新型コロナウイルス感染拡大防止のため、日本では「緊急事態宣言」が今月31日まで延長となりました。いっぽうで、新たな感染者が大きく減っている国では、制限を解除する動きも出始めています。

この時間は、自粛が緩和されることになった韓国と外出制限が延長されたロシアの通信員の方に回線をつないでお話をうかがいます。

●韓国・ソウル / ヤン・ジョンミさん

Q1 韓国は、4月末に新規感染者がゼロになりました。これまでの国の対応について教えていただけますか??

A1 韓国は初期対応がうまくできたと、概ねよい評価を受けてます。もちろん、最初は集団感染が発生して医療崩壊なども懸念されていたのですが、政府が速やかに動き、疾病管理本部というコントロルタワーがしっかり役割を果たしたおかげで(自主隔離やPCR検査など)今月6日からは「社会的距離置き」から少し緩和された「生活の中の距離置き」に切り替えられました。

やっぱり韓国のパリパリ(早く早く)文化が役に立ったと思います。あと、携帯のアプリやGPSを活用した感染者の動線や経路を把握したのが良かったと思います。プライバシーの侵害なく、国民に必要な情報だけを迅速に共有したおかげで個人個人が気を付けたため、第2次感染や第3次感染まで広がらなかったです。

Q2 厳しい外出制限を行うことなく、感染者をこれだけ減らせたというのはすばらしい対応でしたね。現在の街の様子はいかがでしょうか?

A2 最初に集団感染が発生した大邱(テグ)では客がいなくて一時期、お店が閉まったりもしましたが、ほとんどのお店は普通に営業はしてました。ただ、政府の方針に従い、国民もなるべく外出や約束などを自粛したため、売り上げにはかなりの影響はあったと思います。飲み屋はクラブなど接客や密接しないといけない業種は営業を控えるように勧められたりもしましたが、強制ではなかったです。企業も最初は自宅で在宅ワークをしたりしましたが、今はほとんど普通の通り出勤しているところが増えてます。ただ、地下鉄や密閉された空間でマスクは常に着用しており、大きい建物や人がたくさん集まるところには(美容室とかも)消毒用のハンドジェルがあちこちに置いてあったり熱のチェックを行っております。

Q3 企業もテレワークから出勤するスタイルに戻りつつあるということですが、学校についてはどうですか??

A3 13日からは学校も登校することになりました。高校3年生から1週間ごど順次登校が行われ、6月1日まで全ての学年が学校に登校する予定です。ただ、学校で感染者が発生したら、すぐにオンライン授業に切り替えるなど皆が安心できる対策を用意しています。

Q4 オンライン授業の対策なども、しっかりしていますね。このまま終息してもらいたいですが、コロナ第二波への懸念もあるかと思います。警戒している様子でしょうか?

A4 政府は気を緩まず、第ニ波への警戒を維持してます。今年の秋に必ず第二波が発生する可能性が高いとし、決して新型コロナが発生しなかった過去には戻れないと、国民にも個人の衛生や生活の中で守るべきの規則をちゃんと守るように呼び掛けてます。

ロシア・モスクワ / 柴田 顕さん

Q1 1日の新規感染数が1万人を超える日がつづいたロシアですが、外出制限が延長になったんですよね?

A1 5月に入ってなおロシアの感染者数はモスクワを中心に増え続けております。そのため先月出された4月30日までの外出禁止令がさらに延長され5月11日までとなってしまいました。この外出禁止令が中々に厳しく、基本的に許されるのは自宅から100m以内にあるスーパーへの買い出しと、ゴミ捨ての為にしか外に出ることはできません。とは言えどうしても仕事でオフィスへ行かなければならない人には、限定的な外出許可証が交付されるので絶対に外に出られないというほどではありません。

Q2 とはいえ、基本的には家の中にいなければならないということですね。ロシア(特にモスクワ)のみなさんはどのように過ごされていますか?

A2 この退屈な日常を何とかしようとするのはロシア人も同じです。アパートの自室の窓から隣人とのお喋りを楽しんだり、晩酌を共にしてみたり、又は日本でも流行りのZOOMなどでのテレビ通話がとても人気になっています。また、ロシアは芸術文化をとても大事にしている国です。モスクワだけでも250もの劇場が存在し、演劇観劇は市民にとって当たり前の娯楽となっています。その劇場も感染防止のため集客をすることができなくなったのですが、その代わりネットの動画投稿サイトを通じて過去の上演作品を一本丸々見られるようにしてくれました。もちろん無料です。他にもテレビ通話を使った遠隔芝居なんてものも劇場によっては行なっております。もちろん劇場ではできませんので、役者の掛け合いのみを楽しむというようなものですが、意外と好評なようですよ。

Q3 プーチン大統領の対応についての不満から支持率が大幅に下がっているというニュースも入っていますが・・・

A3 プーチン大統領に関する不満はかなり昂まっているのは事実です。外出禁止令を出したにもかかわらず増え続ける感染者数、また現在特定業種を除いての労働禁止、ただし従業員には通常通り給与は支払わなければならない、という大統領令を出していますが、企業への補償などはほぼないため、現在中小企業を中心に大打撃を受けています。その事実も相まって今の施策への不満が溜まって来ているというのが現状です。また止められない感染爆発への不満もやはり高く、プーチン大統領が何か追加の施策などをメディアを通して発表する時はコメント欄が一瞬にして大変なことになっています。

Q4 新規感染者の爆発的な増加で、医療の現場も心配ですが、現在、どのような状況なのでしょうか??

A4 医療現場に関しては幸いにして医療崩壊はまだ引き起こしておりません。感染者数は日々増大していますが、重症者に限り入院させることで医療ソースを枯渇しないようにしているようです。また実はロシアでは国立の病院における医療費は国民に請求されないため、貧富の差がなく医療を受けられるという利点があります。そのため感染者数に対して死者数はそれほどの劇的な増大は見られておりません。もちろん楽観視はできませんが、今後このまま感染者数を抑えることができれば、ロシアにおける人的損失は最小限に済むのではないかと思われます。