新学期が始まり、ほとんどの小学生、そして一部の中学生は、お昼に学校で給食を食べていると思いますが、日本の給食は、栄養価も高く、おいしいと海外でも評判なんだそうですね。では、逆に海外の給食はどうなのでしょうか?そもそも「給食」があるかどうか、けさも2つの国の通信員に電話をつないでお話を伺います。

「学校での昼食は、お弁当持参ではなくて、給食ですか?」

フィンランド エスポ―「中高校まで給食は無料」

アメリカ ニューヨーク 中村英雄さん「給食」

フィンランド エスポ― 遠藤悦郎さん

Q フィンランドでは小中高校まで、給食が無料なんですか?どのような背景からそうなったのですか?

A 1943年世界で初めて無償の学校給食を始めたそうで、その後戦後1948年になってから法制化されて全国に拡大。現在のフィンランドの学校給食では、毎日、温かい食事が提供されます。一般的に学校にある食堂で、学年ごとに時間をずらしてとります。地方集落の少人数の小学校などは別として、通常食堂にはすべての生徒が同時には入らないので、学年ごと時間差をつけて順番に食べるのが一般的。私の子供の通っていた都市部の小学校では、低学年は10時半ぐらいにはもうランチ、最後の高学年が11時半過ぎごろなどです。現在私の子供が通う中学校は、逆に高学年から低学年の順に時間が割り当てられているとのこと。

Q 給食当番制で配膳にあたるのですか?

A カフェテリア形式なので、自分で自分の食べる分を食器によそって食べます。日本のように決まった量を全員が等しく、というわけでないので、野菜や好き嫌いのある子は欲しくないものは取らないという問題はあります。お代わりも自由。大食いの子はたくさん、少食の子は少し、と自分で調節するのとのこと。栄養のバランスを取るようにはもちろん指導はあるのですが、強制ではなく、先生もきつく言わないので、偏食は実際少なくないとのこと。家庭での指導に任されている部分が多そうです。

Q どのような献立があるのですか?

A 献立は、スープや、肉、マカロニなどのパスタを使ったキャセロール料理、野菜、北欧らしくベリーを使ったソースのかかった肉料理など、主食のジャガイモが出ることが多く、何らかの生野菜サラダがつきます。牛乳、ピーマと呼ばれるドリンクヨーグルトのような飲み物、ベリーのジュースなどが飲み物。アレルギーのある子や、その他ベジタリアン向け、宗教上の理由で食べられないものがある子には特別な給食が提供されます。もともとラクトース(乳糖)不耐症やグルテンフリーのものしか食べられないセリアック症の子が多いため、多くのメニューが初めからラクトースフリー、グルテンフリー対応になっています。

Q 配慮されていますね。考えてみれば、飛行機の機内食だって食事制限のあるみなさん向けの献立は前からありますものね。

A そういえば、昨年2017年、フィンランド独立100周年記念の一環で、フィンランド航空の機内食に「フィンランドの学校給食メニュー」が一時期提供されていました。たまたま家族で乗って食べましたが(野菜とお肉の炒め物)、普通に美味しかったですよ。子供は、日常感がありすぎて、何でーと言ってましたが(笑)

アメリカ ニューヨーク の中村英雄さん

Q ニューヨークでも学校の昼食は給食とのこと。

A NYの学校給食にも世界に誇れる部分がたくさんあります。今回は公立校の給食に限ってお話ししましょう。まず、ユニバーサル・フリーミールと言って給食費ゼロ。数年前までは、一般家庭の子弟は一食1ドル50セント。貧困家庭の子弟は25セント。さらにシングルペアレンツやもっと困っている家庭の子供は無料と三段階の給食費設定だったのですが、ここにきて、一律無料。しかも、ランチだけでなく、朝食や夕食も学校のカフェテリアで暖かい食事が食べられるようになりました。さらに、夏休み中もフリーミールの支給があります。

Q 給食費用の負担は誰が?

A 学校給食はNY市教育委員会の給食部が担当しています。よって予算は市の教育予算の一部です。子供達を空腹にさせることは身体にも脳にも悪影響があり、健康な学習活動の妨げになります。なので、家庭の事情でうちでもご飯の食べられない子には学校が率先して食事を提供するという考え方です。NY市の教育委員会が管轄する公立校に生徒は110万人。毎日86万食の給食を提供しなくてはなりません。この数は全米の公立校システムの中では最大。これ以上の給食配膳をやっている団体というともう軍隊しかありません。

Q 軍隊に次ぐ大きさ!そんなに大きいのですか?

A はい、なので食材に関しては大量購入で相当コストを落とせます。

Q 献立はどのようなものが出るのですか?

A 最近では栄養と味への気配りも芽生えてきました。かつてのように毎日ピザやハムのサンドイッチみたいなことはありません。タコス、モツアレラ・スティック、チキン餃子、ビーフ100%のまともなバーガーなど結構バラエティに富んでいます。もちろん味で比較したら日本には到底敵いませんが、化学調味料や添加物、保存料は極力使いませんし、例えばポテトなどもフライにせずにオーブンで焼いています。2010年以来全ての学校食堂にサラダバーも設置されました。よって、少なくとも栄養面では良質な食事と言えるでしょう。

食事そのもののヘルシーさだけでなく、最近では、給食室から発泡スチロール食器を一掃し、再生可能な紙食器に変えてゆく動きも生まれつつあります。