酷暑が続く日本。冷たいスイーツに手が伸ばしたくなりますね。アイスキャンディーの「ガリガリ君」などを製造販売する赤城乳業ではこの暑さで、アイスクリーム全体の出荷量が前年より約4割増えたそうです。世界のあの国、あの町では涼しさを求めてどんなスイーツが人気なのでしょうか?けさも2つの国の通信員に電話をつないでお話を伺います。

「夏になると食べるスイーツってあるんですか?」

アメリカ ニューヨーク 中村英雄さん「はい」

タイ バンコク 山崎幸恵さん「はい」

●アメリカ ニューヨーク 中村英雄さん

Q ニューヨークの夏もときとして猛烈に熱くなりますね。そんなときでもスイーツは人気なのでしょうか?

A 体の芯から冷え切るようなニューヨーク発のスィーツっていうのは、残念ながらないんですね。かつてはニューヨークから新しいスィーツやデザートが生まれたものですが、ここのところ停滞気味です。そんな中でも人気は、かき氷、レインドロップケーキ、もちアイス。いずれもアジアからの氷菓ばかりです。かき氷は、日本製のマシンを使った細かいシェイヴで、舌の上で消えるような食感がアメリカには今までなかったので人気。レインドロップケーキは、例のプルンプルンのゼリー。韓国が発症とか?もちアイス、これが一番売れているかな。ご存知、日本の「雪見だいふく」が原点。味は、チョコや抹茶、いちご、マンゴー、ライチなどバラエティに富んでいます。もちアイスの中でもさらに人気があるのが高級スーパー「ホールフーズ」のもちアイス。別にどうってことないんですけど、「オーガニック」だとか書いてあるとつい手が出ます。しかも、必ずレジ会計のそばにもちアイスのボックスがあるので、帰りがけについ。

Q アジアからの流行がニューヨーカーのこころを捉えているというのがおもしろい。

A もちアイスは、もちの食感もさることながら、外がふわふわ、噛んだら中から冷たいアイス、というこのコントラストがアメリカ人の食欲をかき立てるようです。これは、そもそもニューヨーク発の名デザート「ベイクト・アラスカ」と同じ構造なんです。ベイクトアラスカは、レストランで食べるデザートのハシリですが、アメリカが1867年(明治維新の年!)ロシアからアラスカを買収したのを記念して、市内の高級レストラン「デルモニコス」が開発したと言われるお菓子で、山と盛ったアイスの周りをメレンゲで覆って外から軽く焼いたもの。一見、氷菓には見えないけど、割ったらアイス、という趣向が「もちアイス」と同じです。最近は日本発のアイスが随分ニューヨークにも進出しています。デリでも抹茶最中や北海道のソフトまで売っています。

●タイ バンコクの山崎幸恵さん

Q バンコクは一年中、暑いのですからスイーツには体を冷やす効果を求めているのでしょうか?

A タイは暑くて体力を消耗するので、甘いものをよく食べます。特に人気でよく屋台で見かけるのは、ココナツミルクをタコ焼きのような形に焼き上げたカノム・クロックや、練乳と砂糖をかけた激甘クレープのようなローティーです。日本の鶏卵素麺によく似た、卵の黄身と小麦粉で作られたお菓子もよく見られます。金色で縁起がいいため、儀式やお祝いによく贈られていますね。材料と味はおなじでも、形によって違う名前がついて、「金持ちになる」とか「出世する」など、ご利益も違うそうです。

ここ数年、人気なのは韓国式ふわふわカキ氷のビンスーで、専門店もたくさんできました。レストランでもデザートとして出すお店が増えていますね。タイならではのメニューとしてタイ紅茶カオニャオマムアン(ココナツミルクで炊いたもち米とマンゴーのセット)です。

Q タイ流になっているんですね。

A タイ紅茶は大鍋で紅茶をグツグツと煮詰めたものにたっぷりの練乳を入れたもので、暴力的に甘いです。でも、スイーツにアレンジしたものは、なぜか紅茶の風味がよく出ていて美味しいんですよ。あと、甘くないものなので、スイーツと言っていいのかどうかわかりませんが、カノム・トーキョーというものが屋台で売られていて人気です。カノムはお菓子という意味なので、東京菓子ですね。どら焼きの皮とクレープの中間くらいの皮に、ソーセージや卵を挟んで巻いたものです。多くのタイ人が、これが東京発祥の食べ物だと思っていて、東京にそんなお菓子はないと言うとびっくりされますね。伝統菓子ではなく、40年前くらいに登場したものだそうです。一説によると、当時ドラえもんのアニメがタイで人気になって、ドラえもんがあんなに愛しているどら焼きを食べて見たいけど、どんなものかわからなかったので創作したそうですが、ちょっと怪しいですね。でも、皮はなかなかどら焼きに似ています。