないだろうなぁ、と思っています。とにかく1日も早く経済が回ってくれること、人々の意識がプラスの方向に向けられることですね。自然も土地も豊かでいい国なだけに、マイナスの意識が充満してることが残念でなりません。