今年、100回目を迎えた全国高校野球選手権大会・・・「甲子園」ですよね。日本全国に根付いた歴史ある学生スポーツですが、世界にも、こうした全国規模で行われる学生スポーツの大会はあるのでしょうか?けさも2つの国の通信員に電話をつないでお話を伺います。

「日本の高校野球のように全国大会があるスポーツはありますか?

フランス パリ ドゥヴィアンヌ園子さん「ない」

イギリス ロンドン 川合亮平さん「ある」

フランス パリ ドゥヴィアンヌ 園子さん

Q 全国規模で開催される学生のスポーツ大会はないんですね?ラグビーなど世界屈指のチームをもつフランスなのに。どうやって選手は育つのですか?

A ラグビーはもともとアングロサクソンのスポーツでイギリスからフランスに入ってきた。フランスは12世紀頃にちょっとラグビーに似た遊びがあり村を代表する男たちが皮で包んだボールを奪い合い自分の村へ走って持ち帰ると勝ちというわけです。イギリス人がボルドーにワインを会に出入りしていた19世紀末にボルドーのフランス人にラグビーのルールなど教えたとも言われいます。フランスが十分に強くなったから英国のトーナメントに加えてやろうという話になったのが1910年。それ以来2000年にイタリアが加わるまで90年間(中断した数年はあるが)アングロサクソンのイングランド、スコットランド、アイルランド、ウエールズの4ネーションにフランスのファイヴネーションカップというのがラグビースポーツの中心のゲームでした。最初の頃、フランスはいつもビリの5位だったのですが、1968年頃から優勝するようになり1990年代に連続で優勝した時にはフランスでラグビーはとても盛り上がり、サッカーよりジェントルマンスポーツだと社会の上層部に人気が定着していました。ルールがちょっと複雑でとっつきにくい半面、鍛えられた選手の男らしさに女性はうっとりという感じだったようです。フランスラグビーが優勝した年など筋肉粒々の選手たちがポーズをとった写真カレンダーは飛ぶように売れたりしたものです。

Q ツールドフランスなどフランスを舞台にした世界の大会もあります。そんなスポーツでもテレビ中継はないのですか?

A 夏のスポーツ中継の定番は、テニスのフランスオープン、ウインブルドン、自転車ツールドフランスなど。プロスポーツしかTVメディアは扱いません。学生は未成年だからかもしれませんね。ショウビジネスの世界も未成年者のスターは露出させない何か法律があるようです。学生スポーツのイベントは家族友人たちの応援はあっても全国的人気などはあり得ないと思います。大学対抗のボート試合、ケンブリッジとオックスフォードがセーヌ川でフランスの大学(に相当するグランゼコール)のボートチームとレースするイベントは定期的にやっていますがメディアはほとんど取り上げません。ポピュラースポーツのサッカーさえジュニアチームのトーナメントやっているのにTV放映一切なしです

JK 未成年者のマスコミ露出を極力、さける、保護するフランス、なるほど。ドゥヴィアン園子さん、いつもありがとうございます。

●イギリス ロンドンの川合 亮平さん

Q イギリスは歴史ある学生スポーツありそうですね。

A イギリスで歴史ある学生スポーツといえば、真っ先に頭に思い浮かぶのが、オックスフォード大学 対 ケンブリッジ大学の因縁のボート対決、通称:ザ・ボートレース(The Boat Race)です。

1829年に第1回が開催され、今年2018年の3月24日には、第164回大会が開催されましたので、ものすごく歴史がある大会。具体的な種目の名前は、「エイト」。「エイト」は、8人の漕ぎ手と、コックスと呼ばれる1人の舵取り役でボートを進めるボート競技です。日本に比べるとヨーロッパ、特にイギリスではボート競技が一般的に盛んなこともあり、オックスフォード対ケンブリッジのザ・ボートレースは、国民的行事としても有名です。テレビ中継もされ、数百万人が観戦しているようです。観戦者にとっては娯楽なんですが、大学の名誉がかかっている選手にとっては超真剣勝負。日々のハードなトレーニングを積んで年1回の競技に臨みます。

Q 今年の大会はどんなところに関心が集まったのですか?

A 2018年大会で話題となったトピックを2つほどお話します。

トピック1:もっとも注目が集まる、男子エイトの種目では、昨年2017年まで4年連続でオックスフォードが勝っており、ケンブリッジ大学の面目躍如が期待されました。結果、ケンブリッジ大学が見事に勝利して、通算成績を、

  • ケンブリッジ大学:83勝
  • オックスフォード大学:80勝

としました。

女子エイト種目でもケンブリッジ大学が勝利して、こちらの通算成績も

  • ケンブリッジ大学:43勝
  • オックスフォード大学:30勝

ケンブリッジ大学が少しリードしています。

トピック2:ザ・ボートレース史上、最も身長が高い選手に注目が集まりました。シカゴ出身でアメリカからの留学生である24歳のジェームス・レテンさんの身長は、2m8cm。小さい頃からのあだ名はゴジラらしいです。彼の活躍もあり、今年はケンブリッジ大が勝利したわけですが、2020年の東京オリンピックでも、ボート競技でエイトの種目がありますよね。実は、ジェームスさん、ボートのアメリカ代表として東京オリンピックにやってくる可能性が非常に高いので注目です。