日本で設置が検討されている、カジノを含む統合型リゾート施設。カジノだけでなく、ホテル、劇場、映画館、会議場などが入ることになる集客施設ですが、日本の国会ではこのカジノを設置するための法整備がなかなか進みません。そこでけさは、すでに導入されている、韓国、そしてアメリカに電話をつなぎ、現地のカジノ事情について、話を聞きましょう。

「カジノは存在しますか?」

韓国 ソウル ヤン・ジョンミさん

「あるけれど、批判されている」

アメリカ ニューヨーク 中村英雄さん

「州によって合法、違法とわかれる 」

韓国 ソウル ヤン・ジョンミさん

Q比較的多くのカジノがあるんですよね?

A 韓国には現在17ヵ所のカジノがあるが、基本的には外国人専用なので韓国国籍の人の出入りが不可能です。カジノ産業は中央政府が各種許認可などを直接管理しているため、新規業者の市場進入がかなり難しいです。2000年にオープンした「江原(カンウォン)ランド」という国内唯一、韓国人が出入りできるカジノがあるが、ソウルから約3時間、200キロ以上離れている。

Q ソウルにカジノがあるんですね。それも韓国の方以外しか入ることができないのですか?

A 韓国のカジノ産業は内国人が出入りできないように法律で定められているが、廃鉱地域開発支援に関する特別法を適用を受け、唯一運営されているのがソウルのカンウォンランド。

地域経済活性化に向けた趣旨で作られたが、実際現場に行ってみると周辺には博打に溺れた人たちが財産を蕩尽して、離婚や自殺をするなど副作用も少なくないです。カジノ周辺には賭博にはまってホームレスになったり、そこを離れられず、近くの食堂で働きながら長期間カジノに出入りするなど、依存症に陥った人たちをたくさんいます。

なかには、スキー場に遊びに来てたまたま寄った人や、旅行に来たついでに入ってみたのが中毒に至って日常生活が難しくなり、家庭が破壊された事例も多い。一定の回数以上の出入り記録がある人の場合、カジノに入れないように「禁止誓約書」を書かせたりして、交通費として6万ウォン(約56千円)を支給することもあるくらい。この金を受け取った人は3年間、カジノ出入りが禁止されるが、これまで約1万人以上の人々がこのお金を受け取ったという。つまり、それだけ大勢がカジノですべての財産を蕩尽したという意味でもあります。中毒管理センターを運営するなど、中毒を防ぐために努力はしているものの、まだその効果は微々たる水準であり、地域住民たちはカジノによる経済効果より、金の洗濯や賭博中毒の村という否定的なイメージが強いのが現実です。

アメリカ ニューヨークの中村英雄さん。

Q アメリカは州によってカジノが合法の州と違法の州があるということでした。

A はい。全米50州のうちカジノが合法化されている州は40近くあります。ご存知ネバダ州は1955年にカジノの合法化を行い、大カジノ都市ラスベガスを築きました。

Q NYにもあるそうですが、カジノ規制は厳しいそうですね。

A NY州でも25か所ほどカジノがあって、NY州内のカジノも最近はみんなよく行くようですよ。そのうち12か所はネイティブ・アメリカンのカジノです。

Q ネイティブ・アメリカン?アメリカ先住民がカジノを持っているのですか?

A 先住民の居留区は規制が緩いため1980年ごろから、先住民たちがカジノを開業し始めたんです。1988年にはインディアン賭博規制法が施行され、連邦政府内務省の監督下で先住民カジノが発展したのです。これが貧しい彼らの生活を大きく支えることになり、カジノが人助けになるっていうわけで市民もこぞって先住民カジノに行くようになりました

Q 居留区の雇用促進にはさぞかし貢献したのでしょうね。

A はい。中には先住民、あるいは先住民の血を引く人間でないと雇ってもらえないというカジノもあるそうです。多くが交通アクセスの悪いロケーションにありますが、町おこしには絶大な効果があるということで、現在全米にはこのような先住民カジノが377軒もあるそうですよ。