いろいろなニュースが飛びこんでくる中、先日も、著名人が大麻で逮捕されるというニュースがありました。日本では、大麻の所持は「違法」となっていますが、海外ではその扱い、バラバラなんですよね。そこで、今朝はオランダとカナダに電話回線をつなぎ、お話を聞きます。

オランダ ベメル 大橋杏子さん

JK: オランダは大麻に関して大目に見ているイメージがありますけれど。

A オランダでは大麻の使用は合法ではありません。現在でも大麻は規制物質ではあるが、個人の使用に限って法は犯しても罰しないという政策を取っています。数年前には我が家の隣で実際に屋内で大麻500鉢の栽培が行われていて、警察の摘発があり、驚いたと言う経験もあります。

JK:先ほど、大麻の使用は違法だが、個人の使用の場合、刑罰は受けないとお話されました。これはどういうわけですか?

A オランダではハームリダクションと呼ばれる政策方針を取り、薬物をソフト(大麻の類)とハード(コカイン、ヘロイン、LSDなど)に分けてソフト(大麻)に関しては罰しない代わりに国の統制下に置き、さらに中毒、犯罪のリスクの大きいハードの使用に歯止めをかけるという方法を取っています。

かつて帝国時代にはオランダもアヘンやコカインの輸出によって国益を得ていた訳ですが、国際状況の流れから1919年オランダのアヘン法制定から薬物の規制が行われるようになりました。

1953年には、戦後からオランダ国内でも大麻の吸引が増えたためアヘン法の改正でさらに大麻の統制の条項が加えられました。

60年代に入り、ヒッピー文化の中でコカイン、ヘロインなどのハードドラックの使用とそれに伴う犯罪が急増したため、1976年にさらにアヘン法が改正されてソフトドラックの使用への寛容策が取られ、1979年からコーヒーショップと言うソフトドラックの販売専門店が非刑罰下されました。(コーヒーを飲む店はオランダ語では『コーフィーハウス』か『カフェ』と呼ばれ、コーヒーショップとは確実に区別されます。)

JK:コーヒーショップとコーフィーハウス、間違いそうですね...コーヒーショップは街のいたるところにあるのですか?

A コーヒーショップの規定:販売は個人使用のために1人5g/日の製品、1人5鉢の苗まで。店内に500g以上の在庫は置かない。ハードドラッグ、アルコールは販売しない。18歳以下には提供しない。学校から一定の距離以上離れている。コーヒーショップは1999年には国内に846店あったが2016年には573店(新しく認可されない。権利を受け継ぐだけ。)と減少している。

JK:よかった。今後は新しく認可されないのですね。

A 国としてはこの対策は一応成功していて、麻薬の使用者は減少傾向にあり、欧州諸国の中では麻薬使用者の割合は少ない方で、ハードの使用者も増加していないとしています。しかし、問題はコーヒーショップの仕入れルートは闇の中だということです。どのようなルートで仕入れているかの調査追跡はほとんどされていません。オランダ国内には30,000の栽培者があり、年間に5,000件の摘発があると言われていますが、大方のショップへの販売者は大手犯罪組織なのです。そのためオランダでは大麻の栽培をも合法化させて行政管理下において栽培させ、犯罪組織からの購入を断とうと言う法案が出ていますが、まだ実施には至っていません。

カナダ バンクーバー 窪田 誠さん

JK:カナダは昨年、大麻の使用が認められたそうですね。

A はい。カナダでの大麻はカナビスとよばれ、大麻合法化は現首相ジャスティントルドーの公約の一つでした昨年6月に法案が成立し、10月に施行され、嗜好の大麻が合法化されました。

それ以前は医療用の大麻は処方箋があれば入手が可能でしたが、いまでは成人であれば入手が出来ます。

嗜好の大麻を合法化する理由は以前は、ブラックマーケットに流れていたお金を止め、政府が税収と言う形でお金を集め、そのお金を使って未成年者を中心に薬物の危険を伝える教育に力を入れるそうです。

運用としてはやはり麻薬ですからお酒と一緒で使った後は24時間車の運転はいけないとか、吸って良い場所はタバコと一緒で限られた場所となります。

バンクーバー空港ではタバコを吸っても良い場所の看板に大麻の葉の絵が追加されました。もちろん私たち日本人は海外でも日本の法律が適用されるのでカナダ在住の日本人は大麻の使用は禁止されています。