日頃、自転車を移動の足として利用している方も多いでしょう。許可されているところ以外、自転車は原則、車道を走らなくてはいけないのですが、歩道を走る自転車が歩行者と接触事故を起こすケースがよくあります。歩行者も自転車も(もちろん車も)安全に通行できる「自転車専用レーン」の整備がもっと進んで欲しいですね。さて、自転車をよく使う海外の国ではどのような状況なのでしょうか?けさも2つの国の通信員に電話をつないでお話を伺います。

「自転車専用レーンはありますか?」という質問です。

イギリス ロンドン 内山昇さん

「最近増えてきた」

中国 北京 鈴木晶子さん

「専用道路がある」

●イギリス ロンドン 内山昇さん

Q 自転車専用レーンが最近増えてきたそうですね。

A イギリスはじめ欧州では自転車は車両として区分され、歩道走行は禁止、原則として自動車と同じ道路を走ります。しかしながら、自動車と一緒に走ると事故になるので、自転車レーンが最近では増えてきました。12歳までの子供が自動車で歩道は走ることは法的にOkですが、大人は禁止です。そして、子供にも右、左に曲がる際は、手でサインをするように教育しています。これは学校でも教えています。自らの命を守るために、ほとんどのサイクリストがヘルメットを着用、そして、蛍光色のベストなどを着用し、前後のライトをつけ、ドライバー、モーターバイクの運転手に注意を促しています。日本に帰国したとき、街で無灯火のサイクリストを見ると、危険だなといつも感じます。

Q 自転車を乗る方と歩行者のすみわけができているんですね。

A しかし、オランダやデンマークと違い、自動車道と自転車道が完全に分離されていないロンドンの道は危険な箇所がたくさんあります。私も通勤しているとき、危ないと思うことが何度もあります。近年自転車で通勤する人が増えるにつれ、自動車との接触事故などが多発、また交通マナーを守らないサイクリストも多く、危険が増し社会問題化しています。日本と同じく車両は左側通行なので、右側を通行による逆走、信号無視など罰金取られます。またお酒やドラッグを飲んで自転車に乗ったり、危険運転とみなされると最大£2500ポンドの罰金が科されます。

●中国 北京 鈴木晶子さん

Q 自転車の量が尋常ではないでしょう。

A 今の中国はかつての大量の自転車がダーッと走る、自転車王国という姿ではなく、クルマ、三輪車、バイク、自転車が混在している状態です。運転マナーは日本と比べれば「よくない」の一言なのですが、中でも三輪車と自転車は、ルールがあってないようなものと言っても過言ではありません。クルマやバイクは免許が必須ですし、違反すれば減点され、罰金を払わなければならないので、大きく違反することはあまりありませんが、自転車はながら運転、逆走、ライトを点けない無点灯、二人乗り三人乗りは普通の光景です。

Q 逆走、無点灯、ふたり乗り、三人乗りですか!乗っている本人が自ら危険を冒しているようなものですね。それで見過ごされるのですか?

A 北京の道は広く、一般的なスタイルとして自動車道、自転車道、歩道にはっきりわかれています。そして、自転車道も歩道も、日本の自動車道路の一車線分ぐらいある広い道です。なので、自転車にとってはとても走りやすい環境なのですが、自転車道を走る自転車も様々で、一般的な自転車、シェア自転車(2016年登場)、スポーツ自転車、電動自転車、電動と人力の三輪車などなど、形も速度も様々な乗り物がごちゃませになって走っています。それらが好き勝手走っているので、なかなか危ないものがあります。更に、道が渋滞になると、クルマが自転車道に進入し、自転車が歩道に進入するなんてこともしばしば。

Q 自転車専用高速道路があると聞いています。

A シェア自転車の普及から、自転車の魅力が再認識され、昨年あたりから、全国的に自転車専用高速道路の計画が立てられています。北京でも第一号となる自転車専用高速道路が来年6月に完成予定。通勤用として作られる実用性の高い自転車専用高速レーンで、全長6.5キロ、幅5~7メートル。まだ細かいことははっきりしていませんが、三輪車や電動自転車の走行は禁止されるようです。