わたしたちの毎日の暮らしでなくてはならないお水。それゆえに、水道事業は地方自治体が行ってきました。しかし、このほど、水道事業を民営化するための水道法改正案が可決。心配する声もあがっています。海外の水道事情はどうなっているのでしょう?けさも2つの国の通信員に電話をつないでお話を伺います。

水道事業はどこが運営しているのですか?

スイス グリンデルワルド 安藤康代さん

「水道事業は地方自治体の管轄 」

フランス パリ ドゥヴィアンヌ園子さん

今、水道よりも、燃料費の方がフランスのみなさんの関心ごとでしょう...

「契約は各自治体とするが、水道施設を運営しているのは民間企業 」

●スイス グリンデルワルド 安藤康代さん

Q 地方自治体が水道事業を運営しているということでした。

A スイスは各地方自治体で、料金、決まり等が全て異なります。あくまで私が住む、グリンデルワルドのケースでお話しますと 半年に一度(年に2回)上、下水、 ごみ処理料金の請求書が届きます。上水道代は1人当たり年間CHF45.-です。下水道代は1人当たり年間CHF65.-です (下水処理にお金がかかります)家単位で、何人用家なのかで請求が来ます。我が家は4人家族ですが、レンタル用のアパートメントが有る事から10人用の家として請求されます。

従いまして上水は CHF45x10名分の半額=CHF225.-が半年の料金

下水は CHF65x10名分の半額=CHF325.-が半年の料金

プラス庭に小さな噴水と別の水道蛇口が有りますので、3.5人用の水道代がプラスされます。ちなみにゴミ処理代は1人当たり年間CHF20.-です。

この様に水道は使用量に関わらず、包含的な料金となります。

我が家は上、下水道代とゴミ処理代で1か月約 CHF128.- (約13500-円)で支払っている事になります。

●フランス パリ ドゥヴィアンヌ園子さん

Q 民間の企業が運営しているのですね?

A 水道水の供給は公共組織の水道局が各市町村にありそこを通じて契約していますが、民間の大企業が浄水浄化技術を研究開発し公共機関から委託され施設の建設から管理まで請け負っています。すべて民営化という歴史はありません。

水資源は生き物にとって最も重要ですので、水源である地下水と河川の利用と管理にはいつの時代にも議論と設備投資があったようです 河川の汚染は地域の住民に重大な被害を及ぼしますし、植物を含めた生き物にとっても死活問題ですから。フランスでは地下水と河川の水質を守るために下水道の浄化措置を徹底させたり、フランスは農業国ですから、化学肥料や薬品使用による地下水汚染も大きな問題になった時期がありました。 今では大農場が使用できる化学肥料や除虫剤、除草剤などその種類や使用量が厳しく制限されています。このように水源の管理から飲料水の供給までの一環したポリシーは政府の環境相、森林水産相、厚生省などが大きく関わり合いながらそのインフラと供給サービスの構築がされているので、関わってくる民間企業もたくさんあり複雑です 市町村の水道局の役割はとても重要ですし、水道局が住民の水道問題の窓口です。

フランスでは水道供給サービスの業務の一つである水道メーターの遠距離読み取り技術が進んでおり人件費節約=水道料金の圧縮に貢献しているそうです。 日本でも既にこの遠距離水道メーター読み取りシステムがフランスの企業から導入されている自治体があるそうです。安全な水道水を供給してもらうには商業主義の企業間の競争はあってはならないのでしょう。水道局のサイトでは、水源はすべての人の財産、それを利用する自治体や企業はすべての人たちが恩恵を得ることをまず考えるべきと謳われていました。