今朝は、会社の社員食堂、「社食」について聞きます。アメリカの大手IT企業では、優秀な人材を確保するために社員食堂を充実させる傾向があります。メニューもバラエティー豊か。日本では、社員食堂があるのは一部の大手企業やIT企業、という感じだと思いますが、海外の社食はどうなっているのか、けさは、アメリカと中国に電話をつなぎ、話を伺います。

ニューヨーク 中村英雄さん。

JK:ニューヨークの社食、羽振りがいいところはよさそうですね。

A アメリカ経済は未曾有の好景気で失業率が4%を割ろうとしています。僕がニューヨークに居を移してから27年になりますが、こんなに景気がいいのは初めてです。よって、労働市場は完全に雇用者側が有利な「売り手市場」。買い手の方は確かにあの手この手で新規採用を狙います。味にうるさいミレニアル世代を取り込むために社食を充実させるのもその一つです。大企業はどこでも社食の内装をスタバみたいにしたり、高級な地ビールや、有名デリカテッセンのサラダやスープを導入したり、寿司やインド料理、中華料理など選択肢の幅を広げています。

JK: 実は、先日、ニューヨークから生放送をした際、現地で企業のためのケータリングをする日本人女性のお弁当をいただいたんです。栄養バランスを考えたお弁当メニューが、アメリカの中でも、感度の高い企業で人気が集まっているようです。

A :ただし、ここはアメリカ。日本のランチとは事情が違います。そもそもがハンバーガーとサンドイッチとスープしかなかったアメリカの社食ですから、多少、レベルが上がったといっても大したことないです。ニューヨーカーはむしろ、外へ食べに行きます。社屋のまわりに雲霞のごとく集まっている屋台トラックの、バラエティ豊かで味よし栄養満点のランチ。これが約10ドル~15ドルですから、そちらに惹かれますよね。定番大人気はチキンオーバーライス。最近ではタイのカオマンガイやラーメン、キムチタコなどますます内容充実で、社食がいくら頑張っても追いつきません。

ただし、全米全体を見渡すと、大企業特に新しい会社はどこも人里離れた郊外の山奥にあるので、ランチに外に出るわけにいかず、その点で社食の充実は、大事なポイントだと思います。

中国 上海 松田奈月さん

JK: 上海では社食というものはあるのですか?

A 以前、国営企業が中心だった時代には、社食があるのが当たり前だったようですが、現在、一般的に社食があるのは、郊外にある会社(特に工場はほぼ必ず)や、国営方式が続いている学校や病院など。そのほか、一部、大型の会社やオフィスビルでも導入されています。

JK: 中国の社食の献立はどのようなものですか?

A: 昔ながらの中国式社食は、アルミのプレートに、いくつかあるおかずの中から好きなものを選んで盛り付けてもらう方式です。(だいたい、ごはんと、おかず3つと果物など)現在でもこの方式が残っているところもありますが、上海のOLにはあまり人気がないようです。

JK: 現在の社食について、お聞かせください。どんな献立なのですか?

A 社食は一般的に外より値段が安くても、自己負担があるところが多いです。だいたい一食平均20元(約400円ほど)~25元(約450円)ほど。外でおしゃれランチを食べるとこれの3~5倍くらいすることもありますが、麺やファーストフードなら、同じくらいの値段で押さえて食べることもできる価格です。市内の会社に勤めていたら、おいしくない社食よりも、好きなものを自由に食べたいという趣向が強くなっているようです。いまはデリバリーも本当に安く便利になっているので、(市内ならあらゆるジャンルの選択が可能です)、混んでいる外のレストランに行かないという日も増えているそう。そういう時代の変化に合わせて、大型のオフィスビルではこれまでの社食方式をやめて、複数の業者を入れて、フードコード形式に選択が楽しめるような社食も出てきているとか。上海で13社のメディア会社が入っているビルでは2カ所の社食に6カ所の受け取り口があり、その場で麺を削って作る刀削麺(トウショウメン)や焼き立ての北京ダックなどが選べて、一人平均20元(約400円)ほどとのこと。外の食堂に合わせて、社食もレベルアップしてきているようです。また今年上海でニュースになった病院スタッフ用の社食は、トレーに好きなおかずやごはんを選んでのせて、会計のところに置くと、料理の情報(料理名やカロリー)すべて表示され、さらに顔認証でそのまま自動清算が行われるシステムが導入されたそうです。健康を気にする人が増えているので、こういう社食が増えて欲しいという声が出ています。

JK:顔認証ね。今らしい。