今週水曜日、東京都は、お酒を提供する飲食店とカラオケ店に出していた「時短営業」の要請を解除。また、政府はあすから、イベントの人数制限を条件付きで緩和します。

しかし、これからインフルエンザの時期を控え、新型コロナウイルスとの同時流行にいっそう警戒が必要となります。さて、このコーナーでは毎週、各国の最新状況を伺っていますが、今朝は、中国・北京と、フランス・パリに回線をつないで、お話をうかがいます。

●フランス・パリ / 柳瀬充さん

Q1 フランスでは先日、1日の新規感染者がおよそ1万人と、過去最多を記録しましたが、これはやはりバカンスの影響でしょうか?

A1 そうですね。8月10日から主要都市でのマスク着用を義務化されましたが、
8月はヴァカンスシーズンということもあり、多くの人々が国内のリゾート地を
中心に出かけていたようです。

Q2 今後は、どのような対策がされる見通しでしょうか?(現地報道などは?再びロックダウン?)

A2 こちらの報道では、経済危機への懸念から2度目のロックダウンはしない
ということですが、今後の流れ次第だと思います。対策としては、マスク着用義務の強化やヨーロッパ他国のように一定人数以上での集会禁止、在宅勤務の推奨など、夏に打って変わって規制を強めていくとの事です。

Q3 9月20日まで「ツール・ド・フランス」が開催中ですが、コロナ禍ということで徹底した感染防止対策の上で行われているそうですね?

A3 今年のツールドフランスでは、開始前と開催中に選手たち及び、それに関わる人達への厳密な検査が専門医師団によって絶えずなされているようです。

Q4 そのほか、フランス(パリ)の状況を教えてください。

A4 フランスパリでは、9月に入りようやく学校や会社も規制のもと、普段通り開始されています。レストランも例年のようにお客さんも入るようになってきているので、この状況が悪化しないことを祈るばかりです。

●中国・北京 / 斎藤 淳子さん

Q1 中国では3月以降、ほとんど1桁か2桁の感染者数にとどまっているようですが、現在の状況について教えてください。

A1 2月以降、中国は大規模な経済活動停止に踏み切り、3月後半以降収束に向かっています。4月8日に武漢のロックダウンが解かれ、その後は北京の6月の第2波など、一部の都市での再発ケースを除いて落ち着いています。9月13日のデータですと、中国国内、輸入例、疑い例全てがゼロになっています。

Q2 閉鎖されていた大学のキャンパスが今月からオープンになったそうですね?

A2 はい、北京、上海、広東などの大部分の大学は1月の春節休み以来閉鎖され、ネット授業が行われていました。中国の大学は全寮制で、一室8人などが暮らし非常に「密」な環境です。なので小中高大の学校の中で一番後まで再開されませんでした。北京でも再開されましたが、非常に慎重です。学生を一気に戻さずに、1カ月位バッファー時期を設けて、学年ごとに時期をずらして、少しずつ受け入れています。さらに、厳しい出入り管理を行っています。今は、学生と先生以外は、学生の保護者も含めて校内には入れません。


Q3 先日、医療関係者らを表彰する式典で、事実上の「コロナ勝利宣言」があったとか?

A3 9月8日に北京の人民大会堂で新型コロ対策に貢献した医療関係者が表彰されました。日本では、「コロナ勝利宣言」と一部で伝えていますが、厳密にいえば、違います。当日の参加も全員マスクをしていたように、北京ではまだ地下鉄などでは着用義務があり、「終わった」という宣言はありません。演説でも「感染対策を緩めず全面勝利奪取へ奮闘せよ」と言う下りがあった通りです。

ただ、この時期にわざわざ医療関係者を慰労したというのは、実質的にコロナの異常事態に一区切りつけて、「ポストコロナ」の回復期に入るためだったと理解することはできますね。10月1日は国慶節で8日間の大型連休を迎えます。学校の中でも一番後回しになっていた大学もいよいよ再開し、国内旅行も制限なくできるようになり、全国で正常化しつつある、というのが北京の雰囲気です。

Q4 最後に、コロナ発信源ともなった中国が、ここまで感染を抑えられた理由について、斎藤さんはどのようにご覧になっていますか?

A4 理由は非常に中国独特の体制や国民性、そして社会の特性に根差していて複合的だと思います。

◎トップダウンの強権体制

◎国民性:高い危機意識や苦労慣れした心理的タフさ、そしてプライバシー感覚のなさ(ITツールの導入への抵抗が全く無かった)

具体的な政策面からみると、コロナと共に生きるという考えはなく、「徹底撲滅」アプローチが取られました。

◎移動の徹底的な管理

◎高度なデジタル化、トレーサビリティ・移動記録の掌握

◎PCR実施能力の高さ

これらが複合的に今回の結果をもたらしたのではないかと私は見ています。