野菜価格の高騰が続いています。農作物が生育する時期に天候不順だったことが要因のようですが、さきごろ、農林水産省が今後の野菜価格の見通しを発表。ハクサイ、ニンジンはこの先も高値が続き、ダイコン、キャベツ、ホウレンソウは2月後半には平年並みに落ち着くようです。ところで、海外では、こうした農作物不足、どのように乗り切っているのでしょうか?今朝も、2つ国、都市の通信員と電話をつなぎ、現地の農作物の値上がりについて、お話を伺います。

「まず、この時期、農作物は十分にあるのですか?」

フランス パリ ドゥヴィアンヌ園子さん

「今のところ十分にある」

中国 北京 鈴木晶子さん

「あるけれど、特定の農作物が急に値上がりしている」

●フランス パリ ドゥヴィアンヌ園子さん

なによりも、この一週間、パリは大雨でしたね。

今年の冬はフランスは雨が多く河川が膨らんで洪水注意報があちこちに出ています。 セーヌ川もパリ人たちが毎日水位を見守っていざという時の心構えを。今のところ、冬のジメジメは農業にはあまり大きな被害はなく野菜果物の価格も安定しています。これはヨーロッパユニオンのおかげともいえるでしょう。ある野菜が品薄になりそうだとすぐに国境を超えた周辺国から調達できるからです 天候に大きく左右される農産物といえばぶどう酒のぶどうです これはある春夏の日照時間が確保されるかされないかでぶどうの収穫に大きく影響し、そしてワインになって何年も寝かした後の美味しさ=価格に大きく影響するというわけでワイン大国のフランスでは天候とぶどう収穫はいつも話題になります ぶどう酒になるぶどうは育成する土地の特質がとても大切なので果実であるぶどうを他から買えないわけです。

農作物自給率120%ともいわれるフランスですものね。しかし、あるニュースでは海外で高級バターへの人気が高まっているため、 フランス国内で品薄とも聞きます。

フランスでの食品で品薄、価格高騰事件といえば数ヶ月前のバターでしょうね。 フランス人のバター消費量は伝統的にとても多く新鮮なバターが常に市場に出回っています。 それがスーパーのバター売り場に無くなったということは大事件でした。 バター自給率100%以上の農業国ですから、冷凍などでのストックはないので、急に輸出量が増えたり、急に国内の消費も上向きになったのが同時に起こったため一時的に手薄になったようです。 急に輸出量が多くなったのは日本向け、中国向けだったそうです。 また国内では長い間バターはコレステロールの敵と言われていたのが最近の研究で実は健康に良い、むしろマーガリンの方が良くないと医学学会でも発表されたのでフランス人たちは我慢していた消費量を一気に増やしたのです。 ところがバターというのはフランスでは搾りたての牛乳から脂肪分を取り出して生産するものですから、乳牛の牛乳がたくさん出る時期も限られているし、バターを生産すると残りの脱脂乳の販売販路を確保しなければ損失が出るという乳業の問題もあるわけで、急にバターだけの生産を増やすことができないのです

●中国 北京 鈴木晶子さん。

特殊な農作物が値上がりしているとのことでしたね。

食品全般値上り傾向にあるのですが、そんな中国においても「えっ!?」と、驚くような法外な値上りをして大きな話題となる食品があります。それは、ニンニクやショウガといった薬味野菜です。価格が突然、5倍近く跳ね上がることもあり、庶民にとっては大打撃。

餃子、炒め野菜に欠かせない薬味野菜は普段ならキロ単位でガバッと買うところなのですが、価格が高騰した時は、売り場の前で迷った挙句、ニンニク一つ、生姜ひとかけらを袋に入れて帰っていく、なんて姿をよく目にしました。

農作物なので、日本と同じく天候が原因という場合もあるのですが、ここ近年の突然の高騰は、投資マネーの流入が大きな要因になっています。不動産や株式市場に変わる新たな投資先として、農作物が注目を浴びているんです。農作物の中でも、保存がきいて、食卓に欠かせない食材―――つまり、ニンニクや生姜が大量に買い占められて、市場に出回らず、品薄になって価格が高騰するわけです。そうやって買い占めた人は、一夜で資産が10倍になるなんてこともあるようで、「ニンニク富豪」や「生姜富豪」なんて人が続出してニュースとなりました。

もちろん、ニンニクや生姜がもうかるとなれば、生産過多になることもあり、突然値下がりすることも。その変動の幅が大きいため、ジェットコースターと比喩されています。庶民の胃袋に直結する食材の高騰は中国でも一大事、やはり安定供給を目指して欲しいものです。