最近、話題になっている「ブラック校則」。地毛証明書の提出や下着の色など、生徒の身体的特徴やプライバシーに関わる部分までを細かく規定する校則だったり、部活中の水飲み禁止など、生命にもかかわりかねない理不尽な校則がネットを中心に話題となり、また、批判の的となっています。こういった、時代に即していない校則って海外にもあるのでしょう?今朝はイギリスと香港に電話回線をつなぎ、お話を伺います。

イギリス ロンドン 内山昇さん

JK: イギリスと言うと、映画のシーンでよく出てくる、小学校の低学年から親元を離れ、全寮制・寄宿舎での、厳しい校則をイメージするのですが、今もかなり厳しい校則があるのでしょうか?

A: 友人の息子さんが小学校3年からオックスフォードにある全寮制の名門校に通っているので聞いてみました。

友人によると、厳しい映画のイメージがあるかもしれませんが、今はそのような事をすると学校の評判に影響するのでそんなことはないようです。ただし全寮制・集団生活なので、テレビがないとか、消灯時間があるとか、液晶画面がついたデバイスの使用不可とか、おやつの持ち込みが禁止されているとか、校則でいろいろ制限があるようです。ただ電話や校内にPCルームがあって、許された時間内であれば、親とか友達とのコミュニケーションはでき、完全にシャットアウトしていません。そんな不自由な生活の中で、ルービックキューブやカードゲームで遊んだり、子供なりに楽しんいるようです。とはいえ昔らしい校則もあって、抜き打ちで靴のチェックがあり、毎日、磨いておかなければいけないそうです。

先生を呼ぶときも、イギリスでは通常、女性の先生であれば、Miss~、男性であればMr~と呼びますが、寄宿舎では、男性の先生は、Sir、女性はMaと呼ばなければいけないそうです。この辺りは映画の世界そのものかもしれません。

JK: 靴のチェック。身だしなみという意味でしょうが、厳しいですね。制服についてのはどうでしょう?

A :   ここイギリスは自由・個人主義的なイメージがありますが、アメリカと違い、イギリスの学校は、ボーディング。スクールに限らずほとんどが制服(ユニホーム)着用です。これは、出身(階級)、経済環境などで生徒に差がでないように配慮したのが背景のようです。

制服もブレザーやネクタイのみ学校指定で、下に着る白いシャツ、グレーのズボンやスカートは、グレーであればどこのメーカーでもOKです。

そして靴は色が黒とだけ、校則で決まっています。さらに、運動靴も黒のみ可。スポーツ・ブランドのロゴもダメで、真っ黒でなければいけません。

また、他民族国家のイギリスは、髪の色がブロンド(金髪)、赤毛、天然のパーマや、宗教上の理由で頭にターバンを冠っている生徒もいます。これを校則で縛るのは、表現の自由を制限することになるので逆に禁止されています。

JK:  どこまでOKとかダメとか、日本以上に線引きが難しいのでは?

A : そうですね。確かに多様化社会のイギリス学校関係者も悩んでいると思います。学校運営者への指針としては、明らかにUnnatural(不自然)やDisturbing(他の生徒の教育に影響を与える)ことは、注意するようにと基準にしているようです。つまり、夏休み明けに登校したら、髪がパープル色でパンクだったみたいなのは完全に引っ掛かるようです。

香港 富村さん

JK 香港はもともと英国領でしたから、校則についてもイギリスの影響が見られますか?

A 制服について、イギリスを除く欧米系のインター校は私服ですが、それ以外は地元の公立も私立の制服です。ヨーロッパでも英国だけが制服の伝統が強いですよね。日本もその影響でしょうが。日本で「髪の色は黒」で、髪の色が自然に茶系の子とか苦しむとか聞きましたが、香港はヘアダイはまず禁止ですが、髪は​「自然の頭髪の色のままで」とする学校がほとんどです。興味深いのはタバコで、香港では18歳で喫煙ができる。 Secondary School(中高)の最高学年だと年齢的には喫煙可なんですね。

JK 学校で喫煙可能なのですか?

A 構内、学校の制服を着用しているときの喫煙は禁止が多数。吸い殻のポイ捨てを教員が注意している現場を見たことがある

JK 当然でしょう...。他の規則や習慣では、どんなものがありますか?

A 言葉づかいもですね。どんなに親しい先生でも、学生は先生と話す時は敬語。先生に「サー」をつけます。こうしたマナー教育は、徹底しています。日本で「やばいっす」とか、これを香港で先生に使ったら、反省文ですね。

他の学生や他者への暴言、言葉の暴力とか、ネットでの良識のない書き込みなど、厳しく見ている学校があります。香港の学校は、そうした校則違反加点がシビアで、日本の学校に比べて、留年や退学措置とか、とても厳しいのですね。規則は規則、大目に見るとか、曖昧はダメなんですね。勉強ができても、それで進学プランとかが狂う。だから学生も規則を守ることにとても真剣です。