今年で最後となる「大学入試センター試験」が今月18日、19日に迫ってきました。受験生のみなさん、100%の力が出せるよう、がんばってください!

さて、受験といえば、近年は「中学入試」も増えてきましたよね。小学生から学習塾に通うお子さんも当たり前になっていますが、海外でも受験の低年齢化は進んでいるのでしょうか?ここでは、フランスと中国に電話をつなぎ、現地の「受験事情」を探ります。

フランス パリ、ドゥヴィアンヌ園子さん

JK: フランスでも受験というのは学生さんにとって大きな試練なのですか?

フランスには高校卒業の時に受けるバカロレアという全国共通試験があり、この試験は高校卒業のための試験なのです。この試験で合格点を取ればまず国立大学への入学登録ができますから、入学試験でなくてこの高校卒業試験のために高校最終学年の生徒は猛烈に試験勉強をするのです。

バカロレアの本番に備えて模擬試験も各学校で行うのであくまでも試験勉強も高3の授業に組み込まれています。バカロレアで高得点を取るとエリートコースの入り口に立てるからです。それは準備校にもランク付があり、有名専門大学の受験に成功する率が高い準備校に入ることが重要なのです。

フランスは高校までが義務教育ですが、中学を終える時に職業訓練高校に進むか一般教育プログラムで高校に進むかに分かれます。

高校卒業の時にも職業訓練高等専門学校と言えるようなコース、ユニヴェルシテと呼ばれる国立大学、ビジネススクールや理工科専門の有名大学はグランゼコールと呼ばれ、高度な入学試験があり、2年間の準備校に行くことが義務付けられています。

JK:日本では小学校受験もあるのですが、フランスはそこまで加熱していませんか?

A 公立小学校から私立の中学校に入りたい時などは受験はなくあくまで内申書(小学校の通信簿)と本人+親の面接で学校が入学を許すかどうか決めるので、評判の良い中学高校は自ずと狭き門で、定員に達しない私立校には入りやすいというわけです。

中国 北京 鈴木晶子さん

JK: 中国では受験はいつ頃から気にするのですか?

A 昨年2019年の高等教育の進学率は48.1%。数年前に打ち出した50%という目標をほぼ達成しました。この48.1%には大専と呼ばれる日本でいう専門学生も含まれており、本科生と専門はほぼ半々なので、本科進学は約25%というところ。その中でも世界的に有名な北京大学や、歴代の国家主席を輩出している精華大学など、いわゆる名門大学への進学は相当厳しくなっています。良い大学に入れなければ、将来がない――という意識はとても強く、中国では小学校入学前から受験戦争がはじまります。

JK: 小学校入学前から...。

A 名門幼稚園やインター幼稚園が人気なのは日本と同じなのですが、それだけでなく、なるべく早く教育を受けさせるため、1、2年早めに幼稚園に入れることも。なぜなら、卒園後してから小学校入学までの期間、「学前班」という就学にそなえた塾に入れるわけです。

中国も日本と同様、中学校までは義務教育なので、住んでいる地区の学校へ進学するのですが、その地区の中に学校の優劣があり、試験をして優秀な子供は優秀な学校へ進学します。

つまり、名門大学へ行くためには、公立でも小学校、中学校、高校で「重点学校」と言われる、名門校への受験を突破し続けなければならないのです。進学の際、学力や内申はもちろん、一芸も評価されるので、子供たちは幼い頃からピアノやバイオリン、絵やダンスといった習い事にも精を出します。その意気込みはものすごく、箔をつけるために海外のコンクールに参加させることもしばしば。小学校で海外の賞を幾つも受賞しているような子も少なくありません。その行き過ぎた受験戦争は、社会問題にもなっているほど。小学生が自殺したり、過労する中学生が続出したりで、ニュースにもなっています。