今朝は、ストリームフードの定番、ホットドッグに注目します。日本でも、移動式フードスタンドでホットドッグを出しているところが多いですね。そこで、ホットドッグの本場、アメリカニューヨークと、ドイツ、ミュンヘンに電話をつなぎ、話を聞きます。
アメリカ ニューヨーク 中村英雄さん
JK:ホットドッグといえばNYストリートフードの王者という感じですが。実際はどうですか?
A: はい。確かにジョンさんも皆さんもご存知のように、ホットドッグはNYで生まれたアメリカ独自のストリートフードです。起源は、19世紀後半に遡ります。
その頃のNYといえば、ドイツ系移民のライフスタイルが主流でした。これはかなり確証のある史実ですが、1867年にやはりドイツから移民してきたチャールズ・フェルトマンという屋台引きの男性が、フランクフルト・ソーセージをパンに挟んで路上や公園で売るというスタイルを発明。これが大ヒットして1880年代の終わりにはフェルトマンは、ブルックリンの海浜行楽地「コニーアイランド」にドイツ式のビアガーデンを開業します。そこでのつまみ人気ナンバーワンがホットドッグ。
JK: そもそもはビールのつまみだったんですね。
A: はい。フェルトマンのビアガーデンはどんどん規模拡大して1920年代に地下鉄がコニーアイランドまで開通すると、売り上げが一挙に増大。年間350万本もはけたそうです。その後、禁酒法の影響でビアガーデンの方はあっけなく衰退しましたが、そこで働いていたネイサン・ハンドワーカーが起こしたホットドッグ・スタンド「ネイサンズ・フェイマス」がホットドッグ人気を継承。いまだにネイサンズ社のホットドッグはNYの名物です。
JK: NYのホットドッグの特徴は?
A:ネイサンズを代表とするNY式ホットドッグは、ドイツの影響とはいえ、具材がビーフ100%。ユダヤ教の信者など宗教上の理由でポークのソーセージが食べられない市民が多かったからだそうです。牛肉ソーセージは、プリプリの歯ごたえとどっしりした重みのある味わいが特徴です。一本で結構、お腹にたまる感じですね。
JK: これといった定番の食べ方は?
A: やはりマスタードとケチャップをかけるのがデフォルト。物足りない人はザワークラウト(ドイツ風酢漬けキャベツ)を加えますね。またNY独特の薬味として、「オニオン」というのがあります。正確にはオニオン(玉ねぎ)が入ったトマトソースで、これは後発の南部イタリア移民が考案したものだそうです。
JK: どんな味なんですか?
A:日本でいうスパゲッティ「ナポリタン」のソース部分だと思ってください。甘酸っぱいトマト味でとろとろに玉ねぎを見込んだ感じ。玉ねぎにトマトケチャップとオリーブオイルがあれば家庭でも簡単にできますよ。
JK: でもアメリカの他の街に行くとありますよね、いろいろてんこ盛りのホットドッグ?
A: そうです。南部に行けばチリドッグが主流だし、一番載せるのはシカゴでしょうか。フランクフルトの上に、マスタード、ホワイトオニオン、ピックルスの長いの一本、トマト、さらにピーマンまで載せますからね。ニューヨーカーから見たたら、こんなの邪道どころか、ホットドッグじゃないですよ!
JK: では、そのシンプルなホットドッグの気になるお値段は?
A:僕がこの街にきた当時、(25年以上前ですが)は、1本1ドル。最近急に値上がりして3ドルなんていう屋台もあります。ただし、付け合わせの具材はどれも無料です。
ドイツ ミュンヘン 小木由香さん。
JK:ニューヨークの中村さんの話にも出てきましたが、ホットドックの起源はアメリカにわたったドイツ人のフランクフルトにある。。では、ドイツではフランクフルトが発展してホットドッグという食べ物はポピュラーですか?
A: ドイツではホットドッグと言ってしまうと所謂ウィンナーとピクルス、フライドオニオンの典型的なアメリカのアレかIKEAのホットドッグがすぐに連想されてしまいますが、焼きたてのソーセージをパンに挟んで食べるドイツの一般的な食べ物があります。
Bratwurst(焼いたソーセージ)は赤みのあるものやハーブの入った白っぽいもの、太さや長さも様々。中には50cmもの長さのものもあります。パンは白パンで、表面は硬めでパリパリ、中はふわふわもっちり、溢れるソーセージの肉汁を受け止めるのにちょうどいいのです。
ドイツといえばソーセージ、その味だけで勝負です。付け合わせはなく、パンに炭火でじっくり焼き上げたソーセージを挟んだものを渡されると自分の好みでケチャップかマスタードをかけるか、もしくはそのまま食べます。
パンは完全に脇役で、もはや熱々のソーセージを手で持つのが熱いがためにパンに挟んでいる、と言っても過言ではないかもしれません。