新しいお店、話題の飲食店には、入店までに長い列ができる日本。ほしいもの、食べたいもののためなら、たとえ2時間待ちでも構わない、そんな方が日本人には多い気がしますよね。最近ではタピオカドリンクがブームで、若い女性が行列を作っているようですね。しかし、海外では、行列ができることってあるのでしょうか?けさも2つの国の通信員に電話をつないでお話を伺います。

「行列をなすことはありますか?」という質問です。

ロシア モスクワ 柴田 顕さん「あります 」

中国 北京 鈴木 晶子さん 「あります」

●ロシア モスクワ 柴田 顕さん

Q ロシアは、かつての配給制から、人々がきちんと並んで待つイメージがあるのですが・・・

A ロシアは配給制だったから行列を作るのは今でも普通のことかと言われると確かにそのような気があるように思います。イベントやフェスティバルが大好きでその度に列を作って並びます。5年くらい前モスクワに丸亀製麺ができましたが、開店から半年ぐらいは毎日行列ができていましたね。ちなみに日本の展覧会やイベントは超人気ですよ。江戸美術展がこないだプーシキン美術館で行われましたが、私が行った日は雨だったのにも関わらず建物の敷地外まで出るほどの行列で、3、40分待ちました。展覧会終了日まで同じような感じだったそうです。並ぶ時は割とみんな大人しく並んでいますし、横入りとかは見たことありませんね。文句は言いつつもマナーはきちんと守ってます。ちゃんと後ろか前の人に断れば、ちょっと列から離れても大丈夫ですし。

●中国 北京 鈴木 晶子さん

Q 中国は失礼ながら、並んで待つイメージがない気がするのですが、最近はどうなんでしょう??

A 日本人から見れば、中国の人は「横入りする」という印象なのでしょうが、かつての中国人と比べれば、今の中国の人達は本当に「しっかり並ぶようになった」んです。30年以上前の中国では「横入り」どころか、目的地に向かって無秩序に押し寄せていくという状態でした。それは、圧倒的な資源不足が原因でした。例えば、列車に乗る時。人を押しのけて早めに列車に乗れば席に座れるけれど、遅くなれば立ったまま30時間も耐えなければならない。子供が病気になった時に、大人しく並んでいたら診察時間が終わってしまう......そんな社会的な背景が「隙あらば前へ行こう」という意識を作り上げたのです。

中国はいまや世界第二の経済大国となり、きちんと並んで順番になれば誰もが同じように物も買えるし、サービスも受けられるようになったのですが、「隙あらば前へ」という世代の人たちがまだまだ現役で、かつてのクセが抜け切れていません。若者は古い世代の悪しき習慣を否定しつつも、日常として体験している中で多少の影響は受けているのです。

だから、中国では並ぶ側も横入りされないよう前の人との間隔を詰めたり、横から近寄ってくる人を睨みつけたり、それでも隙をついて入ってくる人には「並んでください」とはっきり言ったり、割り込まれないための努力をしているのです。それに比べて、日本人はかなり無防備です。まず、並ぶ時の人と人との距離が広いので、中国の人は「入っていいのかな?」と誘惑されるんです。

だから割り込みされたら、「並ばないとダメですよ」と伝えるべきだと思います。日本も観光大国となった今、外国人の習慣の違いに驚くばかりでなく、日本の習慣を上手に伝えるべきです。それをきっかけに小さな国際交流ができたら、素敵なことだと思います。