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もうすぐ夏休みシーズンですね。旅の計画を立てている方もいる時期だと思います。そんなおり、JRが、旅行ツアーなどを扱ってきた駅構内の旅行センター「びゅうプラザ」の営業を2022年3月をもって終了すると発表しました。

その背景には、オンライン予約が一般的になったことが大きいようですが、世界でも旅先の予約はオンラインが増えているのでしょうか?けさは、イギリスとタイに電話をつなぎ、お話を伺います。

イギリス ロンドン 内山昇さん。

JK : まず世界最初の旅行代理店で、近代のホリデーブームの基礎を作ったのがThomas Cookと言われています。その歴史は古く、西暦1841年ペリー提督の黒船が浦賀に来る10年以上前なんだそうです。イギリス人はその当時から旅行好きな国民と言われていますが、今はどんな感じでしょうか?

A : 150年以上たった今も、旅行好きの国民性は変わらないと思います。イギリスでは6月くらいから、そわそわしはじめて、オフィスで会うたびに今年はどこどこにいくとか同僚、上司問わず会話するのが普通です。そして、夏休みが終わった直後に、来年のサマーホリデーの予約を入れる人も沢山います。イギリスには旅行代理店は中小を含めで6500社以上あり、年間売り上げは全体で330億ポンド(4兆5千億円)と言われる一大産業です。

JK:  世界的に旅行代理店の存在感は薄れているのではないかと思いますが、イギリスではいかがでしょうか?

A:  国民一人当たりで、年間1回以上海外旅行をするという旅行好きなイギリス人ですが、その昔Thomas Cookの世界時刻表を持って、中国やヨーロッパ各地をバックパッカーとして旅した経験を持っている人も多いと思います。しかし大人になって家族ができると、長期のホリデーには、ストレスが少ない、パッケージ・ホリデーを家族旅行で利用する人が多くいます。

たしかに週末旅行などは、ネットで自分で簡単に予約するとも思いますが、旅行代理店の企画するツアーは、個人ではなかなか組めないものもあります。例えば、ネット上でVRの旅行プレビューを見たり、チャットでアドバイザーと会話したり、店舗だけでなく、新たな方向性を見つけ、差別化・個性のある商品などを旅行者にオファーできれば、旅行代理店はまだまだ成長するのではないでしょうか。

タイ バンコク 山崎幸恵さん

JK タイに旅行代理店はあると思いますが、ツアー、ホテル、飛行機、列車の予約は窓口が主流ですか?

A タイにも旅行代理店はありますよ。こちらでもインターネットでの予約が増えてきていますが、まだまだ旅行博でお得に購入するのが主流です。

JK 旅行博で購入?旅行博とはどういうものですか?

A   国内の旅行博は年4回、国際旅行博TITF(Thai International Travel Fair)は年2回、巨大な展示場で開催されるのですが、毎回、多数のお客さんが集まります。最寄りの地下鉄駅に入場規制がかかることもあるくらい!なぜなら、各旅行代理店が、旅行博の会場のみで予約できるお得なパッケージ旅行を売り出すからなんですね。客寄せのための日本旅行、込々5万円台!なんて破格の人数限定プランがあったりします。海外のホテルやアミューズメント施設、自治体などが直接出展していたりするので、他とは違う旅行先と出会えるのも魅力のようです。近年は日本の自治体・観光協会も気合が入っていて、TITFでは日本関連のブースだけで会場の20%くらいを占めています。

JK 旅行博覧会で一般の人が直接航空券や、ツアーチケットを購入できるんですね。

A タイでは大手から個人経営の代理店まで、数えきれないくらいの旅行代理店がひしめいていますが、ここ数年、旅行詐欺が相次いでいることから、タイ人もあまりにも安すぎるパッケージツアーは疑ってかかるようになってきていますね。通常、お客さんは旅行代理店の実店舗に行くことはなく、旅行博のブースにしか行かないからなんです。日本のHISが進出してからは、変化の傾向がみられます。HIS(タイではヒスと呼ばれています)はバンコクの交通機関のBTSの駅構内や、ショッピングセンターの中など便利な場所に、小型店舗を積極的に出しました。実店舗に気軽に行ける代理店に価値を見出す消費者が増えてきています。バックパッカーの街として有名だったカオサンや、オフィス街のシーロムには個人経営の旅行代理店がひしめいていますので、わざわざ現地に行って、店舗が実在することを確認するというしっかり者もいますよ。