日本では、多くの地域で解除となりつつある「緊急事態宣言」。東京を含む首都圏の1都3県と北海道については、25日に判断されることになりました。さて、世界でも新型コロナウイルスを取りまく状況はさまざまです。この時間は、スウェーデンとブラジルに回線をつないで現地の最新の状況をうかがいます。

スウェーデン第3の都市・マルメ / 丹呉由紀子さん

Q1 ロックダウンをしないという独自路線を進んできたスウェーデンですが、現在の状況について教えていただけますか?

A1 高校・大学を休校としているほか、不要不急の他地域への旅行の禁止、70歳以上の高齢者の公共交通機関の利用禁止、小売店やショッピングモールへの入店者数の制限、客同士が密集している飲食店等に関しては、一時営業停止処分となる、といった措置が行われています。

Q2 制限などは日本と近い状況と言われていますが、死者の数が増えていることで、国の政策に批判の声も上がっているようですね。

A2 ロックダウンをせずに勧告・推奨による対策については、国内でも議論されており、国立医科大学を中心とする学者グループは、より強制力の高い措置を講じることを求めています。国内でCOvid19感染による死者が、20日の時点で3800人を超しており、亡くなられた方の90%は70歳以上という統計が出ています。また、感染発症の75%が、老人ホームや介護施設、訪問看護を介して起こっていることから、そこで働く介護士やホームヘルパーのためのマスクやゴ--グル、防護服、また、従業員教育が充分でない現状についての急速対策が必要と言われています。

Q3 休業補償や経済対策についてはいかがでしょうか?

A3 現時点で50万人以上が影響を受けている雇用者・従業員の時間短縮勤務・一時帰休中従業員に対し、給与の90%を受領できるように政府が保証をしていますが、感染リスクの高い人で、在宅勤務できない職種を持つ人、例えば看護婦など、が、職場に行くことができずに欠勤する場合の欠勤手当の補償が十分でないことが課題となっています。

Q4 今後については、どんな見通しでしょうか?

A4 スウェーデン政府は、6月15日まで不要不急な入国を一時的に禁止するなど、他国とは一線を画しながらも、公衆衛生庁の指示を聞いて感染を防ぐよう繰り返し、今後の状況次第でさらに対策を導入する可能性があるとしています。

●ブラジル・サンパウロ / 吉川真由美さん

Q1 感染者数が急増し、世界で3番目となったブラジルですが、これまでの経過について教えていただけますか?

A1 ブラジルでは、人口がもっとも多いサンパウロ市が感染者数が多です。最初は外国から帰ってきた人たちが感染されたのですが、現在、貧困層が住んでいる地域に感染者が多いと言われています。3月中旬から外出自粛をしていますが、外出自粛と言っても、不要不急の外出をする人もいます。それで、先週、サンパウロ市の市長が自家用車を利用する日を制限する制度を作ってしまったのですが、逆効果を生んでしまいました。仕事のために出掛ける必要がある人たちは、車が使えないため、バスや地下鉄に乗ることになったのです。そうしますと、道は混んでいないものの、バスや地下鉄の中が普段より混んでしまったので、人込みの中で感染のリスクが高くなったのです。もちろん、一人一人のコロナ対策は見られます。外出するときには必ずマスクをして、手をアルコールジェルで消毒したり、手洗いをしたりしています。みんな試行錯誤しながら、感染を避けようとしていますが、難しいです。

Q2 お店などの状況はいかがでしょうか?

A2 店の多くが閉まっているので、従業員を解雇したお店も少なくありません。また、自営業の人も、仕事ができなくて困っています。このような状況が続くと、国の経済がさらに悪化してしまします。政府は、非正規雇用者や自営業をしている人たちに、月600レアル(約100ドル)の緊急補助金を出しています。でも、この補助金は長くは支給できないそうです。一方、お店などが開けられることになりますと、外出する人が増えて、感染のリスクが増すのではないかと思います。

Q3 大統領が、コロナ対策について消極的という声も報道もあるようですが・・・

A3 信じられない発言をしたり、思いがけない行動をとる人なので、ブラジル以外の国ではみんな驚いていると思います。サンパウロ州の知事ともあまり意見が合わないようで大変なことになっていますが、個人的には、どちらにも賛成できません。大変な状況になっているので、政治家同士では十分に話し合って、国民を不安にさせないでほしいです。経済的な不安もありますが、コロナウィルスで感染する人が増えないために保健省が病院などに出している指示に大統領が反対したりすると、国民はどう動いていいかわからなくなります。1か月の間に保健相が2人辞任してしまいました。このような状況が続くと、非常に気危険だと思います。政治家たちの間では意見の違いなどをおさえて、全員同じ方向に向かって行動しなくてはいけないと思います。