新年度を控えた今の時期は、引っ越しのハイシーズンです。引越しの経験のある方、これから引越しの予定がある方、物件を選ぶ際、何を重要視しますか?エリア、間取り、日当たり、駅からの距離など、いろいろあるでしょうね。ところで、海外ではどんな物件が人気なのでしょう。今朝は、パリとシンガポールに電話をつなぎ、現地の「賃貸物件事情」をチェックします。

フランス パリ ドゥヴィアンヌ園子さん

JK 日本ではこの3月に引っ越しをする方が多いのですが、フランスではいつ頃が多いのですか?

A パリでは学校始め、新入社員は秋なので長い夏休みが終わる9月が引越しシーズンですが、住居の良い物件は夏休み前の6月にめどをつけておかないとなかなか良いところが見つかりません。学生の下宿は上記のような時期に集中しますが、転職とが盛んなヨーロッパでは引越しは一年中様々な物件が出回ります。パリはアパルトマンが9割を占めているので日当たり、階数、防音、広さ、水回りの設備などがキーポイント。

JK 敷金などはかかるのですか?

A 家賃1ヶ月分が不動産屋の手数料。同じように1ヶ月分が敷金、借家人がとても守られていて、家賃滞納されてもなかなか追い出せないという事情があるため入居するときにはギャランティーが厳しく、親兄弟または友人が収入源を証明して滞納の場合は肩代わりするとサインさせられます

JK そういった物件はどうやって見つけるのですか?

A 不動産屋を通さずに賃貸契約を結ぶことも多く、専用サイトもあり、利用者はとても多いです。不動産屋への手数料が省けますから契約社会なので賃貸契約をきちんと交わしておれば貸す方も借りる方も一応安心なのです。 賃貸契約書もネットでダウンロード。問題が起きても話し合いで解決されます。住居で起こりうる問題でオーナーの責任範囲か、借家人の責任かというのははっきり定義されているので話も早いのです。いわゆるイチャモンをつけるということはあまり考えられないのです。つける人はいてもまず通らないです。そして住居保険が義務なので保険加入証明書がまず要求されます。

シンガポール 岡田美和子さん

JK: はじめまして。よろしくお願いします!シンガポールは国土が狭いので、土地が貴重。高層マンションが多くて家賃が高いイメージがあります。

 A その通りです。国土が狭く、賃料が高いので、学生が一人暮らしするようなワンルームは、ほぼなく、自宅から通学、通勤が当たり前です。通学や通勤の為の交通費はとても安く、結婚するまでは親との同居が大半です。大学進学や社会人になったからと言って一人暮らしをする文化がありません。よって、単身の若い子が家探しをするのは、婚約者をし、結婚準備を始める時だそうです。プロポーズの言葉が「HDB(国営団地)を購入しよう!」だったりするらしいです。結婚して独立しても、実家の近くに住むことが多い。共働き文化なので、仕事帰りに実家で夕飯は済ませる、子供の面倒は親に頼むなど普通です。

JK: 引っ越しについてお聞せください。

A シンガポールは常夏で年中暑いので、南向きは好まれず、北向きが人気。低層より、高層階の方が価格は上がります。築浅物件の方が古い物件より人気ですが、作りや部屋の広さによります。物件は、ファミリー仕様になっているため、2~3ベッドルームがほとんど。街中にある場合はやはり賃料は高いです。近年郊外にたくさん建設中です。街中にある高級HDBと呼ばれるHDBは3ベッドルーム、100㎡で1億円する物件もある。

JK :国営団地住まいが多いとのこと。これは持ち家でしかないのですか?賃貸ではないのですか?

A シンガポールにも賃貸は存在しますが、持ち家率が非常に高いです。国民の80%が国営団地に住み、そのうちの90%が持ち家です。不動産屋さんはその持ち家の中古販売の仲介を主にする感じです。もちろん賃貸もあります。また、エリアによって安い物件は存在します。3ベッドで20万以下だったりもするので、国土は狭いですが、住むエリアによって値段もピンきりです。また、賃貸だと家具付き物件が多かったりします。日本のような単身用の1ルームマンションはシンガポールでは極めて稀です。なんたって結婚まで家族で同居が普通なので。