世界各地の通信員に新型コロナにまつわる現地の最新状況を伺っています。人口当たりのPCR検査数は、215の国や地域のうち、日本は159位というデータがあります。

今朝は、アメリカ・ニューヨークとスイスに回線をつないで、感染防止対策、PCR検査事情についても、お話をうかがいます。

●アメリカ・ニューヨーク在住のジャーナリスト、津山 恵子さん

Q1 ニューヨークでは6月下旬以降、感染者数、死亡者数も全米で最低水準に抑え込まれていますが、改めて、どんな対策が功を奏したか教えていただけますか?

A1 クオモ・ニューヨーク州知事やデブラジオ・ニューヨーク市長らが、慎重に経済活動再開を指揮していること。例えば、7月下旬には解禁するとしていたレストランの屋内飲食はまだ解禁していない。冷房が新型コロナウイルスの飛沫を散らすという科学的データに基づいたもの。

同様に、クオモとデブラジオの記者会見や、TV・ラジオ、YouTubeなどストリーミングのCMも含めて、マスクの着用、社会的距離についてしつこいほど訴えている。

経済再開の基準として、検査・追跡・隔離のデータを元にしている。10万人あたりの陽性率や、人口当たりの追跡専門家の人数などが満たされていないと、経済再開の次の段階に移れないようになっている。

検査(PCRと抗体)をいつでも誰でも無料ですることによって、感染者が外にどれくらいいるかという実態が把握しやすい。追跡によって隔離の確率も上がる。

Q2 PCR検査が誰でも何回でも受けられる状況とのことですがどんな場所に検査場があるんですか?

A2 市内に200箇所ある。クリニック、薬局、ドライブスルーで受けられる駐車場の他、感染率が高いマイノリティーの地域では教会でも提供Googlemapで「コロナ 検査」と入れると、自分の近くの検査場が出てくるので、自覚症状があるだけでなく、人混みに行ってしまった、濃厚接触をしてしまったという疑いがあれば行くという手軽さ。私が行ったクリニックは長蛇の列で3時間待ち。ラティーノが家族づれで来て、日陰に折りたたみ椅子を広げて女・子供を座らせて、列にはお父さんが並んでいるという遊園地のチケット売り場のような感じだった。

Q3 ニューヨーカーの生活スタイルについて伺いたいんですが(お仕事はリモートワークがメイン?)

A3 一部のエッセンシャル・ワークを除いては、リモートワークを企業が推進している。従業員の命を守るためである。24時間運行だった地下鉄は、随分前から午前1:00~5:00まで運行をやめ、車内とホームの消毒を行なっている。日中も終着駅では必ず消毒をしている。レストラン・バーは、屋外飲食だけが6月下旬から許されている。席は2メートル離れており、席を立つときはマスク着用。屋内飲食ができるようになるのはいつになるか、わからない。また、社会的距離を取らずに立ち飲みしていたりするバーは行政指導でアルコール免許を取り上げられている。バーは、飲料だけオーダーするのはダメで、食べ物もオーダーしないといけない。

●スイス・バーゼル / サウター美由紀さんです。

Q1 スイスも制限緩和以降、少しづつ感染者数が増えているようですが、どのような対策がされているのでしょうか?

A1 最初のコロナ対策では国の主導でスイス全土の対策が施行されましたが、今現在は各州がそれぞれの状況に見合った規制などを出しています。私の住むソロトゥルン州、隣のバーゼルでは国のイベントなどの制限人数が1000人までなのに対し、8月31日までは100人までの制限となりました。最初5月3日の予定が延期された息子のKonfirmation(プロテスタント教会の成人式のようなもの)も8月31日にあるので、通常ならば各参加者の家族親戚一同が揃うのですが、参加者につき同席者4人までに限られました。州によっては、商業店舗内も10人以上が店内にいる場合マスク着用を義務化したところもあります。

Q2 製薬会社が多いスイス、PCR検査もちゃんと受けられる状況でしょうか?

A2 PCR検査はすぐに受けられて、結果もすぐに週末や夜でも電話で知らせてもらえます。典型的なコロナの症状が出ていて医者が判断してテストを受ける場合は費用は国が持ってくれます。それ以外でも健康保険で通常通り処理されます。

Q3 空港や公共交通機関でマスク着用が義務つけられたそうですがみなさん、きちんと対応されていますか?マスクのポイ捨てが問題になってるとか。。。

A3 着用に健康上の問題がある人は必要なし、12歳以下の子供も義務ではありませんが、規則として義務付けられた後は皆マスクを着けています。

たまに頑として着用を拒否している人もいますが、そういう人はどこにでもいますよね・・・余分にマスクを持っていた隣の若者が「これ使いますか?差し上げますよ。」と親切に提供しようとしても、「自分は風邪もひいたことがないくらい健康だから必要ない」その後は周りの乗客を巻き込んで論争が始まったそうです。

ポイ捨て問題は特に見聞きしていません。ごみ捨てのマナーの問題は普段から多少ありますが、スイスはヨーロッパの中ではマシなほうだと思います。

Q4 スイスならではの話題はありますでしょうか?

A4 スイスはイタリア・フランス・ドイツ・オーストリアと4つの国に囲まれ、常に国境を超えて仕事をしたり生活したりしています。我が家は自営業で従業員にはフランス人やドイツ人もいます。コロナ渦初期段階ではリモートで仕事を行いましたが、人の流動以外にも色々と不便はありました。また、国境を隔てて暮らすカップル等は国境で顔を見るだけ、という現代版ロミオとジュリエット状況に置かれていました。

4月5月頃などは、外出自粛時でも運動をしたいという人達がこぞって森などに出向き、森の人口密集度が急に高くなったりもしました。その副産物として、例年よりもマダニに噛まれて病院に来る人が格段に多かったそうです。